オムニバスとはどんな言葉?意味や魅力、類語、英語も解説

オムニバスとは?

オムニバスは、「いくつかの独立した短編を集め、全体としてひとつの作品となるように構成したもの」という意味をもつカタカナ語です。

オムニバスは、「すべての人(物)のために」という意味のラテン語「オムニブス」から生まれた言葉。「オムニブス」は、「多数のものを含む」「包括的な」「抱き合わせの」などの意味をもつ英語の「omnibus」になり、そこから上記の意味に派生しました。

カタカナ語のオムニバスの意味をもっとくわしく

カタカナ語のオムニバスは、音楽や映画、文学など芸術分野でよく使われます。共通したテーマに属する小さな作品を集めたものを指すことが多いです。

作者が別々の作品を集める場合、ひとりの作者の作品を集める場合、どちらのケースもオムニバスに含まれます。日本では複数の作者の作品を集めたものが、オムニバスと呼ばれることが多いです。しかし文学作品では、ひとりの作者の作品を集めたものがオムニバスと呼ばれます。

オムニバスの魅力

オムニバスを構成する小さな作品の一つひとつは、それだけでも完成された状態なので、単独でみた場合もひとつの作品としてしっかり楽しむことができます。タイプの異なるさまざまな作品を一度に味わえるため、オムニバスが好きだという人が多いです。

オムニバスは、完成された小さな作品を長編の一部として使い、作品同士に関連をもたせてひとつの大きな作品に仕上げています。ひとつの長編として通してみることで、単独のときにはなかった新たな魅力も感じられます。

大学でのオムニバスとは

大学でのオムニバスは、ある共通したテーマについての講義を、複数の教員が1回ずつ、または複数回ずつ担当する講義形式を意味します。

講義を担当する教員は、それぞれ別々の専門分野を持っています。オムニバスの講義の内容は、それぞれの教員の専門分野のなかから、テーマに関連するものが選ばれます。

異なる視点や考え方からの幅広い知識を得られるのが、オムニバスの講義のメリットです。

学生の視野を広げるきっかけになる一方で、講義全体での統一性や一貫性をもたせるのが難しいという面もあります。

オムニバス形式とは

オムニバス形式とは、ひとつの作品を作るために、あるテーマに基づいていくつかの独立した短編を集める方式のことです。

オムニバスの使い方・例文

オムニバスの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・新進気鋭の若手監督たちによるオムニバス映画が公開される。
・ガールズバンドの代表曲を収めたオムニバスCDをリリースする。
・人気クリスマスソングの洋楽オムニバスアルバムを発売する。
・3週連続オムニバスドラマを放送する。
・日本の海をテーマにしたオムニバス授業を開講する。

オムニバスの類語・言い換え表現

オムニバスの類語は、「アンソロジー」「コンピレーション」「作品集」「短編集」です。それぞれの意味や使い方を頭に入れておきましょう。

オムニバスとアンソロジー

「アンソロジー」は、次の意味をもつカタカナ語です。

アンソロジー
【意味】
異なる作者による作品をある基準で選び集めた本。または、同一作家による作品集

【例文】
人気女性作家のみのホラーアンソロジーが刊行される。

カタカナ語のオムニバスとアンソロジーは、意味にあまり違いがないですが、言葉を用いる対象が異なっています。

オムニバスは文学や演劇、映画、ドラマ、音楽などさまざまなタイプの芸術作品に対して使われる言葉ですが、アンソロジーは文芸作品で主に使用されます。とくに、小説や漫画をまとめた作品集は、アンソロジーと呼ばれる場合が多いです。

コンピレーションとアンソロジー

「コンピレーション」は、次の意味をもっています。

コンピレーション
【意味】
・編集。編集したもの
・「コンピレーションアルバム」の略。特定のテーマや一定のコンセプトに基づく楽曲を集めて編集された音楽アルバム

【例文】
沖縄がテーマのコンピレーションCDが発売される。

カタカナ語のオムニバスとコンピレーションも、意味にそれほどの違いはありません。しかし、言葉を使う対象は違っています。

オムニバスはいろいろな芸術作品に対して使用できるカタカナ語。一方、コンピレーションは音楽作品に対して用いる言葉です。

「作品集」と「短編集」

日本語の「作品集」や「短編集」もオムニバスの類語です。次のように使います。

作品集
【意味】
さまざまな作品を含む出版物

【例文】
苔の写真を集めた作品集を刊行する。

短編集
【意味】
小説や漫画のそれぞれ独立した短編作品を集め、1冊の本とした書籍

【例文】
書店員おすすめのミステリー短編集を集めた特設コーナーを作る。

オムニバスは英語だと?

オムニバスは英語だと「omnibus」と表記されます。

omnibus
・(多くのものを)包括する
・(1冊本の)大選集
・(映画やテレビ番組などが)オムニバス形式の、総集編の、オムニバス映画
・乗合馬車、乗合自動車、乗合バス

英語の「omnibus」に「乗合自動車」や「乗合バス」の意味が加わったのには、いくつかの説があります。

説1
オムニバスの語源「オムニブス(すべての人・物のために)」の意味と、「色々な人が乗る乗り物」であるというつながりから、乗合馬車や乗合自動車が「オムニバス」と呼ばれるようになった
説2
乗り合い馬車の発着所として使われていた雑貨屋の看板に、たまたま「omnibus」と表記されていたことから乗合馬車や乗合自動車が「オムニバス」と呼ばれるようになった

どの説が正しいのかはわかっていませんが、この「omnibus(オムニバス)」が省略されて、現代では「bus(バス)」といわれるようになっています。

【おまけ】ディズニーのオムニバス

カタカナ語のオムニバスが、「乗合自動車」や「乗合バス」の意味で使用されることはめったにありませんが、まれに使われる場合があります。

例えば東京ディズニーランドのアトラクション「オムニバス」は、「乗合バス」の意味でオムニバスを用いています。

東京ディズニーランドの「オムニバス」は、20世紀初めにニューヨークの街を走行していた乗合バスを模した2階建てバスです。おしゃれなアンティーク風バスに乗って、ゆっくりとシンデレラ城前の広場「プラザ」を一周できます。

オムニバスの意味を読み取れるようになろう

オムニバスの一般的な意味は、「いくつかの独立した短編を集め、全体としてひとつの作品となるように構成したもの」。この意味は音楽や映画など、芸術分野分野で使われることが多いです。似たニュアンスで用いられる類語もいくつかあるので、あわせて頭に入れておきましょう。

まれに「乗合バス」の意味でオムニバスが使用されることもあります。シチュエーションに合うニュアンスで、オムニバスの意味を読み取れるようになりましょう。