「抽象的」とは「具体性に欠ける」という意味
「抽象的」は「なんだかはっきりしない」「具体性に欠けている」という意味で使われることが多い言葉ですが、「抽象的」には2つの意味があることは知っていますか?本記事では、意味や正しい使い方などをわかりやすく解説するので、これを機に、似た意味との違いも含めしっかり覚えていってください。
なお、「抽象的」の対義語は、「はっきりとした姿形をもっているさま」の意味をもつ「具象的(ぐしょうてき)」、もしくは「はっきりと想像できて存在が確認できるさま」の意味をもつ「具体的(ぐたいてき)」になるので、併せて覚えて覚えておきましょう。
「抽象的」の読み方・意味
「抽象的」は、「ちゅうしょうてき」と読み、次のような2種類の意味があります。
①いくつかの物や事象から、共通なもののみを抜き出し、それを一般化して考えるさま。
②頭の中だけで考えいるだけで、具体性に欠けるさま。
たとえば、チャイムが鳴って「誰か来た」と言われると、「人」であることはわかりますが、お客様なのか、業者の人なのか、出張で来た自社の人なのかは不明で、ただ「人」という共通なものでひとくくりにした状態です。これが、抽象的の意味①の事例になります。
また、定例ミーティングで、「残業が多くなっているので、とにかく減らせ」という指示がでたとします。しかし、なぜ残業が多いのか言及せず、対策についても触れていないため、「抽象的な指示」であり、意味②の事例といえます。
「抽象的」の使い方・例文
「抽象的」は日常でもよく耳にする言葉なので、明確な意味を理解できれば使い方は難しくないです。
・解読に時間がかかるから、その抽象的思考どうにかならない?
・Aさんは頭が固いから、そんな抽象的な表現だと伝わらないよ。
・詳しく突っ込まれたくないなら、抽象的な表現でうまく切り抜ける言い方を考えよう。
「抽象的」の類語・言い換え表現
「抽象的」をほかの言葉で言い換える場合、次のようなものが使えます。
【曖昧(あいまい)】
内容が捉えにくく、はっきりしないさま。
【漠然(ばくぜん)】
気持ちや考えがとりとめのないもので、ぼんやりしているさま。
【具体性がない】
内容がはっきりしておらず、具体的ではないさま。
【ぼんやりしている】
はっきりしていないこと。
そのほかの類語には、「観念的」「概念的」があります。
観念的(かんねんてき)
「観念的」とは、具体的事実に基づいておらず、頭の中のみで組み立てられ、現実には即していないことを意味する言葉です。「現実味がない」という点においては「抽象的」と類語といえますが、「観念的」は、どちらかといえば、「空想」「非現実」というように、現実の事象に影響を及ぼさない場合に使います。
概念的(がいねんてき)
「概念的」とは、「物事について、個別性にはとらわれず、大まかに把握する」という意味の言葉です。「具体性がない」という点では「抽象的」の類語といえますが、「概念的」は「大雑把である」といったニュアンスが強いです。
「抽象的」の英語表現
「抽象的」は、英語で「abstract」といいます。
・His explanation is too abstract.
(彼の説明は抽象的すぎる)
そのほか、「抽象的だ」ということを、「具体的ではない」と表現をすることもあるので、併せて覚えておくと便利です。
・His description is not specific.
(彼の説明は具体的ではない。)
「抽象的」の意味を理解し正しく使おう!
「抽象的」は、「はっきりしない」「具体性がない」物事を表現する場合や、共通点を抜き出して一般化しているときに使いますが、状況によっては、「概念的」「観念的」などの類語や、簡単な言い換え表現のほうが伝わりやすい場合があります。関連する言葉も一緒に覚え、上手に使い分けられるようにしてください。