「ありますでしょうか」は間違った敬語
「ありますでしょうか」は、「ありますか」をさらに丁寧にした表現のような印象があり、実際に使っている人も多いと思います。しかし、実は敬語表現としてはおかしいんです。
本記事では、「ありますでしょうか」がなぜおかしいのかを解説するとともに、ビジネスメールにも使える正しい言い換え表現や例文などもわかりやすく紹介します。
「ありますでしょうか」の意味
「ありますでしょうか」は「あります」+「でしょうか」の2つの言葉に分けられます。それぞれの意味は次のとおりです。
・あります → 「ある」の丁寧語
・でしょうか → 「だろうか」の丁寧語
つまり、丁寧語を二つ重ねた二重敬語です。日本語の中で、二重敬語は回りくどいだけでなく、不適切な表現とされているため、「ありますでしょうか」は間違った敬語といえるわけです。
「ありましたでしょうか」も間違った敬語
「ありましたでしょうか」も「ありました」+「でしょうか」に分けられます。「ありました」は「あった」の丁寧語で、「ありますでしょうか」と同様二重敬語にあたるため、間違った敬語表現です。
「ありますでしょうか」の言い換え表現
「ありますでしょうか」が二重敬語にあたるなら、どのような表現が正しいのでしょうか。シーンによって適切な敬語がいくつかあるので、使い方・例文もあわせて解説します。
商品の有無を聞く場合
「在庫はありますでしょうか」がよく使われていますが、本当はおかしな敬語表現です。同じように「ほかの色はありますでしょうか」「サイズ展開はありますでしょうか」も間違いです。
・在庫はございますか
【カジュアルな表現】
・在庫はありますか
・在庫はあるでしょうか
質問の有無を聞く場合
「質問はありますでしょうか」を使うことが多いと思いますが、これはおかしなけいご表現です。
・質問はございますか。
・質問はおありですか。
【カジュアルな表現】
・質問はありますか。
持っているかを聞く場合
「資料はお手元にありますでしょうか」会議やプレゼンなどでよく耳にしますが、これはおかしな敬語表現です。
・資料はお手元にございますか。
・資料はお持ちでいらっしゃいますか。
【カジュアルな表現】
・資料はお手元にあるでしょうか
予定などを聞く場合
「明日はお時間ありますでしょうか」、予定の確認などで、当たり前のように使われていますが、これはおかしな敬語表現です。
・お時間ございますか。
【カジュアルな表現】
・お時間ありますか。
「ありますでしょうか」の英語表現
日本語のような細かい敬語表現は存在しないので、「ありますでしょうか」は「ありますか」の意味をもつ「Do you have ~~」を使います。
・Do you have any question?
(何か質問はございますか?)
・Do you have this product in stock?
(この商品の在庫はございますか?)
そのほか、「この商品はございますか」など、商品が売っているかどうかを確認する場合は、「Do you sell ~」も使えます。
・Do you sell any of the products featured in this magazine?
(この雑誌に掲載されている商品は売っていますか?)
「ありますでしょうか」の意味を理解し正しく使おう!
とても丁寧な表現という印象の「ありますでしょうか」は、当たり前のように使われてきた言葉だと思います。そのため、この先言い換え表現を使っていくのは不自然に感じるかもしれませんが、二重敬語なので、今後は正しく使っていきましょう。
日本語は、丁寧語、尊敬語、謙譲語と、敬語表現がいくつもあり難しく感じるでしょうが、ある程度のルールがわかればすぐにマスターできます。かっこよく正しい言葉を使いこなせるよう少しずつでも覚えていってください。