「クロージング」とは「終了」「契約」こと
ビジネスシーンで使われている「クロージング」を簡単に表現すると「終了」「契約」ですが、詳しくは「終了に至るまでの過程」や「契約を成立させる」という意味になります。現代では、日常生活においてもカタカナ表記や英語表記のものが増えているので、「閉める・終了」を意味する「クローズ(close)」に関連する用語だとは想像がつくかもしれませんが、仕事をしていくうえでは、「クロージング」の正しい意味を理解しておきたいものです。
また、対義語としては「オープニング」になりますが、「オープニング」の対義語には「クロージング」のほかに「エンディング」もあるので、ぜひ併せて覚えておいてください。
「クロージング」の英語は「closing」
「クロージング」を英語で表すと「closing」になりますが、これは、「閉める・終了」の意味をもつ「close」がもとになっています。
【名詞の意味】
・閉じること
・終わり
・閉鎖
・決算
・(証券業界の)大引け
【形容詞の意味】
・終わりの
・締めくくりの
・決算の
広い意味で「終わり」を表わす際に用いられており、熟語としては次のような形で使われています。
・closing ceremony(閉会式)
・closing ceremony of Tokyo Olympics
(東京オリンピックの閉会式)
・closing date(決算日/締め切り日)
・closing date for accepting application
(応募/申請締め切り日)
日本語においての「クロージング」とは
日本語として使われている「クロージング」は、広い意味としては「終了」や「契約」ですが、詳しい意味合いは分野ごとに異なります。
クロージングの意味①一般ビジネス
一般的なビジネスシーンでの「クロージング」は、主に「契約完了」「商談成立」もしくは「商談成立までの過程」を指すことが多いです。
・A社との商談、クロージング失敗したらしいね。いい方向に向かってたのにどうして?
・クロージング能力の高いB君に任せていれば安心だ。
・ちょっと苦戦しましたが、無事クロージングできました。
クロージングの意味②不動産
不動産業界においては、「クロージングコスト」という言葉が頻繁に登場します。これは、不動産の売買時に発生する費用や、ローンの組み換え時に必要となる費用のことをいいます。不動産業界でも、商談を行うことはあるので、「クロージング」と「クロージングコスト」の意味を混同させないよう、注意が必要です。
・建築資材切り替えでメーカーと交渉していた件ですが、無事クロージングできました。
・お客様に伝えたクロージングコストにもれがあったため、至急連絡をとって訂正をした。
クロージングの意味③コールセンター
通販会社や商品のメーカーには、ほとんどの場合、注文や問い合わせなどの電話を受ける専門部署である「コールセンター」が設置されています。電話をかけた際「お電話ありがとうございます」と声がかけられると思いますが、この言葉は「オープニング」です。それに対し、終了時にかけられる言葉が「クロージング」になります。
・クロージングの言葉次第で、お客様の要望をさらに聞き出すことが可能である。
・オープニングとクロージングだけを丁寧にしても途中の対応が悪ければ意味がない。
クロージングの意味④イベント
展示会、発表会など、企業の中でもさまざまなイベントが開催されますよね?多くの場合、イベントの終わりには締めくくりの挨拶やセレモニーの時間が設けられていますが、この締めくくりを「クロージング」と呼びます。少しフォーマルなイベントの場合は「閉会式」と名付けてきちんとした形式で行われますが、この「閉会式」のことを「クロージングセレモニー」ともいいます。
・発表の時間が押したのでクロージングセレモニーは16時になります。
・クロージングで挨拶する人が体調不良で急遽代役を務めることになった。
クロージングの意味⑤テレビ放送
テレビは24時間放送し続けるわけではなく、放送されていない時間帯があるものです。多くの場合、終了の時間になると「本日の放送はすべて終了しました」などのメッセージが映し出されているのですが、これを「クロージング」といいます。
・AAテレビのクロージングのイラストが可愛くて大好きだ。
クロージングの意味⑥アパレル業界
前述した分野の「クロージング」は「終わり」の意味で英語では「closing」ですが、アパレル業界においては「衣類」を意味する「clothing」が由来となっています。しかし、アパレル分野でのイベントの締めくくりは、他の分野同様「closing」ですので、状況によって正しく解釈できるようにしておきましょう。
・有名なブランドにクロージングバイヤーとして入社することができた。
営業職におすすめ!心理学のテクニックで上手にクロージング!
会社の中で、「どうしてそんなに契約が取れるんだろう…」と思うほど、クロージングがうまい人っていますよね?ここでは、「自分は能力がないから」と諦めている人のために、心理学のテクニックを活用したクロージングのコツを伝授したいと思います。
テクニックその①真剣に話を聞く
うまいクロージングをするためには、途中経過も肝心です。営業をする人は、自社の商品やサービスを売り込もうと、一生懸命に話をしがちです。しかし、お客様の話を聞かない人は「この人全然こっちの話を聞いてくれない」と印象をもたれてしまいます。
ですので、商品やサービスを売り込む場合には、お客様の考えを聞き出し、真剣に耳を傾ける姿を見せるようにしましょう。
テクニックその②自分をさらけ出す
たとえば、プライベートで買い物をしているとき、「Aも使ってみたんですけど、こんな不便なところがあったので、自分はBのほうが好きですね」のように、体験談を話してくれると、それを買ってみようと思ったことはありませんか?
営業する人がどんなタイプの人間なのかをさらけ出すと、親近感がわくため、信頼してもやいやすくなります。会社の商品やサービスを提供する場合、話せない部分があるのは当然ですが、出来る範囲で自分という人間をわかってもらえるような話し方をしてみてください。
テクニックその③メリット・デメリットの両方を提示
お客様の価値観は全員が同じというわけではありません。Aさんが便利だと思う機能であっても、Bさんには邪魔だということもあります。また、お客様は、メリットばかりを伝えられると「ほんとにいいことばかりなの?」と不信に思ってしまうものです。ですので、デメリットと併せて対策を伝えることで信頼度がアップします。
テクニックその④希少価値がある場合はアピール
通販サイトを見ている際、「特選タイムセール」「残り1点」といった表示があると「今買わないと!」と思ってしまいませんか?心理的に、希少性のあるものに対して価値があると感じやすい傾向にあります。ですので、紹介したい商品やサービスに希少性がある場合はしっかりとアピールするようにしましょう。
ただし、ずっと「閉店セール」と表示しながら営業している店舗のように、「今だけ!」のようなキャンペーンがずっと行われていると、「今買わなくてもよかったんじゃないの?」と思われ、信頼を失うので注意してください。
「クロージング」の類語・言い換え
「クロージング」を日本語で言いかえる場合は、「終了」「商談成立」「契約締結」「閉幕」など、「終わること」を意味する言葉があてはまります。しかし、カタカナ用語の類語は特にありません。
「クロージング」の意味を理解し、シーンに応じて正しく使おう
「クロージング」は広い意味では「終了」ですが、分野ごとに指す内容が異なるため、それぞれの意味をきちんと理解し、状況に応じて正しく使えるようにしておきましょう。