アセスメントとは?ビジネス、介護、福祉など分野ごとの意味、英語、言い換えも紹介

「アセスメント」とは「物事や現象を客観的に評価する」という意味

ビジネスシーンにおいて、「〇〇アセスメント」という言葉によく遭遇しますが、この「アセスメント」には、「物事や現象を客観的に評価する」という意味があります。また、分野によってニュアンスが多少異なるため、基本の意味はしっかりと理解しておきたいものです

本記事では、分野ごとの正しい意味や使い方のほか、言い換え、英語表現、関連語などについてもわかりやすく紹介します。

「アセスメント」の英語は「assessment」

「アセスメント」は英語で「assessment」と表記し、次のような意味をもつ単語として使われています。

・(人や物の)評価
・(課税のための)評価、査定
・教育評価

日本では、主に「物事や現象」の評価を指しますが、英語圏においては、「課税に関する評価・査定」「評価額」や「人」に対する評価を指すことも多いので、何に対しての評価をしているのか、前後の文脈を間違わずに読み解くようにしてください。

・assessment of taxes(課税査定)
・assessment of income(所得の査定)
・assessment of duty(申告納税)
・assessment of brain death(脳死判定)
・assessment of acute enteritis(急性腸炎の評価)

日本のビジネスシーンにおいての「アセスメント」とは

英語圏においては、課税や人に関する評価などがメインですが、日本では「物事や現象を客観的に評価する」を指して使われることが多いです。また、分野ごとに意味合いが少し異なってくるので、それぞれの分野で正しく解釈しなければなりません。

また、「アセスメント」は、多くの場合「~を実施する」「~を行う」という使い方をするので、覚えておいてください。

環境アセスメント

企業では、さまざまな製品やサービスの提供が行われていますが、それらの事業が環境に対してどのような影響を及ぼすか、生産や提供を計画する時点で評価を行います。これを「環境アセスメント」といいます。

たとえば、山を切り開いて大規模なショッピングモールを作る計画をした場合、木の伐採や、車による排気ガスでこれまでの自然環境を破壊するのは誰もがわかることです。その環境へのダメージがどの程度になるのかを分析し、評価するのが「環境アセスメント」です。

例文

・新工場建設に伴う環境アセスメントを行った。

評価が高ければ高いほど「エコ」な商品

「環境アセスメント」は施設の建設だけでなく、製品の生産についても実施されます。たとえば、生産時に出る廃棄物や排気ガスがどのくらいになるのかの評価を開発の時点で行いますが、廃棄物や排気ガスの排出が少なければ少ないほど「高評価」の製品であり「エコ商品」といえます。

人材アセスメント

「人材アセスメント」は、「人事アセスメント」ともいい、企業内において、その従業員が適所に配置されているのかを評価することをいいます。たとえば、人と接することが苦手な人が営業職に配置されてしまっては、その従業員の力が発揮できないどころか、精神的な負担も与えてしまいます。

こういったミスマッチが起こらないよう、採用試験時に行われる適性検査は、どんな職種に向いているかを評価する、代表的な「人材アセスメント」といえます。

例文

・移動願いを出す従業員が増えているが、人材アセスメントはしっかり実施されているのか?

リスクアセスメント

主に、製造業や建設業で用いられる言葉で、起こる可能性がある現場での事故や災害についての評価を「リスクアセスメント」といいます。たとえば、製造過程において、「有毒ガスの発生」「爆発事故」などのリスクが考えられる場合、どのような防止策をとるのかを調査・実施することも「リスクアセスメント」になります。

例文

・危険物を取り扱う工場だが、リスクアセスメントがしっかりと行われているせいか、開業当時から一度も事故を起こしたことがない。

テクノロジーアセスメント

さまざまな技術が進化し続けていますが、新技術が提供される前に、安全性や経済的な影響などについて綿密な評価を行います。これを「テクノロジーアセスメント」といいます。技術とは、身近な自動車やバイクの技術だけでなく、宇宙開発、医療技術などさまざまなものが含まれます。

例文

・開発時にテクノロジーアセスメントが行われているおかげで、安心して車を利用することができる。

医療・福祉分野においての「アセスメント」

「アセスメント」は、一般的なビジネスシーンだけではなく、医療や介護の分野でもまた違った意味合いで使われています

看護アセスメントとは?

医療現場では、さまざまな疾患をもつ患者がいて、看護や治療方針もまちまちです。その患者ごとに、現時点の状態を分析し、今後どのようにケアしていくのかを評価することを「看護アセスメント」といいます。

例文

・前の病院よりも徹底した看護アセスメントが行われているため、入院している父の精神的負担が減ったようだ。

ヘルスアセスメントとは?

患者の病気に対してだけでなく、精神状態も含めて総合的に評価を行うことを「ヘルスアセスメント」といいます。

例文

・昨日入院した305号室の〇〇さんのヘルスアセスメントはもうやった?

介護・福祉におけるアセスメントとは?

介護や福祉の現場には、利用者が、どうして介護が必要になったのかなどの背景や、どのような支援が必要かなどの情報を、誰が見てもわかるように示した「アセスメントシート」が存在しています。

同じ病気を患って介護が必要となった利用者さんが2人いたとしても、その人の生活環境、性格、ほかの疾患の有無などによってケアの仕方は異なります。そのため、事前に行うアセスメントはとても重要だとされています。

例文

・来週から入所する予定の利用者さんのアセスメントシートを作成するための面談を行った。

「アセスメント」の類語・言い換え

「アセスメント」を日本語で言い換えたい場合は次のような言葉が使えます。

「アセスメント」の言い換え表現

・鑑定
・査定
・審査
・判断
・価値判断 など

「アセスメント」の関連語

「アセスメント」には、「アセスメント〇〇」といった関連語がいくつか存在します。ここでは、「アセスメント法」「アセスメントポリシー」「アセスメントツール」の3つについて解説します。

アセスメント法

アセスメント法は、「環境影響評価」とも呼ばれており、事業を実施する際に事前に行う「環境アセスメント」を義務付けるための法律のことをいいます。

アセスメントポリシー

学生の学修成果における評価につき、各大学や大学院が、目的や達成するべき質的水準や評価の方法などについてさだめた学校内での方針のことを「アセスメントポリシー」といいます。

アセスメントツール

「ツール」には、「道具」「手段」「方法」などの意味があります。「アセスメントツール」とは、アセスメントを実施するために用いるツールを指しています。たとえば、「人材アセスメント」を行う際に使う、適性検査は、適正を評価するための、一つのツールとなっているわけです。

失敗しないためにも「アセスメント」の実行は重要

何かを実施する際、行き当たりばったりでは大きな失敗をする可能性があります。取返しのつかない事態に陥らないようにするためにも、しっかりとアセスメントを実施するようにしましょう。