パラレルキャリアの意味とは?メリット、デメリット、おすすめの団体なども紹介

パラレルキャリアとはどんな言葉?

パラレルキャリアの意味は、「本業を持ちながら、第二、第三のキャリアを築くこと」です。

類語は、「パラレルワーク」「プロボノ」。

英語で表すときは、「parallel career」を使います。

パラレルキャリアとはどんな意味?

パラレルキャリアは、次の意味をもつカタカナ語です。

パラレルキャリア
本業を持ちながら、第二、第三のキャリアを築くこと

本業とは別に、キャリアの開拓や夢の実現、自分の得意を活かすためなど、いろいろな目的で第二、第三の活動を行うことをパラレルキャリアといいます。

パラレルキャリアとして行う活動は、とくに定めはありません。別の企業に就職しての仕事や個人事業主としての仕事、無報酬のボランティアや趣味の活動など、いろいろな形での活動が含まれています。パラレルキャリアは人生を豊かにするために行う活動であり、その活動で報酬を得ているかどうかは問いません。

また、第二、第三の活動を本業と同じ比重で取り組むこともあり得ます。

パラレルキャリアはピーター・ドラッカー氏が考えた言葉

パラレルキャリアは、経営学者のピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏が提唱した言葉です。

人間の寿命が延び、企業の寿命が短くなっている現代では、自分が定年退職するよりも前に働いている会社の寿命が尽きてつぶれてしまうことも珍しくありません。

ドラッカー氏は、こうした社会でもとめられる人間は、特定の組織に依存せず、自分の責任で自分のキャリアを決められる人間であると考えました。そして、そのような人間になるため、会社での本業のほかに非営利組織の立ち上げやボランティアへの参加、大学院で新しいことを学ぶなど、第二、第三の活動を行うことを推奨しました。

近年パラレルキャリアの範囲が広くなっている

ドラッカー氏は、企業に勤めている人が第二、第三の活動を行うことを想定してパラレルキャリアという言葉を提唱していました。

しかし、働き方が多様化している近年では、企業に属さずフリーランスとして働いている人が第二、第三の活動を行うこともパラレルキャリアといわれるようになっています。

また専業主婦の家事を、家事代行業という業種もあることを根拠に本業とみなし、専業主婦が人生を豊かにする何らかの活動を行うことをパラレルキャリアという場合もあります。

パラレルキャリアと副業の違い

パラレルキャリアに似た言葉に副業があります。

副業は、収入を増やすことを目的に本業とは別の仕事をすること。副業では、重心があるのは本業で、第二、第三の仕事はあくまで片手間の仕事です。

パラレルキャリアは人生を豊かにすることを目的としており、報酬を得るかどうかに重きが置かれていません。第二、第三の仕事も本業であるという意識で働く人もいます。

パラレルキャリアのメリット

パラレルキャリアには、次のようなメリットがあります。

スキルやチャンスを得られる

パラレルキャリアでさまざまな活動を行うことで、本業一本では経験できないことに挑戦できたり、新たなスキルを身に着けられたりします。

趣味でやっていたことが報酬をもらえる仕事に発展したり、夢を実現させるチャンスを得られたりすることも。また、やりたいことがわからないまま就職し本業として働いていた人が、やりたいと思える仕事に出会える場合もあります。

起業や転職の準備としても始めやすい

本業で生活に必要な収入を得ながら、パラレルキャリアの活動を通して起業や転職に必要な経験やスキルをしっかり積むこともできます。

経験やスキルなしにいきなり起業や転職にチャレンジすると、思ったように収入を上げられずにビジネスとして成り立たなかったり、採用してもらえる企業が見つからなかったりする場合も多いです。

パラレルキャリアで必要な経験やスキルを身に着けてから臨むことで、起業や転職に成功する確率を上げられます。

人脈や視野を広げられる

パラレルキャリアを始めると、活動を通して社外の人と多く関わるようになります。

いろいろな人と接することで、本業の会社の中に閉じこもっていたらわからなかった、さまざまな考え方を知ることができ視野を広げられます。また、新たな人脈を作りやすくなることもメリットです。

自分を伸ばすきっかけにできる

パラレルキャリアの活動を通して、今の自分の実力を認識できます。経験やスキルの不足、認識の甘さを自覚できるので、次に何をするべきかもわかります。

パラレルキャリアは会社に指示されての活動ではありません。自分の意志で始めた活動なので、当事者意識を持って取り組めます。活動の成果がそのまま自分の評価につながるため、プロ意識を持って仕事に取り組めるようになります。

パラレルキャリアを通して社員がスキルアップし、プロ意識を芽生えさせることは、企業にとってもプラスになると考えられています。

パラレルキャリアのデメリット

パラレルキャリアはいいことばかりではありません。次のようなデメリットもあるので頭に入れておきましょう。

会社の規則に違反する可能性がある

パラレルキャリアで報酬を得ている場合、自分ではパラレルキャリアのつもりでも本業としている会社には副業と判断されます。副業が禁止されている会社に勤めている場合は、パラレルキャリアは規則違反になってしまいます。また、無報酬の場合でも会社に副業と勘違いされることもあります。

副業OKの会社でも、同業他社での副業は禁止されていることがあるので注意してください。

トラブルを避けるため、パラレルキャリアを始める前に、就業規則をしっかりと確認しましょう。

本業に支障が出る場合がある

パラレルキャリアの活動は、平日、本業での勤務が終わってからや休日に行うことになります。本来リフレッシュにあてるべき時間が減ってしまうため、パラレルキャリアに力を入れすぎると、キャパオーバーになって体調を崩してしまったり本業での業務が終わらなくなったり、本業に支障が出てしまいます。

本業がおろそかにならないように、しっかり自己管理しなければなりません。

パラレルキャリアの始め方

パラレルキャリアを始めようと思ったら、まずは自分が本当にやりたいこと、成し遂げたいことを書き出してみましょう。ほかの人にすごいと思われそうなど、見栄を張ってやることを決めるのではなく、本心から楽しめそうなことをやることに決めます。趣味や特技を活かせることをやることに決めるのもひとつの手です。

やることが決まったら、それができるボランティア団体の活動やサークル、勉強会などに参加してみましょう。SNSを使って自分の活動を発信したり、クラウドソーシングサイトに登録して関係する仕事を受けながら経験を積むのもおすすめです。

本業や私生活に悪影響を出さないように、少しずつ長期的に活動を進めていきましょう。

パラレルキャリアを始めたい人におすすめの団体

パラレルキャリアを始めたい人に役立つ情報発信などの活動を行っている、おすすめの団体を紹介します。

パラレルキャリア研究所

パラレルキャリア研究所は、パラレルキャリアに興味を持っている人向けの情報を発信している団体です。代表者の慶野 英里名さんが、本業の傍らで電子書籍を出版するパラレルキャリアを経験したことがきっかけで作られました。

パラレルキャリアについて本音で語れるトークイベントやスキルアップ講座、都心で働くビジネスマンと地方をつなぐイベントの企画などを行っています。

パラレルキャリア推進委員会

パラレルキャリア推進委員会は、働く女性の活躍をパラレルキャリアを推進することで応援している、女性支援NPO団体です。

パラレルキャリアコンサルタントとして代表を務める美宝 れいこさんが、パラレルキャリアの活動を始めたときに、SNSでたくさんの女性からパラレルキャリアについて相談されたことがきっかけで作られました。

パラレルキャリアを始めたい女性や、活動を始めている女性に役立つ情報を発信したり、勉強会や交流会を企画したりしています。また、企業や行政、教育機関、メディアから仕事やプロジェクトのオファーをもらい、推進委員会に参加している女性に活躍できる機会を提供しています。

パラレルキャリア人材共創促進事業

パラレルキャリア人材共創促進事業は、福島県が実施している副業人材活用事業です。

福島県の事業者や団体が抱えている経営課題や、地域ならではのさまざまな課題をプロジェクト化し、その課題を解決してくれる人を県が開設した手数料無料の副業マッチングサイト「SOKUDAN」を通して募集しています。応募があってからも、業務委託契約が結ばれるまで、運営事務局が手数料無料で支援してくれます。

首都圏など福島県外にいる専門スキルを持った人材と福島県の事業者をビジネスを通して結びつけ、福島の地域づくりに関係してくれる関係人口を増やすことを目指しています。

パラレルキャリアの使い方を例文で学ぼう

パラレルキャリアの意味がわかったら、カタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・社員と会社の成長を目指し、パラレルキャリア制度を新設する。
パラレルキャリア向けの求人サイトを運営する。
パラレルキャリアについてビジネス本で勉強する。
パラレルキャリアの実例を紹介する。
パラレルキャリアを築き活躍している人たちを集めた座談会を企画する。

パラレルキャリアは英語だと?

パラレルキャリアは、英語だと「parallel career」と表記されます。

parallel career
複数の職業に並行して就くこと

「parallel career」は、カタカナ語のパラレルキャリアと同じように使われています。

パラレルキャリア

パラレルキャリアの類語は、「パラレルワーク」と「プロボノ」です。ただし、完全に同じ意味ではありません。

パラレルワーク
【意味】
2種類以上の仕事を同時に同程度の力を入れて手掛ける働き方。本業を複数持つ働き方

【例文】
女性のパラレルワークを支援する。

「パラレルワーク」は、報酬をもらう仕事を複数持っているときに使う言葉です。

プロボノ
【意味】
仕事で身に着けた専門知識やスキル、経験などを活かして社会の課題を解決するボランティア活動

【例文】
プロボノとしてNPO法人の活動に参加する。

「プロボノ」は、専門家がその能力を活かして無償で行うボランティア活動。

「パラレルワーク」と「プロボノ」、さらに趣味の活動などをひっくるめたものがパラレルキャリアです。

パラレルキャリアを始めてみよう

パラレルキャリアの意味は、「本業を持ちながら、第二、第三のキャリアを築くこと」

趣味として楽しんでいることややってみたかったことなどからも始められ、軽い気持ちで挑戦できるのが魅力です。本業や生活に支障が出ないように、無理のない範囲で始めてみましょう。