「喫緊」とはどんな言葉?
「喫緊」の意味は「差し迫って重要なこと。そのさま」です。
類語は、「緊要」「緊切」「切迫」「緊迫」「直近」「近々」。対義語は「急を要しない」「不要不急」です。
英語で表すときは、「urgently」「urgent」「pressing」を使ってください。
「喫緊」とはどんな意味?読み方は?
「喫緊」の読み方は「きっきん」です。次の意味をもっています。
「喫緊」の意味にある「差し迫る」というのは、「事態や期日などが間近に迫る」というニュアンスです。
つまり、「喫緊」は「重要な事柄がまだ実際に起こったわけではないけれど、間近に迫っていること。またはその様子」を意味しています。
「喫緊」の由来
「喫緊」は、いまではあまり一般的ではありませんが「吃緊」と書くこともあります。
この「吃緊」は、中国から日本に伝わってきた言葉をもとに作られた言葉といわれていますが、正確な由来はわかっていません。
「喫緊」はもともとは「吃緊」だった
「喫緊」はもともとは「吃緊」と書かれていました。
一説によると「吃」の字に、その後ろに来る漢字の意味を強める働きがあり、その働きで「緊」の意味を強めた言葉が「吃緊」であるといわれています。
②さしせまる。きびしい
「吃緊」は、「緊」の「②さしせまる。きびしい」の意味を強めて、「差し迫って重要なこと」を表す言葉になったと考えられているんですね。
「喫緊」になった理由
「吃緊」の「吃」が常用漢字から外されたため、「吃」の代わりに「喫」が使われるようになりました。
「喫」が代用の漢字として選ばれたのは、2つの漢字の発音が同じであることと、「喫」に次のような意味があるためといわれています。
②すう
③くう。食べる。かむ
④こうむる。身に受ける
「喫」の意味にある「飲み食いすること」は、人間が生きるためにどうしても必要で重要なことですよね。
「喫」がもつ重要であるというニュアンスが「吃緊」の意味とマッチしたため、「喫緊」と書くようになったといわれています。
「喫緊」の使い方を例文で学ぼう
「喫緊」の意味がわかったら、次はよく使われる言い回しのニュアンスを例文でイメージしてみましょう。
急いで解決しなければならない重要な課題
【例文】
喫緊の課題が山積している。
急いで解決しなければならない重要な問題
【例文】
人材を確保することは喫緊の問題だ。
重要で差し迫っている対応
【例文】
この件は、喫緊の対応を要する事柄だ。
「喫緊の対応」が使われている文は、文章全体で「差し迫っている状況なため、それを解決するため対応を急がなければいけない」というようなニュアンスを表すことが多いです。
急を要すること。差し迫った物事
【例文】
このことは、喫緊事でないとみられがちだ。
「喫緊の状況」という言い回しが使われることがありますが、これは間違った表現です。
「喫緊」は「差し迫って重要なこと。そのさま」という意味なので、「喫緊」のなかに「状況」のニュアンスが含まれています。「喫緊の状況」では意味が重複するので、使用しないようにしましょう。
「喫緊」の類語・言い換え表現
「喫緊」の類語は、「緊要」「緊切」「切迫」「緊迫」「直近」「近々」です。これらの言葉は似たニュアンスで使われますが、すべてが「喫緊」と同じ意味合いというわけではないので、伝えたい意味に近いものを選んで使い分けしてください。
非常に重要なこと。差し迫って必要なこと。そのさま
【「喫緊」との違い】
「喫緊」よりも重要度が高い。緊急性は「喫緊」と同等かやや高い
【例文】
緊要な事柄に対処する。
・ぴったりとつくこと。そのさま
・差し迫って大切なこと。そのさま
【「喫緊」との違い】
「喫緊」と同程度の重要度。緊急性は「喫緊」よりやや高い
【例文】
利用者の要求に応えることは緊切である。
・期日などが間近に迫ること
・緊張した状態になること。逃げ場のない追いつめられた状態になること
・呼吸や脈が、小刻みに速くなること
【「喫緊」との違い】
「喫緊」より重要度が低い。緊急性は「喫緊」よりかなり高い
【例文】
情勢が切迫するなか対応を協議する。
・状況などが、非常に差し迫っていること
・緊張して、今にも事が起こりそうなこと
【「喫緊」との違い】
「緊迫」は、それほど重要ではないことに使われる場合もある。緊急性は「喫緊」より高い
【例文】
・緊迫した世界情勢が続く。
・緊迫した試合に手に汗握った。
・すぐ近くや傍にあるさま
・現在に一番近いとき
・最近
【「喫緊」との違い】
「直近」の重要度は低い。時間的には「喫緊」よりも「今現在」に近いニュアンス。過去のことにも使える
【例文】
・直近6ヶ月の営業成績を確認する。
・直近の状況の予測を立てる。
ごく近い将来。すぐに。もうすぐ
【「喫緊」との違い】
「近々」の重要度、緊急性はともに低い
【例文】
近々、部署内の席替えが行われる予定だ。
「喫緊」の対義語
「喫緊」の対義語は、「急を要しない」「不要不急」です。それぞれの意味や使い方を確認しましょう。
必要がなく、急ぎでもない
【例文】
急を要しない仕事を後回しにする。
する必要もなく、急ぐ必要もないこと
【例文】
不要不急の外出を控える。
「喫緊」は英語だと?
「喫緊」を英語で表すときは、「urgently」や「urgent」「pressing」を使います。
・至急に
・切羽詰まって
・人や要求などが執拗な、しつこく迫る
・誘いなどが熱心な、しつこい
・プレス機によるプレス、加圧形成
・原盤からプレスしたレコード
・緊急の懇願、要請
・同時にプレスされるレコード枚数
「喫緊の課題」は、これらの英単語を用いて「pressing issue」や「urgent issue」と表現します。
「喫緊」のニュアンスを正しく理解しよう
「喫緊」は「差し迫って重要なこと」や「そのような状況」を意味する言葉です。
硬い印象のある言葉のため、日常会話で使われることはまずありませんが、ビジネスのかしこまったシチュエーションでは使用されることがあります。
「喫緊」のニュアンスを理解し、いわれていることを正しく認識できるようになりましょう。