アドホックとはどんな言葉?
アドホックの意味は、「その場限りの」「臨時の」「暫定的な」「特定の目的のための」「特別の」。
アドホックを言い換えできるカタカナ語はありません。日本語の場合は、「臨時」「暫定的」「特別」などを言い換えに使います。
アドホックの反対語はルーチンです。
アドホックを英語で表すときは、「ad hoc」や「customized」「special」を使用してください。
アドホックの意味は?
アドホックは、「その場限りの」「臨時の」「暫定的な」「特定の目的のための」「特別の」という意味を核にもつ言葉。
次のような意味で使われることが多いです。
・若者好みの専門店やレストランを1ヶ所に集めた総合店舗
・IT分野で「アドホックモード」の略
アドホックは英語だと?
アドホックは、ラテン語の「ad hoc」からカタカナ語になった言葉です。英語では、「ad hoc」がそのままの綴りで使われています。
・特別の目的のために、当面の問題だけについて
・その場しのぎに、即興で
・その場しのぎの、即興の
・特別に
「an ad hoc basis(場当たり的)」のように、英単語の代わりに使用されます。
ただし、ラテン語がわからないネイティブスピーカーも少なくないため、「customized(特別あつらえの、特別注文による)」や「special(特別の)」を使うほうが親切です。
ビジネスやIT分野などでのアドホック〇〇
ビジネスやIT分野では、アドホックにほかの言葉をくっつけて熟語にした、アドホック〇〇もたくさん使われています。
それぞれの意味を確認しておきましょう。
アドホック分析とは
アドホック分析は、特定の目的のために必要に応じて、事前準備なしで行う単発の分析のこと。顧客や市場の調査やビッグデータ分析で使われることが多い分析方法です。
調査の計画立て、対象者や調査方法の選択、調査、集計、分析のすべてがその時1回で完結するのが特徴。短時間で限定的な結果を得ることができます。
仮説の検証や、特定の物事をいろいろな角度から、試行錯誤しつつ分析したいときに向いています。
アドホック会議とは
アドホック会議は、グループウェアを使って臨時に開催する会議のこと。
直接対面する従来の方法で集合する必要まではないけれど、話し合わなければならない事柄がある場合や、重要な情報を早急に共有したいときなどに開催されます。
アドホックモードとは
アドホックモードは、無線LANで通信するときのモードのひとつ。
無線LANアクセスポイント(Wi-Fiルーター)を使わずに、パソコンやスマホなどのコンピュータ類につけられている、通信電波を発射したり受け取ったりする機械(無線LANアダプタ)を用いて、相手の端末と直接通信する方法です。1対1で通信します。
アドホックモードとインフラストラクチャーモード
インフラストラクチャーモードは、アドホックモードの対義語です。
コンピュータ類が通信をするときに、無線LANアクセスポイント(Wi-Fiルーター)を使って電波のやり取りをする方法を、インフラストラクチャーモードといいます。
無線LANアクセスポイントを使用すると、複数のコンピュータが同時に通信できるようになります。
また、無線LANアクセスポイントがほかのネットワークやインターネットにつながっていれば、外部との通信も可能です。そのため、通信の方法として一般的に用いられているのは、インフラストラクチャーモードのほうです。
アドホックパーティーとは
アドホック・パーティーは、PS3(PlayStation 3)のソフトウェアや同じ名前のオンラインサービスのこと。
PSP(PlayStation Portable)のアドホックモードの無線を、インターネットに接続されているPS3に送信することで、PS3経由で離れた場所にいるほかのPSPプレイヤーと通信プレイができます。
アドホックネットワークとは
アドホックネットワークは、無線LANアクセスポイント(Wi-Fiルーター)や携帯電話の基地局など常設の中継インフラを使わずに、無線でネットワークにつながる機能をもつパソコンやスマホ、タブレットなどのコンピュータ類を直接つなげることで形成するネットワークです。
複数の端末を数珠のようにつなげて、バケツリレー方式で通信していくことで、直接は通信できない離れた位置にある端末でも通信できるようになります。
アドホックテストとは
アドホックテストは、ソフトウェアテストのやり方のひとつ。テスト計画を立てず、その場で思いついたことを場当たり的にテストします。
テスト技術者の勘と経験をもとに普通はしない操作をあえてしてみたり、バグが起きそうな操作をあえて繰り返したりして、バグが起きないか確かめるのが一般的な使い方。
テスト計画を立てて行う通常のテストの後に、補助的に実施するケースが多いです。あえて変なことをすることで、通常のテストで発見できなかったバグや、制作者が意図していなかったバグがみつかる場合があります。
アドホックPCIとは
アドホックPCIは医療用語です。
PCIは、経皮的冠動脈インターベーションという意味。狭くなった冠動脈を、血管内部から広げる処置を行います。治療による痛みや発熱、出血などがなるべく少なくなるように、カテーテルと呼ばれる細い管を腕や脚の血管から体内に入れて、血管を通り道にして患部まで到達させて治療します。
アドホックPCIは、診断的冠動脈造影と呼ばれる血管にカテーテルを入れて行う検査を実施しながら、治療が必要な部分がみつかったらその場でPCIを施すことです。
検査と治療を同時に行うことで再度の冠動脈造影をする必要がなくなり、治療費や入院日数を減らせます。
アドホックの使い方を例文で学ぼう
アドホックの意味がわかったら、次は言葉の使い方を例文でイメージしてみましょう。
・アドホックで近くのスマートフォンと接続して直接情報伝達できる技術は、災害対策としても期待されている。
・顧客のアドホックな要求に柔軟に対応する。
・アドホックなデータ分析に対する企業のニーズが増えている。
・オンラインでアドホックなミーティングを開く。
アドホックの類語・言い換え表現
アドホックを言い換えできるカタカナ語はありません。日本語なら、「臨時」「暫定的」「特別」を言い換えに使えます。
・一時的であること。その場限りであること
・一時的なさま
・物事の状態や性質などの度合いが群を抜いている様子
・ほかとの間にはっきりした区別があること。ほかとはっきり区別して扱うこと
・(下に打消しの言葉をつけて)これといって。それほど
これらの言葉でアドホックを言い換えると、次のようになります。
・ホームページを立ち上げることになり、ひとまず暫定ページを用意した。
・イベントのため、特別なダイヤでバスを運行することが決まった。
アドホックの反対語
アドホックの反対語はルーチンです。
・慣習的、定型的な処理手続き
「ルーチン作業での人的エラーを減らす対策を講じる」のように使います。
アドホックの意味を読みとれるようになろう
アドホックは、「その場限りの」「臨時の」「暫定的な」「特定の目的のための」「特別の」という意味を核にもつ言葉。
ビジネスではアドホック会議やアドホック委員会、アドホック分析など、熟語になって使われる場合も多いです。耳にしたときに意味がわからないと困ることになるかもしれませんね。
その言葉が何を表しているのか推測できるように、アドホックの意味をしっかり頭に入れておきましょう。