「お大事になさってください」はこんな言葉
「お大事になさってください」は、「早くよくなってください」や「お体を大切にしてください」などの意味で使われる敬語です。
「お大事にしてください」「お大事になさいませ」「ご自愛ください」「お労りください」「養生なさってください」「おいといください」「静養なさってください」などの敬語表現に、言い換えることもできます。
英語でいうときには、「Take care.」「Look after yourself.」「Get well!」などを用います。
「お大事になさってください」の意味
「お大事になさってください」は「おだいじになさってください」と読みます。話し言葉で使われることが多い表現です。
意味を確認しましょう。
・大事にならないように、体を大切にしてください
・病気や怪我が今より悪くなりませんように
先生や上司に使っていいの?
「お大事になさってください」は学校や習い事の先生、会社の上司、取引先など目上の人に使える正しい敬語です。
「お大事に」もよく耳にするフレーズですよね。皆さんも、病院にかかったときに看護婦さんにいわれたことがあるのでは?
この「お大事に」は、「お体を大事にしてください」や「大事にいたりませんよう」を縮めた表現です。省略した言い方ではありますが、丁寧なニュアンスを付け加える接頭語の「お」がついているので、「お大事に」だけでも敬語として通用します。
「お大事になさってください」は、単独でも敬語になる「お大事に」に、さらに尊敬語の「なさる」と丁寧語の「ください」を付け加えた、より丁寧な言い方になります。目上の人に使うのにまったく問題ありません。
「お大事になさって下さい」はあり?
結論から先にいうと、「お大事になさって下さい」とは表記しません。
「ください」は「下さい」と漢字で書くこともありますが、それは「何かをくれ(ちょうだい)」のニュアンスを丁寧にいうときだけです。
例えば、「水を下さい」。これは「水をちょうだい」という意味ですよね。
ひらがなの「ください」は、目上の人に何かをしてほしいとお願いするときに、敬意の意味を付け加えるために使用します。
例えば、「お召し上がりください」。こちらの「ください」は「ちょうだい」のニュアンスではありません。「食べて」とお願いしています。
「お大事になさってください」も「ちょうだい」といっているわけではないので、「ください」とひらがな表記にしましょう。
「お大事になさってください」の使い方を例文で学ぼう!
「お大事になさってください」は、怪我をした人や疲労こんぱいしている人、病気の人など、体調が悪そうな人に使う表現です。
また、自分が話している相手本人ではなく、その人の奥さんや旦那さん、子供など関係者が具合が悪いときにも使用します。
「お大事になさってください」の使い方を例文でイメージしてみましょう。
B「わかりました。お大事になさってくださいね」
A「(電話)ありがとうございます」
B「お気遣いありがとうございます」
B「それは大変ですね。お大事になさってくださいとお父様にお伝えください」
A「お心遣い感謝いたします」
B「お大事になさってください。部長も無理なさらないでくださいね」
A「ありがとうございます。ご迷惑をおかけしてすみません」
誰かから「お大事になさってください」といわれたら、「ありがとうございます」など御礼の言葉をその人に返すのが一般的です。
「お大事になさってください」の言い換え表現
「お大事になさってください」は、次のような表現に言い換えられます。
お大事にしてください
動詞の「して(する)」と「ください」を組み合わせたのが「お大事にしてください」です。「お大事になさってください」よりはやや上から目線な印象になります。
目上の人には失礼になる場合があるので気をつけてください。
お大事になさいませ
「お大事になさいませ」は「お大事になさってください」と同じ意味。
「お~なさい」は丁寧な言い方で命令するときに使用する表現です。ただ、かなり丁寧な言い回しの尊敬語でもあるため、目上の人に使って問題はありません。
ご自愛ください
「ご自愛ください(ごじあいください)」は、「自分の健康に気をつけて、身体を大事にしてください」を丁寧にした表現です。
言っている内容は「お大事になさってください」と同じですが、文章向きの表現で、メールや書類などによく使われています。
話し言葉では「お大事になさってください」、書き言葉では「ご自愛ください」を使用すると、スマートな使い分けができます。
お労りください
「お労りください(おいたわりください)」は、「自分にも気を配って、身体を大切にしてください」というニュアンスを丁寧にした言葉です。
「お大事になさってください」よりも深く相手を思いやり、気づかっている表現になります。
書き言葉で使うのにも向いています。
養生なさってください
「養生なさってください(ようじょうなさってください)」は「病気や怪我の回復のため、しっかり身体を休めてください」という意味。
「お大事になさってください」と似た感じの意味合いで、話し言葉でも書き言葉でも使えます。
おいといください
「おいといください」の「いとう」は漢字だと「厭う」と書きます。
「厭う」は「いやがって避ける」や「きらう」という意味で使われることが多い漢字です。しかし、「大事にする」「かばう」という意味もあり、「おいといください」の場合は「いやがる」ではなく、「大事にする」のほうのニュアンスになります。
「おいといください」は漢字で書くと意味を誤解される恐れがあるため、ひらがな表記するのが一般的。相手の体調を気づかう言い回しで、ビジネス文書の結びの言葉などによく使われます。
静養なさってください
「弱った体を回復させるために、心身を落ち着け休ませてください」というのが「静養なさってください」の意味。
「せいようなさってください」と読み、お見舞いなどで使いやすい表現です。
「お大事になさってください」の英語表現
「お大事になさってください」にたくさんの言い換え表現があったように、英語もいろいろな言い方で「お大事になさってください」のニュアンスを表すことができます。
Please take care.:「Take care.」を丁寧にした言い方。目上の人にも使える。
Please take great care of yourself.:「Take care of yourself. 」は運動をして健康的な食生活を送りなさいという意味。「Please」をつけて丁寧な表現にしている。
Take care, now.:「Take care.」よりも親しみがこもった表現。
Look after yourself.:自分の身体をいたわってください。
Get well!:よくなりますように。
いつも同じ表現になってしまわないように、語彙を増やしておきましょう。
「お大事になさってください」は心を込めて使おう!
「お大事になさってください」は相手を思いやるやさしい言葉です。敬語を正しく用いるのは大切ですが、この表現はそれ以上に心がこもっていることが重要です。
本心からの言葉として「お大事になさってください」を使うように心がけましょう。