クラウドとは?意味は雲ではない?語源、クラウドファンディングなどの関連語も紹介

「クラウド」とは「インターネット上で必要な分だけ利用できる仕組み」こと

「クラウド」は、自社や個人でサーバやソフトウェアを保有せず、インターネット上で必要な分だけサービスを利用できる仕組みのことで、「クラウドサービス」と呼ばれることも多いです。外出先でもアクセスしやすいため、現代では企業として利用するケースも増えています。

本記事では、「クラウド」の意味やサービスの種類、メリット、デメリットなどもわかりやすく紹介します。

なお、対義語は自社サーバなどにシステムをインストールして利用する形式を意味する「オンプレミス」です。

「クラウド」の英語は「cloud」

インターネットサービスの「クラウド」は、英語で「cloud」ですが、この単語を単独で使用すると「雲」と捉えられるため、「the cloud」と表現します。

I downloaded a lot of music and stored it in the cloud.
(たくさんの音楽をダウンロードして、クラウドに保存しています。)

また、「cloud」は、「雲」などの意味で使われることもあるので、どちらでも対応できるようになっていると便利です。

cloudの意味

・雲(気象)
・(煙やチリなど)立ち込めるもの
・(昆虫などの)大群
・(宝石などの)濁り、くもり

・Today’s sky is full of clouds.
(今日の空は雲に覆われている。)

・The window glass clouded up due to the temperature difference between indoors and outdoors.
(室内と室外の温度差で窓ガラスが曇ってしまった。)
・This diamond is very cloudy.
(このダイヤモンドはとても濁っている。)

「クラウド」の語源

コンピュータ用語の「クラウド」は、実は略語で、正式名称は「クラウドコンピューティング(cloud computing)」といいます。
語源は、「空に浮かんでいる雲のような存在のサーバー」の意味で「クラウド」と呼ばれるようになったという説があります。しかしこのほかに、当初、仕組みを説明する際、絵の中に「アプリケーション」「プラットフォーム」「ネットワーク」「データベース」などのイラストを書き、周りからそこにアクセスする、といったイメージで表現していた背景から「クラウド」と呼ばれるようになったともいわれています。

「クラウド」の意味

現在、日本でコンピュータ用語として使われている「クラウド」は、主に企業や個人でサーバーを保有せず、サービスを提供している会社が保有するサーバー、プラットフォーム、ソフトウェアなどをインターネットを通じで利用するシステムを指しており、「クラウドサービス」とも呼ばれています。サービスを利用している側から見ると、どこにどのくらいの規模のものがあるのかが分からない状態のサーバーを、サービスをして借りていることになるわけです。

実は4種類ある「クラウドサービス」

手軽にサービスを利用している多くの人が「クラウド」と呼んでいますが、厳密には「SaaS」「PaaS」「IaaS」「HaaS」と4つの種類が存在します。

SaaS (Software as a Service)

「SaaS(サース/サーズ)」は、正式名称「Software as a Service」といい、インターネットを経由してソフトウェアを利用できるサービスで、ビジネスチャット、Web会議システム、タスク管理、オンラインストレージなどがあります。

SaaSの例

・LINE WORKS
・Chatwork
・Zoom
・Google Meet
・Dropbox など

PaaS(Platform as a Service)

「PaaS(パース)」は、正式名称「Platform as a Service」といい、インターネットを経由してOS、サーバーを利用できるサービスです。ソフトウェア開発が可能なOSが揃っているのが特徴で、このクラウドを利用して開発したシステムを顧客に提供することができます。

PaaSの例

・Amazon Web Services
・Google Cloud Platform
・Microsoft Azure など

IaaS(Infrastructure as a Service)

「IaaS(イアース/アイアース)」は、正式名称「Infrastructure as a Service」といい、インターネットを経由してサーバーを利用できるサービスのことをいいます。物理的な機器を用意しなくても、インターネットを経由して利用できるので、CPU、ストレージなど、用途に合わせて自由に選択できるのが特徴です。

IaaSの例

・Amazon Web Servies
・Google Cloud Platform
・Microsoft Azure など

HaaS(Hardware as a Service)

「HaaS(ハース)」は、正式名称「Hardware as a Service」といい、インターネットを経由して利用できるハードウェアを指します。利用者が必要なOSのみをインストールできるのが特徴ですが、現在では「IaaS(イアース/アイアース)」とほぼ同意で使われています

HaaSの例

・Amazon Web Servies
・Google Cloud Platform
・Microsoft Azure など

データ管理方法は「クラウド」or「オンプレミス」だけではない

データを管理する方法は、実際にサーバーを置く「オンプレミス」か、「クラウド」の2択しかないようなイメージがありますが、実際には「ハウジング」「ホスティング」を加えた4種類が存在します。

データ管理方法4種

【オンプレミス】
自社内でサーバー、パソコン、ソフトウェアなどをすべて保有・管理する方法。
【ハウジング】
自社で用意したサーバーやデータ通信機器などを、データセンター(機器の設置・運用に特化した施設)に預け、管理は自社で行う方法。
【ホスティング】
データセンター(機器の設置・運用に特化した施設)が保有しているサーバーを借り、自社で管理・運用する方法。
【クラウド】
データセンター(機器の設置・運用に特化した施設)が保有しているサーバーを借りて自社で管理・運用を行うが、利用側はどのデータセンターを使っているのかは明確になっていない。

クラウドサービス一覧

企業でも、テレワークなど、社外で仕事をすることが増えた現代において、クラウドを利用するところも多くなっています。そして、それに伴いサービスを提供する企業も増えているのが現状です。

法人におすすめのサービス

個人利用よりも法人におすすめのクラウドサービスはこちらです。

OneDrove for Business

Microsoftが提供しているクラウドサービス。操作画面がシンプルでわかりやすく、Microsoftが提供しているソフトやアプリとの統合機能が使えるのが特徴。ただし、MacのzipファイルはWindowsとは互換できないため注意が必要。

Amazon Drive

大手ECサイト「Amazon」を運営する、Amazon社が提供しているクラウドサービス。写真、動画、データのバックアップの作成が可能なのが特徴。信頼性の高いAWS(Amazon Web Service)の技術を利用しているためセキュリティ面でも安心感が強い。

個人におすすめのサービス

主に個人で利用するのにおすすめのクラウドサービスはこちらです。

Google Drive

Googleアカウントがあれば、自由にクラウドストレージが利用可能。Googleスプレッドシート、Googleドキュメント、Googleフォトなど、Googleが提供しているソフトと手軽に連携でき、複数の人と情報共有しやすいのが特徴。

One Drive

Microsoftが提供しているクラウドサービス。Microsoftのアカウントと紐づけることで、複数のデバイスからファイルや写真などを共有することが可能。ただし、無料で利用でき容量は5Gと制限がある。

「クラウド」のメリット・デメリット

クラウドは手軽に使えて便利といったメリットがある一方で、デメリットもあります。利用する際は、両方を理解しておかなければなりません

メリット

・初期投資の大幅削減が可能。
・自社でサーバーを保有するよりも運用コストがかからない。
・容量の追加・削除が容易にできる。
・複数のクラウドを利用することで万が一の際のリカバリがしやすい。

デメリット

・システムのカスタマイズがしにくい。
・システム障害が起こった際のダメージが大きい。
・セキュリティはサービスを提供している企業に依存している。

「クラウド」の使い方・例文

個人でも利用することが一般的になっている現代において、使い方は難しくないでしょうが、参考までに使い方を例文でチェックしておきましょう。

例文

・人員と業務量が増えたため、クラウドの容量をアップしてもらえるよう上司に依頼した。
・会社がクラウドを利用するようになって、外出先でも仕事がしやすくなった。
・事務所を開設することになったが、サーバーの管理ができないためクラウドを利用することにした。

「クラウド」の類語・言い換え

「クラウド」に明確な類語は存在しませんが、日本語で言い換えるとすれば、「インターネット上のサーバー」が一番わかりやすいです。

「クラウド」の関連語

「クラウド」が広く利用されるようになった現代では、「クラウド〇〇」と名の付いたサービスなどが増えています。ここでは比較的有名なものをピックアップして紹介します。

クラウドソーシング

クラウドソーシングとは、インターネット経由で業務を依頼するビジネス方式のことをいいます。

クラウドワークス

クラウドワークス(Crowd Works)とは、仕事をインターネット上で受発注できる「仕事のマッチングサイト」です。個人・法人は問わず、発注側から報酬をクラウドワークスに支払い、受注者には「仮払い」という形で支払われ、業務完了後に報酬の支払いが確定される仕組みとなっています。発注されている仕事のカテゴリは、システム開発、デザイン、ライティング、翻訳、事務、動画編集など幅広く、業務初心者でもOKの仕事もあるため、初めての仕事に挑戦しやすいのも魅力です。そのほか、インターネット経由での仕事なので、なかなか現地の仕事ができないという海外在住の人にとってもおすすめのサイトといえます。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、サービスや商品の開発者が、資金調達するために、インターネット経由で「利用したい」「購入したい」と考える人からお金を集め、それを資金として実行することを意味する言葉です。

クラウドストレージ

「ストレージ」とは、「保管場所」を意味する言葉で、「クラウドストレージ」は、インターネット上で共有ファイルが利用できるシステムをいいます。

クラウドサイン

クラウドサインとは、「電子契約サービス」のことをいいます。従来の契約書は、紙ベースで、多くの人に回覧し、印鑑をもらう作業が必要でした。これらの作業をネットワーク上で完結してしまおうというのがクラウドサインです。
(データ参照元:CLOUD SIGN

「クラウド」は、メリット・デメリットも理解して利用しよう

「クラウド」は、個人・法人問わずに手軽に利用できるシステムです。しかし、さまざまなデメリットもあるので、仕組みをしっかり理解してから使うようにしましょう。