「佳境」とは?
「佳境」の読み方は「かきょう」。「興味を感じさせる場面。面白い場面」という意味をもつ言葉です。
「佳境」には「景色のいい所」という意味もありますが、こちらの意味ではあまり使われていません。「景色のいい所」と表現したい場合は、「佳境」の代わりに「絶景」を使用するほうが、相手にいいたいことが伝わりやすいです。
「ピークを迎える」の意味で使われることも
「佳境」は、「ピークを迎える」の意味で使用されることが多いです。
「佳境」の本来の意味に「ピークを迎える」はありません。しかし、言葉の意味は少しずつ変化する場合があります。「佳境」も、流れのあるものが「ピークを迎える」や「最盛期を迎える」「重要な局面を迎える」などのニュアンスで使用されるようになりました。
「佳境」を使うときの注意点
「佳境」は「ピークを迎える」などの意味で当たり前のように使われるようになりましたが、間違ったニュアンスで使用されることも増えています。
間違って用いることがないように、「佳境」を使うときの注意点をおさえておきましょう。
「単なるヤマ場」には使わない
「佳境」は、「興味を感じさせる場面。面白い場面」「景色のいい所」を表す、いい意味の言葉です。
そのため、「ピークを迎える」の意味で「佳境」を使うときも、単なるヤマ場では使用しません。いいことや面白いことでピークを迎えているときに使うようにしましょう。
「忙しい」や「大変だ」の意味では使わない
ビジネスでの「佳境」は、業務が「最盛期を迎える」「重要な局面を迎える」の意味で使われる場合が多いです。
仕事の最盛期や重要な局面は、やることが山積みで忙しかったり、大変だったりすることがほとんどですよね。そのためか、「佳境」を「忙しい時期」や「大変な時期」の意味と勘違いしている人が増えています。
意味の違いの例
例えば「野菜の収穫が佳境を迎える」といった場合、「収穫が最盛期を迎える」や「長期にわたり取り組む農作業のうち一番面白い時期を迎える」の意味になります。ここに込められているのは、「野菜の収穫が楽しみだ」「たくさん採れてうれしい」などのポジティブな気持ちです。
これを「収穫で忙しくなる時期を迎える」や、「収穫に追われて大変になる時期を迎える」の意味でとらえると間違いです。さらに「忙しくて嫌だ」や「大変な時期を迎えるのはうんざりだ」など、ネガティブな気持ちでいるとしたら、二重の間違いになってしまいます。
「終盤」の意味では使わない
「佳境」を「終盤」の意味で使ってしまう間違いも多いです。
この間違いは、物語などの「佳境(面白い場面)」が、大抵の場合物語の終わりごろに来ることが原因。たくさんの人が「佳境」=「終盤」と勘違いしてしまっているのです。「佳境」は「終盤」の意味ではないので気をつけましょう。
「佳境」の使い方・例文
「佳境」の意味がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・クリスマス商戦がいよいよ佳境を迎える。
・開発が佳境に差し掛かる。
・オープン前の準備が佳境だ。
例文に出てきた「佳境に入る」の意味は、「興味深い場面にさしかかること。物事が頂点や最盛期にさしかかること」です。
「佳境」の類語・言い換え表現
「佳境」の類語は「真っ盛り」「たけなわ」「クライマックス」です。それぞれの意味や使い方を頭に入れておきましょう。
今がちょうど盛りであること
【例文】
しめ縄の生産が真っ盛りだ。
行事や季節などが最も盛んになったとき。盛りが極まって、それ以後は衰えに向かうとき
【例文】
アスパラの出荷がたけなわだ。
最高に盛り上がった状態。最も盛り上がったところ。最高潮
【例文】
人気ドラマがクライマックスを迎える。
「佳境」は英語だと?
「佳境」を英訳するときは、次の表現を使うとニュアンスを伝えられます。
the most interesting phase:最も興味深い段階。最も興味深い局面
the most interesting part:一番面白いところ。最も興味深いところ
the best part:一番いい部分。佳境。いいところ
英語で話す機会があったら、使用してみてください。
「佳境」の意味を正しく頭に入れておこう
「佳境」の意味は、「興味を感じさせる場面。面白い場面」「景色のいい所」です。
ここからニュアンスが広がって、「ピークを迎える」や「最盛期を迎える」「重要な局面を迎える」の意味でも使われるようになっています。
「佳境」は誤用が多い言葉でもあります。「忙しい」「大変だ」「終盤」の意味で「佳境」を用いている人もいますが、これらの意味はすべて間違いです。
「佳境」の意味を理解し、正しく使えるようになりましょう。