ロットとはどんな言葉?
ロットの一般的な意味は、「ひとまとまり」「一組」「一群」「一口」「一山」です。製造や物流、販売、建築、金融などの業界では、それぞれ異なる意味で使われています。
ロットの類語は「バッチ」です。
ロットを英語で表すときには、「lot」を使ってください。
ロットとはどんな意味?
ロットは、次の意味をもつカタカナ語です。
・一組
・一群
・一口
・一山
これらの意味からニュアンスが広がり、製造や物流、販売、建築、金融などの業界では、それぞれ異なる意味で使われています。
製造分野でのロットの意味
製造分野でのロットは次の意味になります。
②同一仕様の製品や部品を、一定個数ずつ生産単位としてまとめた数量
③同じ種類の製品を生産するときの最小単位
①②は、製品の均一性を保つために定められるもの。③は、少なすぎる量で製造して無駄なコストが生じることや、製品の作りすぎによる在庫過多を避けるためのものです。
1ロットいくつという決まりはなく、その業者ごとに異なります。
物流分野でのロットの意味
物流分野でのロットは、「輸送、荷役、保管を行うときの処理単位」という意味です。
物流では、トラックを満タンにした状態で輸送するのが最も効率がよく理想的。少ない荷物の発注を何度も受けるのは作業効率、収益どちらの面でみても無駄が多くなります。
ロット(処理単位)は、少しでも無駄を省き輸送効率を高めるために決められており、ある程度の量を一度に処理できるようにしています。1ロットいくつという決まりはありません。
荷主との取引単位を指してロットという場合もあります。
販売分野でのロットの意味
販売分野でのロットは、商品を注文するときの発注単位。決められたロット(発注単位)にもとづいた数量でないと注文できない場合が多いです。発注先によってロット数は異なるので、注文するときにはしっかり確認する必要があります。
発注単位のロットは在庫管理をするときに、別のタイミングで仕入れた同種の商品と区別するためにも利用されています。同じロットの商品には同じ番号が割り振られ、同じ時に仕入れた商品のまとまりとして管理されます。
建築分野でのロットの意味
建築分野でのロットには、次のように複数の意味があります。
・品質管理するうえで、同一品質と見なされるひとつのまとまり
・全体の作業をいくつかに分けて行うときの分割した一つひとつの工程のこと(例、住宅を建てる場合の基礎部分、外装部分、内装部分がそれぞれロットと呼ばれる)
・連続して打ち込んだコンクリートの一層
・縮尺のこと
どの意味で使われているかは、文脈から読み取ってみましょう。
金融分野でのロットの意味
金融分野でのロットの意味は、取引する通貨や有価証券の売買単位です。
1ロットいくつかについてはっきりとした決まりはありません。しかし、だいたいの目安はあり1ロットあたり10万円、株なら1ロット100株とされる場合が多く、これより少ない数量では取引できないケースがほとんどです。
ロットは英語だと?
ロットを英訳するときは、「lot」という英単語を使ってください。
・くじ引きによる選定
・くじ、さいころ
・くじ引きなどで分けたわけ前、取り分
・運命、定め
・ひとまとめで売られる一山、一組の商品
・関連がある多くのことや人、もの
・ある性質を持つ種類、タイプ、やつ、こと
・たくさんの~(a lot of)
・都市や街区の区画
・ある用途の土地、場所
「lot」には、紹介したようにたくさんの意味があり、カタカナ語のロットとは異なる意味で使われる場合も多々あるので、和訳するときは気をつけましょう。
覚えておきたいロットの関連語
ロットには、ほかの言葉を組み合わせて熟語になった関連語もたくさんあります。ビジネスで使われる機会が多い言葉ばかりなので、しっかり覚えておきましょう。
ロット数とは
ロット数は、次の2つの意味で使われる言葉です。
・製品を注文するときの発注単位
製品を製造するときにロット数を大きくしすぎると在庫が増えすぎ、小さくすると作る製品の数に対しての段取時間(準備する時間)が多くなって生産性が低くなります。そのため、自社のストックとして製品を製造するときには、両者のバランスを考えてロット数を決めなければなりません。
ほかの企業から注文を受けて製造する場合は、ロット数が多いほうが生産性が高く利益を得やすくなります。
商品を注文するときにロット数が多いほど単価は安くなりますが、ロット数が大きいと、在庫を抱えるリスクも高まるのです。
ロット番号・ロットナンバーとは
ロット番号やロットナンバーは、同一仕様の製品や部品で、ロット(生産単位)ごとにつけられる管理番号のことです。
メーカーが製品を管理するためのもので、数字と記号の組合せで製造年月日や製造工程など製造情報がわかるようになっています。
新型コロナワクチンに異物の混入がみつかったときに、同じような問題がある可能性のあるロットの製品と問題がない製品を区別できたのは、それぞれのワクチンにロット番号がつけられていたからです。
ロット管理とは
ロット管理は、企業が取り扱う製品や商品の出荷、販売、入荷を、ロット番号を利用して管理する方法です。
ロットごとにその製品や商品が今どこにあるか、どのくらい売れたかを調べられます。
ロット生産とは
ロット生産は、ひとつの製造ラインで、複数種類の製品をロット単位で交互に生産する形態。
例えば、「製品Aをロット単位でまとめて生産し、それが終わったら製品Bをロット単位でまとめて生産する」というようなやり方がロット生産になります。
ロット生産は、一定の時間で製造できる量と販売できる量を比べたときに、販売できる量のほうが少ない場合に使われることが多いです。作りすぎを避けるため、ほかの製品の製造と組み合わせます。交互に製造することで、製造ラインを無駄に休ませることも避けられます。
ロットの使い方を例文で学ぼう
ロットの意味がわかったら、次は言葉の使い方を例文でイメージしてみましょう。
・創業以来のロングセラー製品だったが、最終ロットをもって生産終了することになった。
・異物が混入していた商品と同一ロットの商品の自主回収が決定した。
・小ロットのオーダーでも喜んで対応させていただきます。
例文に出てきた小ロットは、少ない数量のロットのこと。製造しても採算がとれる、最小の数量に近い数値をいう場合が多いです。
ロットの類語・言い換え表現
ロットの類語は「バッチ」です。
ひとつの生産ラインで同じ時に作られているため、バッチは同じ特性、同一の品質をもっていると考えられる生産単位になります。
ロットが「1回の生産で作られた製品や部品をひとつの生産単位としてまとめた数量」の意味で使われているなら、バッチ=ロット。
ロットが「同一仕様の製品や部品を一定個数ずつ生産単位としてまとめた数量」の意味ならば、バッチに含まれている全数量を一定の個数で小分けして、小さなまとまりにしたものがロットになります。
バッチとロットを同じ意味で使う場合と、バッチとロットを区別して使用するケースがあるため、バッチはいつでもロットの言い換えに使えるわけではありません。
【おまけ】ロットがつく言葉
ここまで説明してきたロットとは意味に関係はないですが、ロットというワードが使われている言葉はたくさんあります。雑学としてまとめてみてみましょう。
ロットの意味を正しく理解しよう
ロットは日常生活ではあまり使われませんが、ビジネスではよく使用される言葉です。複数の意味をもっていて、それぞれの業種によってよく用いられる意味が違っています。さらに、類語もたくさんあり、そちらもビジネスではよく使われます。
覚えることがたくさんあって少々厄介ですが、ロットや関連語の意味を正しく理解し、話の筋に合うニュアンスを正確に読み取れるようになりましょう。