ナッジとは「良い選択をそっと促すこと」
ナッジとは行動経済学において使われる言葉。簡単に意味を説明すると「良い選択をそっと促すこと」となります。
人が良い選択をするように促す、誘導する、後押しするといったイメージです。人の心理を利用してそっと自然に促すものであり、日常生活における身近な例も存在します。
この記事では、ナッジの意味や使い方、例について確認していきましょう。
ナッジの意味
ナッジは英語の「nudge」に由来する言葉。英語では「肘でそっとつつく」という意味になります。
ナッジでは、良い選択ができるように「そっと」促す点が重要です。無理に勧めたり強要したりするのではなく、相手が気づかないうちに良い選択に誘導します。
罰則やインセンティブのもとで行動を変容させるのではなく、その人の心理、無意識に働きかけることが特徴です。
ナッジ理論とは
ナッジ理論は、米国の経済学者であるリチャード・セイラー氏と法学者であるキャス・サンスティーン氏が提唱しました。ナッジ理論では、小さなきっかけを与え、人の行動を変える戦略のこと。
例えば、表示の仕方、文章の記し方などを工夫して、その人の心理に働きかけて行動を変えます。マーケティングにおいてもナッジ理論が活用されています。
なお、セイラー氏が2017年にノーベル経済学賞を受賞したことを受け、この理論が注目を集めるようになりました。
ナッジ理論を活用した事例
ナッジ理論は身近なところで使用されています。改めて考えると無意識のうちに行動が誘導されていることは多いです。
コストコ
コストコに行くと「つい買いすぎてしまう」という人は多いですが、その背景にはナッジ理論にも当てはまる仕掛けがあります。
例えば、カートが大きいこと。コストコには大きなカートしか設置されておらずつい商品を入れてしまうのもナッジです。
また、入口付近にテレビなどの高額商品がありますが、最初に高価なものを見ると後から見たものを安いと感じる「アンカリング効果」を利用しています。
レジ前の足跡マーク
コロナ禍でコンビニなどのレジ前には足跡のマークが描かれるようになりました。これがあると意識せずともそこに並びますし、「密」を回避できます。
マーケティングの分野だけでなく、そっと良い選択を促すというナッジの考え方に基づいた実践例は多く存在します。
ナッジの使い方・例文
・ナッジによって企業にとって望ましい方法に誘導されるが、その選択が本当に正しいのか消費者は立ち止まって考えることも必要だ。
・持続可能な社会の実現に結びつく行動に誘導するためのナッジが各所に必要である。
[おまけ]クレジットカードのナッジとは
20〜30代の若者をターゲットにしたクレジットカードの「Nudge(ナッジ)」は、ナッジ株式会社が手がけています。
ナッジの限度額は10万円で、少額のクレジットカード。支払いはセブン銀行ATMから行い、銀行口座からの引き落としではない点も特徴です。
従来のクレジットカードでは審査に落ちるケースも多く、若者にとってのメインカードを目指しています。
ナッジは注目を集めるワード
ナッジは2017年のノーベル経済学賞を受けて注目度が高まった言葉。比較的近年浸透してきているワードといえます。
マーケティングや日常生活場面においてもナッジは使われています。仕事もでもプライベートでもナッジを意識して過ごしてみてはいかがでしょうか。