リテラシーとは?
リテラシーの意味は、「ある特定の分野に関する十分な知識や情報を収集し、理解できる能力」「その知識や能力を有効活用できる能力」。
リテラシーのもともとの意味は、「読み書きする能力や知識」です。「書き言葉を使いこなして、作法に沿ったやり方で読んだり書いたりできる能力」を表します。この意味からニュアンスが広がって、「情報を理解し活用する能力」を表す、上記の意味になったといわれています。
日本では、リテラシーが「読み書きする能力や知識」の意味で使われることはあまりありません。「読み書きする能力や知識」の意味のリテラシーは、「識字能力」といわれることがほとんどです。
リテラシーの意味をもっとくわしく
現代のリテラシーは、文章で表現された情報だけでなく、ボディランゲージや画像、映像など、さまざまな形態で表現された情報に対して、それを収集し理解できる能力や有効活用できる能力を意味する言葉として使われます。
さらに、情報の発信者が隠そうとしている情報の裏側や、その情報がその形で発表されることになった経緯などを読み取り、真意を見抜く能力もリテラシーに含まれるようになっています。
リテラシーとコンピテンシーの違い
リテラシーに似た意味をもっていて、間違いやすいカタカナ語にコンピテンシーがあります。コンピテンシーは、次の意味をもつカタカナ語です。
優れた成果をすでに挙げている人物の行動を分析すると、その行動のもとになっている「性格」「動機」「価値観」「思考」に、どのような特性があるのかを導き出すことができます。分析の結果判明したそれらの特性がコンピテンシーです。
リテラシーは、見聞きした知識を理解し活用する能力。コンピテンシーは、過去の経験から導き出される理想的な行動特性。2つは別の言葉ですね。
リテラシーとコンピテンシーは、どちらもビジネスでよく使われる言葉のため、違いを頭に入れておきましょう。
ビジネスでのリテラシー
ビジネスでのリテラシーは、ほかの言葉と組み合わせて「〇〇リテラシー」の形で使われることが多いです。どのような種類のリテラシーがあるかみていきましょう。
情報リテラシーとは
情報リテラシーとは、情報を自分の目的に合うように使用できる能力。次のような力を複合したものが情報リテラシーです。
・探し出した情報が正しいものなのか精査し、見極める力
・情報を正しく理解、分析する力
・情報をもとに決断を下したり、情報を使ったりすることができる力
・情報を正しくまとめ、発信する力
Web記事やSNSなどインターネットで得られる情報のほか、テレビや書籍、新聞、雑誌、人から聞いた話など、この世にあるありとあらゆる情報が情報リテラシーで扱う情報の対象となります。
情報リテラシーと情報モラルの違い
情報モラルとは、情報化社会でトラブルを起こさず、安全に生活していくために必要な考え方や態度です。
個人情報保護、人権侵害や著作権への対応など、他人に危害を加えず自分も危険を回避できるようにするための、情報化社会でのルールやマナーが情報モラルの中身になります。「これらのルールやマナーは情報化社会では大切だ、守ろう」と考えるのが情報モラルです。
それに対し情報リテラシーは、情報モラルを守った行動をとるために必要な判断力や行動力のことです。
ITリテラシーとは
ITリテラシーとは、インターネットやコンピュータなど、ITに関するものを理解し活用する力。
ITリテラシーには、次のような力が含まれています。
・個人情報を投稿しないなど、SNS投稿での危険を避ける力
・IDやパスワードを適切に管理する力
・誹謗中傷をしない、情報漏えいをしないなど、コンプライアンスに関する知識を習得し適切に実践する力
・Webマーケティングの知識を習得し、ビジネスに活かしていく力 など
大人も子どもも簡単にインターネットやコンピュータを利用できる情報化社会では、ITリテラシーの重要度はとても高いです。プライベート、ビジネスどちらの場合も必要な力とされています。
ビジネスリテラシーとは
ビジネスリテラシーとは、ビジネスに必要な知識や能力のこと。社会人にとって必要な基本知識や能力と、業務に必要な基本知識や能力がビジネスリテラシーです。
ビジネスリテラシーには、次のような力が含まれています。
・コミュニケーションスキル
・対人スキル
・身だしなみを整える力
・敬語を使いこなす力
・整理、整頓、清掃をできる力
・報連相できる力
金融リテラシーとは
金融リテラシーとは、金融や経済に関する知識や判断力。
金融リテラシーは、お金とうまく付き合うために必要なお金そのものやお金の流れに関する知識や判断力のことで、次のような力が含まれています。
・生活設計を立て、将来のために計画的な貯蓄や資産運用をしていく力
・適切な金融商品を選ぶために必要な金融や経済に関する知識と、金融商品を見極める力
・金融商品を選ぶため、専門家の力を上手に借りる力
メディアリテラシーとは
メディアリテラシーとは、メディアの機能や特徴を理解し使いこなす複合的な能力です。
メディアリテラシーには、次のような力が含まれています。
・各種メディアにアクセスするための力
・メディアを通じ自ら情報発信する力
・メディアを通じた双方向コミュニケーションでのトラブルを避けたり、うまく処理したりする力
新聞やテレビ、雑誌、ラジオ、電子メールやウェブサイト、ブログなど、さまざまなメディアから日々大量の情報が発信されます。しかし、それらの情報がすべて正しいわけではなく、誤報や人を惑わすためにあえて流された嘘も含まれています。
そのため、メディアをうまく使いこなすには、情報の真偽を見極める力が必要です。
またインターネットにより、一般人もメディアを通しての情報発信を簡単にできるようになったことで、情報を発信する側の能力も必要になっています。
リテラシーの使い方・例文
リテラシーの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・ネットリテラシーがない人が陥りやすいトラブルを紹介する。
・ITリテラシーが高い人材を育成する。
・メディアリテラシー教育に力を入れる。
・ビジネスリテラシーを高める。
・子どもにもメディアリテラシーが必要だ。
リテラシーの類語・言い換え表現
リテラシーを言い換えられるカタカナ語の類語はありません。言い換えが必要なときは、「判断能力」や「活用能力」「識別能力」「読み解く能力」「活用能力」などの日本語を使ってください。
・従業員のIT活用能力を高める。
・情報識別能力が低い人が多い。
・情報を読み解く能力を身に付ける。
・情報活用能力を育成する。
リテラシーは英語だと?
リテラシーは、英語だと「literacy」と表記されます。
・(特定の分野の)技能、知識、能力
「literacy」は、文字を読んだり書いたりする能力という意味でもよく使われます。
リテラシーは関連語の意味もおさえておこう
カタカナ語のリテラシーは、「ある特定の分野に関する十分な知識や情報を収集し、理解できる能力」や「その知識や能力を有効活用できる能力」の意味で使われることが多いです。
リテラシーは、ほかの言葉と組み合わせて「〇〇リテラシー」の形で用いられるケースがよくあります。ビジネスで使用される機会も多いため、関連語の意味も頭に入れておきましょう。