ターゲティングとはどんな言葉?やり方や役立つフレームワークなども解説

ターゲティングとは?

ターゲティングの意味は、「多種多様な顧客層のうち誰に商品を売るのか、売り込むターゲットを決めてマーケティング戦略を立てること」です。

ターゲットを決めるプロセスをターゲティングと呼ぶ場合もあります。

ターゲティングの必要性とメリット

企業の経営資源には限りがあるため、市場のすべての消費者をターゲットにしたマーケティングを行うことは不可能です。そのため、限られた経営資源で自社が有利に勝負できるターゲットがどれか、見極めたうえで資源投入しなければなりません。だからターゲティングが必要なのです。

また、ターゲットを限定することで、特定の顧客層に属する人々のニーズに深くマッチする商品やサービスを開発できるようになります。売り方を考えるときもパッケージや価格設定、プロモーション方法、販売チャネルなどをより明確に、相手に刺さるやり方でイメージできます。

ターゲティングのやり方

ターゲティングのやり方を簡単にみていきましょう。

ターゲティングのやり方①

ターゲティングでは、まず市場にいる消費者を次のような特徴で細分化します。

MEMO
性別、年齢、居住地、興味、関心、趣味嗜好、居住地域、勤務地域、業種、過去の行動データなど

これらの情報をもとに人々を細分化することを、マーケティングではセグメント化またはセグメンテーションといいます。セグメント化(セグメンテーション)については、こちらの記事でくわしく解説しているのでぜひ読んでみてください。

セグメントの意味とは?ビジネスやIT分野での意味、類語についても解説

ターゲティングのやり方②

セグメント化できたら、自社の商品やサービスの特徴、ライバル企業のものと比べたときに有利な立場になれるところがどこかなどを考えます。

セグメント化した顧客層それぞれについて、自社の商品やサービスを購入することでどのような利益を得られるかも検討しましょう。大きなメリットを感じられる層がどれか見極めてください。

自社と顧客双方の利益が最大になる顧客層をターゲットにすることが、ターゲティング成功の秘訣です。

ターゲティングに役立つフレームワーク

自社とターゲット双方の利益を見極めるには、「6R」と呼ばれるフレームワークを使うのがおすすめです。

「6R」とは次の6つの項目のことです。

有効な市場規模:Realistic Scale
期待しているだけの数の商品やサービスが売れる市場規模があるか。コストを回収し利益を得られるだけの売り上げが見込めるか
成長性:Rate of Growth
今後の成長が見込まれる市場か。いま十分な売り上げが見込めたとしても今後衰退していく市場は避けるほうが安全
顧客の優先順位と波及効果:Rank/Ripple Effect
市場に優先順位をつけ、優先順位の高いもの、波及効果が大きいものを選ぶ。
自社の商品やサービスに関心を持ってくれるインフルエンサーがいる市場は優先順位が高い。メディアが注目している市場も、その市場にいる消費者の興味関心と商品・サービスがマッチしていれば拡散効果が狙える
到達可能性:Reach
商品やサービスを物理的にターゲットに届けられる運送手段があるか。チラシやネット広告など、宣伝をターゲットに見てもらう手段が整っているか
競合状況:Rival
ターゲットを取り合うことになる競合他社が、どのくらいその市場にいるのか。競合他社の数だけでなく、ライバル企業の市場シェア率も判断材料になる。なるべくライバルが少なく大きな力をもつライバルもいない市場が狙いやすい市場
反応の測定可能性:Response
売り込みに対するターゲットの反応や効果などを測定しやすい市場かどうか。売り込みに対する反応が測定できると、その反応をもとに今後の売り込み方を修正していける

それぞれの項目についてチェックしていき、総合的に考えて自社が有利に勝負できる市場がどこかを見極めてください。

ターゲティングできたら次はポジショニングを決める

ターゲットが決まったら、次はそのターゲットに自社の商品やサービスを通してどのような価値を提供するかを考えます。これがポジショニングです。

自社の商品やサービスが、ターゲットにより魅力的に見えるにはどう他社と差別化したらいいか、売り込むポイントを明確にしましょう。

重要なのは、ターゲットにとって自社のものが他社のものよりも魅力的であること。ターゲットが重視していない部分で、他社より秀でているとアピールしてもあまり意味がありません。

覚えておきたいターゲティングの関連語

ビジネスでは、ターゲティングの関連語もよく使われます。どのような関連語があるかもおさえておきましょう。

ターゲティング広告

ターゲティング広告は、年齢、性別、居住地、Webサイトの訪問履歴などの条件を指定し、その条件を満たすユーザーにだけ広告を表示できるWeb広告

ユーザーの興味・関心に合う広告を表示させられるので、高い広告効果を期待できます。

ターゲティングメール

ターゲティングメールとは、自社にメールアドレスを登録してくれている見込み顧客のうち、条件に当てはまるターゲットにだけ配信するメールのこと。

性別、年齢、居住地、勤務地、所属部署、役職、業種などを条件にターゲットを絞り込みます。ターゲットの特徴を踏まえた内容のメールを配信できるので、ターゲットの興味を引きやすくなり、メールを開封してもらえる確率が上がります。

ターゲティングの使い方・例文

ターゲティングの意味ややり方がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
ターゲティングの成功事例を紹介する。
ターゲティング戦略を練る。
ターゲティング広告をリセットする方法を調べる。
・家族でWi-Fiを共有しているとターゲティング広告も共有される場合がある。

ターゲティングの類語・言い換え表現

ターゲティングを言い換えできる類語はありません。

ターゲティングはマーケティング用語で誰もが知っているようなカタカナ語ではないため、相手に意味が通じない場合もあるかもしれません。そんなときは、「市場のなかから商品を売り込むターゲットを決めてマーケティング戦略を立てること」など意味を簡単に説明してあげると親切です。

ターゲティングは英語だと?

ターゲティングは、英語だと「targeting」と表記されます。

targeting
・(射撃などの)まと、 標的
・(武器の)照準、標的設定
訴える対象層を定めること(利用者の興味や関心事に応じた広告を配信すること。マーケティングの顧客層の標的設定)
・(社会保障制度で受給者の)対象絞り込み

英語の「targeting」は、カタカナ語のターゲティングと違い、マーケティングに関係のない意味で使われることもあります。和訳するときは注意してください。

ターゲティングとあわせて関連語も頭に入れておこう

ターゲティングは、「多種多様な顧客層のうち誰に商品を売るのか、売り込むターゲットを決めてマーケティング戦略を立てること」を意味するマーケティング用語です。

ターゲティングは、セグメント化やセグメンテーション、ポジショニングなど別のカタカナ語とあわせて使われることがよくあります。また、ターゲティング広告やターゲティングメールも使用される機会の多い関連語です。耳にしたときに困ることがないように、これらの関連語もあわせて頭に入れておきましょう。