「プロパー」とは「正規の」「本来の」という意味
「プロパー」は、主に「正規の」「本来の」を指して使われていますが、実は分野によって意味が異なるんです。本記事では、各分野での「プロパー」の意味や使い方のほか、類語、英語などについてもわかりやすく紹介します。
なお、対義語としては「非正規の」や「非公式」などがありますが、分野ごとに意味が異なる分、対義語もいろいろと存在します。詳しくは後述するので、「プロパー」の意味と併せてしっかり覚えていってください。
「プロパー」の英語は「proper」
「プロパー」は英語で「proper」と表記し、次の意味をもつ単語として使われています。
・適切な
・正式の
・正確な
・正常な
・当然の
・まっとうな
・上品な など
日本で「プロパー」と聞くと「正社員」「自社の社員」を想像する人が多いと思いますが、英語圏では次のような使い方をするほうが多いです。
・proper apology(きちんとした謝罪)
・proper arrangement(正しい配置)
・proper administration(適正投与)
・proper attire(適切な服装)
・proper attire for the occasion(その場にふさわしい服装)
・proper counseling(適切な助言)
なお、英語での雇用形態は次の表現になるので、知識として覚えておくと便利です。
【正社員】
Full time employee
【パート社員】
Part time employee
【契約社員/嘱託社員】
Contract employee
日本語においての「プロパー」とは
本来は「固有であること」「特にその方面に専門であること」という意味をもつ言葉ですが、現代においては、主に「正規の」「本来の」を指して使われています。最も身近なところでは、「企業の正規従業員」を指す「プロパー」ですが、業界によっては意味合いが異なるので、それぞれの分野での意味を理解しておく必要があります。
プロパーの意味①流通業界
流通業界、主にアパレル分野においてのプロパーとは、「正規の」の意味で、主に「プロパー商品」「プロパー価格」「プロパー店」といった使い方をします。
【プロパー商品】
卸売業者から小売業者にむけ、正規の流通ルートで卸される商品を指します。
【プロパー価格】
値下げをしない定価を指します。ほかにも「メーカー希望小売価格」「フルプライス」と呼ばれることもあり、プロパー商品はプロパー価格になっているのが通常です。なお、プロパー価格で販売できた商品の比率を「プロパー小比率」といいます。
【プロパー店】
正規店を指します。プロパー店では基本的にはプロパー価格で販売されており、プロパー店で売れ残った商品は、アウトレット商品として、アウトレットの店舗で値引された価格で販売されます。なお、アウトレットでは、プロパー商品のほかに、アウトレット限定商品も販売されている場合も多いです。
・プロパー価格で販売されているプロパー店で買うよりも、つい、アウトレット店舗に割引価格で出るのを待ってしまう。
・プロパー商品は高いが、正規品という安心感がある。
プロパーの意味②製薬業界
製薬会社の営業担当者はMRと呼ばれていますが、MRが使われる前は「プロパー」という名称でした。現在のMRは、Medical Representativeの略で、日本語では「医薬情報担当者」といい、医師や薬剤師に対して医薬品の販売や情報を伝えるのが仕事です。
一方で「プロパー」は、「宣伝者」の意味をもつ「propagandist(プロパガンディスト)」の略語であり、本記事で紹介しているほかのプロパーとは少し意味合いが異なります。
・製薬会社の営業員をMRというが、以前はプロパーと呼ばれていた。
プロパーの意味③金融業界
金融業界においてのプロパーは、「プロパー融資」や「プロパーローン」という形で用いられています。それぞれの意味は次のとおりです。
信用保証協会を介さず、借入人と銀行間で直接融資の契約を交わすこと。信用保証がないため、融資にむけての審査は厳しくなるのが特徴。
一部の地方銀行、信用組合、信用金庫などが取り扱っており、これら金融機関が独自調達した資金を、金融機関がリスクを背負って貸し出すローンのこと。
・住宅ローンの審査が厳しいそうな顧客にプロパーローンを勧めてみた。
プロパーの意味④クレジット・信販業界
クレジットや信販業界においてのプロパーは、主に「プロパーカード」という形で用いられています。「プロパーカード」とは、アメリカン・エキスプレスやJCBなど、カード会社が発行しているクレジットカードを指します。
ちなみにスーパーや百貨店が、JCBやVisaなどの機能をつけて発行しているカードは「提携カード」といいます。
・クレジットカードは増やしたくなかったが、カード会社に入社した知人に頼まれてプロパーカードを作ることにした。
プロパーの意味⑤教育業界
教育や学問の業界においては、「経済学プロパー」「生物学プロパー」など、「〇〇学を専攻する」の意味で使われることが多いです。
・人間科学プロパーとして研究を進めてきたが、この年齢にして心理学についても学びたくなってきた。
プロパー社員とは?
「プロパー社員」は、多くの場合は、転職組ではない「生え抜き社員」を指しますが、実際のところは企業によって捉え方はさまざまです。
①契約社員や派遣社員に対する「正社員」
②転職者や出向者に対する「生え抜きの正社員」
③業務委託や協力会社に対する「自社社員」
「プロパー社員」と「出向社員」の違い
「出向社員」とは、所属会社に籍を残した状態で、子会社や関連会社で業務を行う社員を指します。同じグループ会社の社員ということで、プロパーと混同されやすいですが、厳密には異なるので知識として覚えておきましょう。
「プロパー」の類語・言い換え
「プロパー」は、業界によって意味が異なるため、日本語での言い換え表現もさまざまです。いくつか例として紹介するので、状況に応じて使い分けをしてください。
・生え抜き
・エキスパート
・専門家
・専業
・第一人者
・独自
・特有
・固有
・独特 など
「プロパー」の対義語
冒頭でも紹介したとおり、「プロパー」の対義語は「非正規」や「非公式」ですが、「プロパー社員」に対しては「中途採用」や「契約社員」などが対義語になります。このように業界によって対義語も異なるので注意しましょう。
その場に応じた「プロパー」が理解できるようになろう
「プロパー」は、広い意味では「正規の」「本来の」です。業界によってプロパーがもつ意味は異なりますが、基本的な意味合いは同じなので、各業界で柔軟な考え方ができるようにしておいてください。