吟味とはどんな言葉?
吟味の意味は複数ありますが、ビジネスで使う場合は「物事を念入りに調べること」や、「念入りに調べて選ぶこと」という意味になるのが一般的です。
「物事を念入りに調べること」や、「念入りに調べて選ぶこと」の意味で吟味を使う場合の類語・類義語は、「考察」や「評価」。
英語で表すときは、「examination」「exploration」「scrutiny」を使います。
吟味の読み方と意味
吟味は「ぎんみ」と読み、次の意味をもっています。
②罪状を調べ、ただすこと。詮議(せんぎ)。糾問(きゅうもん)。取調べ
③物事を念入りに調べること。念入りに調べて選ぶこと
④監督すること。監視すること。取締り
このように、吟味には大きく分けて4つの意味がありますが、ビジネスで使う場合は③の意味になるのが一般的。そのほかは、文芸の世界や時代劇などで使用するケースが多い意味なので、雑学としておさえておく程度でもOKです。
吟味するとは?
ビジネスで「吟味する」といった場合、「物事を念入りに調べる」や「念入りに調べて選ぶ」の意味になります。
吟味の語源①
現代では、「物事を念入りに調べること。念入りに調べて選ぶこと」の意味で使われるのが一般的な吟味ですが、もともとはこの意味では使用されていませんでした。吟味の成り立ちもみてみましょう。
吟味の「吟」の「味」は次の意味をもつ漢字です。
②深く味わう。よく確かめる
③うめく。うなる
②あじわう
③内容。なかみ
④なかま
「吟」と「味」を組み合わせた吟味は、詩歌を作ったりうたったりすることを通して、その中身を深く味わうことを表す言葉です。もともとは「詩歌などを吟じ(ぎんじ)て、その趣をあじわうこと」を意味する言葉だったんですね。
吟味の語源②
最初は詩歌に関する言葉だった吟味ですが、江戸時代になると意味が広がり、裁判で犯罪や訴えをしっかり調べることを意味するワードになります。
吟味では、罪を犯した人と被害を受けた人の言い分を聞き、それが真実なのか調べて、妥当な裁きを下します。この取り調べや裁きを担当していた役人を吟味役と呼びます。時代劇が好きな人は耳にしたことがあるかもしれませんね。
また、江戸時代には吟味が監督の意味でも使われており、勘定吟味役という役職が設けられていました。勘定吟味役は幕府財政の運営や税の徴収など、幕府のお金の出入りに関わる仕事をしている役所の、事務作業全般を監督する責任者です。
吟味の使い方を例文で学ぼう
吟味の意味がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。ここでは主に、「物事を念入りに調べること。念入りに調べて選ぶこと」の意味での吟味の使い方を紹介します。
・実店舗ではサンプル商品で実物を吟味してもらい、購入はオンラインショップで行ってもらう新しい販売形態で出店する。
・吟味された原料だけを用いた極上の缶詰を発売する。
・イベント販売用に、凄腕バイヤーが吟味を重ねた逸品ばかりを集めた。
・コトバンクで吟味の意味を調べる。
吟味の類語・言い換え表現
「物事を念入りに調べること」や、「念入りに調べて選ぶこと」の意味で吟味を使っている場合、「考察」や「評価」に言い換えできます。
それぞれの意味や使い方を確認しましょう。
考察
「考察」の意味は、「物事を明らかにするためにしっかり調べて考えること」。
「新商品が爆発的にヒットした原因を考察する」のように使います。
評価
「評価」は、「ある物事や人物にどれだけの価値があるか見定めること。ねぶみ」と、「ある物事や人物の意義や価値を認めること」のどちらかの意味で使われる場合が多い言葉です。
人物に対して「ねぶみ」の意味で「評価」を用いると失礼になるので、使用するときには気をつけてください。
「斬新な企画が評価され、コンペに勝利した」のように使います。
吟味の反対語
吟味の反対語は、「瞥見(べっけん)」と「一瞥(いちべつ)」です。どちらも「ちらっと見ること」という意味で、次のように使用します。
・一瞥した限りではとくに問題ないように思えた。
吟味は英語だと?
「物事を念入りに調べること。念入りに調べて選ぶこと」の意味の吟味を英訳するときは、次のような英単語が使えます。
scrutiny:精密な調査、精査、投票検査、監視、じろじろ見ること、凝視
また、「吟味する」を英訳したいときは、次の動詞や表現を使用してください。
examine closely:突き詰める、精密に検査する、糾明する、厳密に調査する
【雑学】国語や数学での吟味
吟味は学校教育でも登場する言葉です。
例えば、国語では「吟味よみ」という指導が行われています。「吟味よみ」とは、課題になっている文章をしっかり読み、作者の書き方の工夫について自分なりに吟味して評価すること。各自の吟味が終わったら子ども同士で意見を交わし、ひとりでは気づかなかった作者の工夫などを見つけ出して、さらに吟味を深めます。
数学での吟味は、導き出した解が問題の条件に合っているか、解のほうから逆に考えて矛盾がないかを確認することです。
吟味を使ってみよう
吟味にはいくつか意味がありますが、ビジネスでは「物事を念入りに調べること。念入りに調べて選ぶこと」の意味になる場合がほとんどです。
まずはこの意味をしっかり頭に入れて、使い方は紹介した例文などを参考に練習してみましょう。