「いきさつ」とは「事のなりゆき」という意味
「いきさつ」は、「物事がたどってきた経過」や「事のなりゆき」を意味する言葉です。ビジネスシーンだけでなく日常でもよく使われますが、意味をきちんと考えた人は少ないのではないでしょうか。
本記事では、「いきさつ」の正しい意味や使い方のほか、類語、言い換え、英語表現などについてもわかりやすく解説します。
「いきさつ」の語源・漢字
「いきさつ」は「経緯」という漢字で表します。
「いきさつ」の語源は、織物の仕組みからきているとされています。地球には経度(縦線)と緯度(横線)がありますよね?そして織物は縦糸と横糸の組み合わせで造られており、織物の分野においては、縦糸を「経糸」、横糸を「緯糸」呼んでいます。なお、緯糸は「ぬき糸」とも呼ばれています。
縦と横の糸が組み合わされる様子を、いろいろな方向からの物事のなりゆきに見立てたところから「経緯」という言葉が生まれました。
「経緯」の読み方・意味
「経緯」は「けいい」と読む人が多いかもしれませんが、この読み方は、織物の分野では、縦横の糸を表している場合もあります。また、縦横の糸を意味する読み方には「たてぬき」もあります。
前述したように、「いきさつ」の読み方では、「物事がたどってきた経過」や「事のなりゆき」を指しますが、「けいい」も同様の意味をもっています。ただし、「けいい」の場合は、「いきさつ」よりも、より「入り組んだ事情」というニュアンスが強いです。
「いきさつ」の使い方・例文
「いきさつ」はビジネス用語としてだけではなく、普段の生活の中でも取り入れられているので、使い方は難しくないでしょうが、「事のなりゆき」を意味する場合の例文をいくつか紹介しておきます。
・今回の間違いが起こったいきさつ教えてください。
・どのようないきさつでこのような結果が導きだせたのでしょうか?
・昨日までのいきさつは把握していますか?
「いきさつ」の類語・言い換え表現
「いきさつ」をほかの言葉で言い換える場合、次のようなものがあります。ニュアンスの異なるものもあるので、状況に応じて使い分けてください。
【事情(じじょう)】
ものごとがそうなった、もしくはそうなるわけ。
【成り立ち(なりたち)】
あるものができるまでの過程や事情。
【背景(はいけい)】
ものごとの背後にある事情。
【あらすじ】
おおよその道筋。
【顛末(てんまつ)】
事の最初から最後までの事情
・今回降格処分になってしまった背景を聞いてもいいですか?
・今回降格処分になってしまった顛末を聞いてもいいですか?
また、カタカナ用語の類語としては、「プロセス」があげられます。
・ものごとの手順、手段、方法
・この結果になったいきさつを聞かせてください。
・この結果になったプロセスを聞かせてください。
「いきさつ」の英語表現
「いきさつ」を英語で表現する場合は、「how=どうして、どのようにして」や「the whole story=全体像、全体の流れ」が使えます。
・Please tell us how you came to this result.
(この結果に至ったいきさつを聞かせてください。)
・Tell us the whole story this mistake occurred.
(このミスが発生したいきさつを教えてください。)
「いきさつ」の意味を理解し正しく使おう!
結果が求められるビジネスシーンでも、「結果が良ければそれでOK」ということがらは少なく、そこに至った「いきさつ」は説明できなければなりません。とくに、最終的に失敗に終わってしまった場合、どこが間違えていたのかは「いきさつ」をたどることで見えてきます。
また、自分自身が事のなりゆきを確認したい場合は、「いきさつ」でいいのか、類義語が適しているのかも考えながら、正しく使えるようにしておきましょう。