インラインとは?
インラインは、「その場に埋め込む」「一列に並んでいること」を基本的な意味としてもつカタカナ語です。
インラインは、英語の「in line」からカタカナ語になりました。「in line」の「in」の意味は「の中に」、「line」の意味は「直線、列、行」です。「in line」を直訳すると「直線の中に」となります。そこからニュアンスが広がって、「その場に埋め込む」や「一列に並んでいること」の意味で使われるようになりました。
インラインは分野によって意味が変わるので、まとめておさえておきましょう。
メールでのインラインの意味
メールでのインラインは、メールの文面に引用文を埋め込むことを意味します。
インラインは、だれかから複数の質問事項が書かれたメールが送られてきたとき、そのメールに返信をする場合に使われる手法です。
ビジネスでは、「インラインで回答します」などの言い回しがよく用いられます。「インラインで回答」とは、「インラインを使って相手からの質問に回答する」という意味です。
インラインのやり方
インラインを使ってメールを返信するときは、相手のメールの文面から質問の部分をコピペして引用し、その質問に対する自分の回答を次のように引用文の行間に書いていきます。
(自分の書く文章)ひとつ目の質問の回答
>(相手のメールの引用)二つ目の質問文
(自分の書く文章)二つ目の質問の回答
引用した文とそうでない文の区別がつくように、引用文の文頭に「>」の記号をつけておきましょう。GmailやOutlookの引用符の入力機能を使うと、「|(灰色のバー)」が表示されます。「>」の代わりに「|(灰色のバー)」を使用しても問題ありません。
製造現場でのインラインの意味
製造現場でのインラインは、製造工程を一列に並ばせることを意味する言葉です。
ひとつの製品を作るための製造工程のなかで、メインの生産ラインから外れて、別の場所や別のラインで作業している作業工程があるときに、その外れている作業工程をメインの生産ライン上で工程順に作業できるように組み込むことをいいます。
インライン化することで、製品をラインから外して別のラインに移動し、加工し、再度ラインから外して元のラインに戻す作業をしなくて済むようになります。流れ作業の滞りがなくなるため、単一の製品を大量生産するときの効率を上げられます。
ITでのインラインの意味
ITでのインラインは、その場に埋め込むことを意味します。
プログラミングでは、コード(コンピュータに命令するためのデータ)をその命令を出したい箇所に直接埋め込むやり方を、「インライン展開」や「インライン関数」のように呼びます。
また、WEBページ作成では、Webサイトの文字のサイズや色、背景、配置などの見た目を設定するときに使うCSSを、HTMLタグに直接書き込むやり方をインラインスタイルシートといいます。
HTMLとは、WEBページを作成するために作られたコンピュータのための言葉。HTMLタグは、HTMLで書かれた命令文です。
メイクでのインラインの意味
メイクでのインラインの意味は、まつ毛の内側の粘膜部分にアイラインを引くことです。
ただし、粘膜にアイラインを引くのはドライアイや結膜炎など、目のトラブルの原因になるといわれています。
目の安全を守るため、本来の意味でインラインという言葉を使うのではなく、粘膜部分を避けてまつ毛の生え際の隙間部分を埋めるように、アイラインを引くことをインラインと呼ぶ場合も増えています。
インラインを使ったメール返信は失礼?
インラインを使ったメール返信はビジネスではよく使われていますが、失礼だと感じる人もいます。
そのため、会社によってはインラインを使ったメール返信を禁止しているところもあります。
インライン返信が失礼といわれるのはなぜ?
インライン返信が失礼といわれる場合があるのは、本来ならばイチから文面を作るべきところを、相手の書いた文章を勝手にコピペして使っているから。
また、インライン返信のメールは文字の量が多くなりやすいので、相手に長文を読む労力を使わせてしまうことから失礼であると考える人もいます。
さらに、相手の書いた文書をそのまま引用するため、相手が「自分が書いた文章に対して細かな指摘をされている」というマイナスの印象を抱いてしまう恐れもあります。
インライン返信のマナー
インライン返信をするときは、冒頭に「インラインにて失礼します」などのお詫びの言葉をひとこと入れるのがマナーです。このひとことを入れることで、失礼と思われるリスクを小さくできます。
文章が長くなりすぎないように引用する文面は必要最低限の範囲にし、回答も簡潔に書くようにしましょう。引用すると長すぎて読みづらくなってしまうときは、インライン返信をせず、要点をわかりやすくまとめた通常のメール返信をしてください。
引用文は変更せず、そのままコピーするのが鉄則です。誤字脱字があった場合も勝手に修正してはいけません。勝手な解釈での修正は内容の改ざんにつながり、解釈の食い違いに発展してしまう恐れがあるためです。誤字脱字で相手の言いたいことがわからないときは、そのまま引用して内容を確認し、そののちに相手の意図に沿った回答をするようにしましょう。
インラインの使い方を例文で学ぼう
インラインの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・恐れ入りますが、インライン赤字でご回答申し上げます。
・インラインスケートの止まり方を練習する。
「インライン赤字で回答します」は「インラインを使い、私の返信は赤字で書きます」という意味。例文はこれをより丁寧な言い方に直しています。
インラインスケートは、縦一列に細身の車輪が3~5個並んでつけられているスケート靴です。
インラインの類語・言い換え表現
インラインを言い換えできるカタカナ語の類語はありません。言い換えが必要なときは、日本語の「一列に並んだ」「直列の」「埋め込まれた」を使ってください。
・直列の生産ラインのボトルネックを解消する。
・サイトに不正なコードを埋め込まれてしまった場合の対処法を紹介する。
インラインは英語だと?
インラインは英語だと「in-line」と表記されます。
・連続的な流れをもった処理や方法(副プログラムにあたる関数などを定義したコードが、主プログラムの命令文の中に直接埋め込まれている状態などをいう)
「in-line」は、WEBページ作成やプログラミングの話で使われることが多いです。
メールの話で「インラインで回答します」などといいたいとき、英語圏では「in-line」を使用しません。メールのインラインを英訳するときは、次のような表現を用いるとニュアンスを伝えられます。
I answered as below. :以下のように回答しました
インラインの意味を読み取れるようになろう
インラインの基本的な意味は、「その場に埋め込む」「一列に並んでいること」です。
ここからニュアンスが広がって、メールの返信や製品製造、プログラミングなど、さまざまな分野で異なる意味で使われるようになりました。
分野ごとのインラインの意味も頭に入れておき、シチュエーションに合う意味で解釈できるようになりましょう。