エスノグラフィーとは?意味をわかりやすく!看護やビジネスの例もご紹介

エスノグラフィーとは「民族学の研究手法」

エスノグラフィーとは、民族学に関する研究の手法です。

わかりやすくいうと、エスノグラフィーはインタビューや観察を活用した研究手法で、調査したい環境に実際に入って情報を記録していきます。実験や統計処理を通した研究の対照的な位置づけとなります。

この記事では、エスノグラフィーという言葉の意味や使い方について確認していきましょう。

エスノグラフィーの意味

エスノグラフィーは「ethnography」という英単語に由来する言葉です。ギリシャ語のethnos(民族)とgraphein(記述)を組み合わせてできた言葉であり、「民族誌」や「民族誌学」と訳されています。

例えば、ある民族についてエスノグラフィーによって調査をする場合、その民族を長期的に観察します。インタビューや観察で得た情報を記録していきます。

エスノグラフィーは民族に関する調査だけでなく、医療や心理学、教育学、ビジネスでも活用されています。

エスノグラフィー調査の例

エスノグラフィーの手法を用いた調査は各分野で行われていますが、その例を見ていきましょう。

ビジネスにおけるエスノグラフィー

商品が消費者に与えるベネフィットの調査を目的とする場合、商品が実際にどう使用されているか、使用する際の工夫はあるのか、どのような価値をもたらしているかなどを調べます。インタビューなどから抽出することができます。

看護におけるエスノグラフィー

患者が自身の病気やケアに対してどのように考えているかを知り、看護師としての関わり方や可能性を考察する目的などでエスノグラフィーを使うことができます。

例えば、集中治療室に入っている患者がどう感じているかインタビューしたり、清拭などのケアがもたらす意味を抽出したりした例もあります。

エスノグラフィーとフィールドワーク

エスノグラフィーと似た言葉にフィールドワークがあります。フィールドワークとは、外に出て行う調査のこと。外に出ることがポイントで、同じ地点で定期的に写真を撮り記録することも、街頭アンケートを配布することも該当します。

フィールドワーク=外での調査であり、エスノグラフィーはそのうち参与観察を通した調査を指します。参与観察とは、調査者が実際にその環境の中に入って観察、聞き取りなどを行うことです。

エスノグラフィーの使い方・例文

例文
エスノグラフィーによるアプローチが幅広い分野で活用されるようになってきた。
・この町で農業に従事した女性を対象にエスノグラフィーを行った。
エスノグラフィーでは、数字には現れない質的な側面を紐解くことができる。

エスノグラフィーで質的な側面にアプローチ

エスノグラフィーは、データや統計を用いた量的な研究とは異なり、質的な側面を明らかにしていくことができる手法です。量的な研究も、質的な研究も、何かを明らかにする上では大切なものとなります。大掛かりな研究だけでなく、ビジネスでも調査の一つとして活用されているため、意外と身近なものとして覚えておきましょう。