エスカレーションとはどんな言葉?
エスカレーションの意味は、「段階的に上位レベルに伝達し指示を仰ぐこと」「段階的に程度を上げていくこと」です。
類語は、「指示を仰ぐ」「対応要請」「上位者対応」。
英語で表すときは、「escalation」を使います。
エスカレーションとはどんな意味?
エスカレーションは、次の意味をもつカタカナ語です。
・段階的に程度を上げていくこと
ビジネスでのエスカレーションは、一般的に「アクシデントなどの解決のために、上司に指示を仰ぐこと」の意味で使われます。自分が持つ知識や能力、権限ではその問題に対応するのが難しいときや、上司が直接対応するほうが解決がスムーズになるときなどにエスカレーションが行われます。
問題が起こったときの上司への伝達だけでなく、問題が起こりそうなときの上司への伝達もエスカレーションです。
エスカレーションをするときの例
コールセンターや販売店など、いろいろな職場でエスカレーションは使われています。
例えば、次のようなときにエスカレーションします。
・値引き交渉など、自分よりも大きな権限を持つ上司の許可が必要なとき
・難しいトラブルが発生し、自分よりも知識や能力が上の専門家や、管理者権限を持つ上司の対応が必要なとき
エスカレーションを行った時点で、その問題に対する責任は上司など上位レベルの人に移行します。
IT保守運用担当のエスカレーション
ITシステムの運用保守の分野でのエスカレーションは、上司など社内の上位レベルの人への伝達だけでなく、「クライアントにトラブルの発生を報告すること」も含まれます。
システムトラブルは、クライアントのビジネスに大きな影響を与えるため、クライアントへの迅速なエスカレーションが必要です。トラブルが発生した事実の報告だけでなく、復旧がいつごろになる予定なのか、わかる範囲での報告もしなければなりません。
戦争でのエスカレーションの意味
戦争関連の話でのエスカレーションは、「段階的に程度を上げていくこと」の意味で使われており、戦争の方法や規模が段階的に拡大することを表します。
なるべく短い期間で、敵が耐えられないと思うほど大きな打撃を与えるのが、戦争に勝つためのセオリーといわれています。そのため、戦争では攻撃のレベルを次から次へと上げていき、短期間のうちに最大の攻撃レベルに到達させるエスカレーションが行われることが多いです。
また、軍事作戦が行き詰っているときには、戦局を打開するためのエスカレーションが行われます。新しい戦争手段を用いたり、より大規模な攻撃ができる兵器を投入したり、戦闘地域を拡大したりします。
覚えておきたいエスカレーションの関連語
エスカレーションは、別の言葉と組み合わせて関連語としても使われています。どのような言葉があるのかみてみましょう。
エスカレーションフローとは
エスカレーションフローは、問題が発生した時点からエスカレーションを行うまでの流れのことや、その一連の流れをシステム化したもの。
エスカレーションが必要な問題は、至急に確実な対応をすることが求められる場合が多いです。そのため、エスカレーションフローは事前に作っておき、必要なときにはエスカレーションフローに沿った行動をとるように、すべての社員に徹底しなければなりません。
エスカレーションルールとは
エスカレーションルールは、エスカレーションが必要な問題が発生したとき、その内容や重要度に応じてどの連絡手段でどの役職の上位者に報告するのか、誰が責任者になって対応するのかを定めたルールです。
エスカレーションルールを決めるときは、事前に起こりえる問題を考え、その緊急性や重要度を検討します。緊急性や重要度によってレベル分けを行い、レベルに応じたエスカレーションフローを作っておきます。連絡予定の上位者が不在の場合は誰に連絡するのか、優先順位を付けて3パターン以上決めておきましょう。
エスカレーションするかしないかを判断する基準を決めておくことで、従業員の誰がその問題に直面しても、適切な判断ができるようになります。
報告者の責任を問わないルールも明文化
エスカレーションルールを作るときは、ルールに従って上位者に報告した報告者の責任を問わないことも、ルールとして記載する必要があります。
「ルールに従って報告をしたら問題の責任をとらされた」「ルールに従って報告したものの後から誤報とわかり、間違った報告をした責任をとらされた」などのようなことが起こると、報告者が報告をためらうようになってします。
問題の報告が遅れると、その分だけ対処が難しくなったり、大事に発展したりするので、報告者の責任を問わないことはとても重要です。
エスカレーション対応とは
エスカレーション対応は、エスカレーションが必要なときに、上司など上位レベルの人に問題を引き継ぎ対応してもらうことです。
エスカレーションラダーとは
エスカレーションラダーは、エスカレーションを「戦争の方法や規模が段階的に拡大すること」の意味で使っている戦略系用語。「事態エスカレートの梯子」という意味です。
エスカレーションラダーは、紛争や戦争の程度を44段階にレベル分けし、武力を用いない脅しレベルの状況から、敵国の軍隊を狙った攻撃、敵国の民間人を狙った攻撃、一番絶望的な全面核戦争までの流れを段階的に表しています。
戦争の危機レベルが上がるたび、垂直のはしごを一段ずつ登っていくイメージで、エスカレーションラダーといわれます。
エスカレーションの使い方を例文で学ぼう
エスカレーションの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・エスカレーションする人が迷わずに済むように、エスカレーションフローを周知する。
・オペレータの応対品質を高め、エスカレーションを大幅に削減できた。
・コールセンターのエスカレーション発生を減らす取り組みは、顧客満足度のアップにもつながる。
・世界情勢が悪化しており、我が国もエスカレーションに備える必要が出てきた。
・両国に歩み寄りはみられず、エスカレーションの危険性は高まる一方だ。
エスカレーションの類語・言い換え表現
エスカレーションを言い換えできる、カタカナ語の類語はありません。言い換えするときは、日本語の「指示を仰ぐ」「対応要請」「上位者対応」を使ってください。
・上司にクレームの対応要請をする。
・これは、上位者対応が必要な案件だ。
エスカレーションは英語だと?
エスカレーションは、英語だと「escalation」と表記されます。
・深刻化
・上申
「エスカレーションする」を英訳するときは、動詞の「escalate」を使います。
エスカレーションの意味を正しく読み取ろう
エスカレーションの意味は、「段階的に上位レベルに伝達し指示を仰ぐこと」「段階的に程度を上げていくこと」です。
ここからニュアンスが広がり、分野によって異なる意味で使われています。
ビジネスでもよく使用される言葉なので、正しい意味で解釈できるようになりましょう。