「頭が上がらない」とは簡単にいうとどんな言葉?
「頭が上がらない」の意味は、「相手に引け目を感じて対等な関係に立てない」です。
類語は、「畏敬の念を抱く」「唯々諾々」「弱腰」「逆らえない」「感服」。
英語で表すときは、「no match for」などの表現を使います。
「頭が上がらない」とはどんな意味?読み方は?
「頭が上がらない」の読み方は「あたまがあがらない」。次の意味をもつ慣用句です。
②病気が重くて枕 から頭を起こせない
①の「相手に引け目を感じて対等な関係に立てない」の意味で使う場合が多いです。
①の意味は、儒教思想の「礼」に由来するといわれています。「礼」は相手に対する敬意や感謝を表すための行為ですよね。敬意や感謝を表すとき、自分の立場を相手よりも下に置き、相手を立てる言動をします。
つまり、「頭が上がらない」は、相手よりも自分の立場が低いことを表しているのです。
「頭が上がらない」相手とは
「頭が上がらない」相手とは、自分にとって次のような人のことをいいます。
・大変な迷惑を掛けたのに自分を見捨てず支えてくれた相手
・とても困っていたときに助けてくれた相手
・力関係で優位に立っている夫または妻
・圧倒的に優れた能力を持つ人で、自分ではかなわないと思っている相手
「頭が上がらない」心理とは
「頭が上がらない」心理は、ネガティブな場合とポジティブな場合があります。
例えば、過去に助けてもらったことで「相手に負い目があると感じていて、対等の立場ではふるまえないと思っている」ときはネガティブな心理。逆に「相手に非情に感謝していて、とてもではないが対等の立場でふるまうことはできないと感じている」ときは、ポジティブな心理になります。
相手の力に圧倒されて「卑屈な気分で自分ではかなわないと思っている」ならネガティブな心理。「尊敬の気持ちを抱き、自分ではかなわないと思っている」ならポジティブな心理です。
「頭が上がらない」は目上には使わない
「頭が上がらない」は、ネガティブな心理で使うことも多い言葉なので、上司など目上の相手に使うのはおすすめしません。
あなたが感謝や尊敬の気持ちで「頭が上がらない」といっていたのだとしても、相手はそう受け取らないかもしれません。「自分に負い目を感じ、小さくなっている」「力で押さえつけられ、卑屈に過ごしている」のように、ネガティブなニュアンスで受け取られる場合があります。
感謝や尊敬の意味ならば、ストレートに「感謝している」「尊敬している」と伝えるようにしましょう。
「頭が上がらない」と「頭が下がる」の意味の違い
「頭が上がらない」と間違いやすい慣用句に、「頭が下がる」があります。
「頭が下がる」は、自分と同等か目下の相手の行動をすごいと思い褒めるときに使う言葉です。「頭が下がる」は、それまでは上がっていた頭を何かのきっかけで下げることにしたというニュアンスなので、常に敬意を払うべき目上の相手には向かないといわれています。
「頭が下がる」は、ポジティブな意味での「頭が上がらない」に似ていますが、その意味に「対等な関係に立てない」というニュアンスはありません。すごいとは思っても自分が常に下の立場でいないといけないとまでは思っていないのが「頭が下がる」です。
相手のことをすごいと思っただけのときは「頭が下がる」、相手をすごいと思い「対等な関係に立てない。自分は相手の下だ」と感じているときは「頭が上がらない」を使いましょう。
「頭が上がらない」の使い方を例文で学ぼう
「頭が上がらない」の意味についてわかったら、次は慣用句としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・働きながら学校に通い、難関資格取得を目指している彼の頑張りには頭が上がらない。
・異変にいち早く気づき救急車を呼んでくれた妻には、もう頭が上がらない。
・「頭が上がらない」の意味を国語辞典で調べる。
「頭が上がらない」の類語・言い換え表現
「頭が上がらない」の類語は、「畏敬の念を抱く」「唯々諾々」「弱腰」「逆らえない」「感服」です。それぞれの意味や使い方も頭に入れておきましょう。
心の中に畏れ敬う気持ちを持っている
【例文】
彼の偉業を知り、一層の畏敬の念を抱くようになった。
事のよしあしにかかわらず、何事でもはいはいと従うさま
【例文】
妻のいうことを唯々諾々と受け入れていく。
相手に対して向かっていく態度の弱気なこと。意気地のない、消極的な態度をとること
【例文】
立場が弱いため、弱腰にならざるを得ない。
お局様には誰も逆らえない。
深く感心し尊敬、尊重の気持ちを抱くこと
【例文】
彼の涙ぐましい努力に感服した。
「頭が上がらない」は英語だと?
「頭が上がらない」を英語で表すときは、次の表現を使います。
be out of one’s league:あいてにならない、高嶺の花、不釣合い、格の違うもの
be indebted to:世話になっている、恩恵をこうむっている
feel so indebted to:大変お世話になっている
伝えたいニュアンスに近い表現を選んで用いてください。
「頭が上がらない」をうまく使えるようになろう
「頭が上がらない」の意味は、「相手に引け目を感じて対等な関係に立てない」です。
ポジティブな意味でも使いますが、ネガティブな意味で使用されることも多いため、誉め言葉のつもりでも相手にそう受け取ってもらえない場合もあります。紹介した類語もうまく使い、誤解を招かない表現を心がけましょう。