コンテクストとはどんな言葉?
コンテクストの意味は「文脈」です。
類語は「コンテキスト」。
英語で表すときは、「context」を使ってください。
コンテクストとはどんな意味?
コンテクストは、次の意味をもつカタカナ語です。
コンテクストは、文章の流れや物事に関係している状況・背景から察せられる、言語外の情報を意味する言葉。日本人がよく使う「空気を読む」の「空気」がコンテクストです。
コンテクストは、次のような要素を手掛かりに意味を判断します。
・セリフを発した相手はだれか
・時代背景
・場所
・文化
・前後の文脈
コンテクストは「文脈」のほかに、「状況」「背景」「前後関係」「脈絡」などと日本語訳されることもあります。
コンテクストの例
どのようなものがコンテクストなのかを考えてみましょう。
例えば「お姉ちゃん」は、「姉弟」「姉妹」での会話では「自分より年上の女のきょうだい」、親が子どもに話しかけている状況ならば「自分の子どもの内の上の女の子」の意味になりますね。
スナックやキャバクラの話をしていて「お姉ちゃん」という単語が出てきたときは、ホステス役を務める女性従業員を意味します。
また、指導的な意味合いでよく使われる「ゴミが落ちているよ」は、「ゴミを拾いなさい」の意味であると大抵の人が理解できます。
さらに、日本のお笑いトリオ『ダチョウ倶楽部』のネタや、世界的なベストセラー絵本『ぜったいに おしちゃダメ?』を多くの人々が知っているため、「絶対に押すなよ!」は「押してくれ」の意味で理解される場合が多いです。
コンテクストは英語だと?語源は?
コンテクストは、英語だと「context」という単語で表されます。
・事情、背景、状況、環境
コンテクストの語源は、ラテン語の「con-(一緒に)」と「texus(編む)」です。「構造、文の構造」という意味を核にもっています。
分野ごとのコンテクストの意味
コンテクストは、個別の分野で専門用語としても使われています。ビジネスに関わる意味も多いので、しっかりおさえておきましょう。
IT分野でのコンテクストの意味
IT分野では、コンテクストは次の意味でも使われています。
②コンピュータが周囲の環境やユーザーの現在の状況を自動的に把握すること
①の意味は、複数の処理を並行して実行できるコンピュータの処理装置(CPU:コンピュータの頭脳)が、実行中の処理のプロセスを一時停止し、別の処理のプロセスに切り替える作業を意味する「コンテクストスイッチ」で使われる意味です。
②の意味のコンテクストは、例えば次のようなものがあります。
・蓄積されたさまざまな顧客情報から、ユーザー好みの商品やサービスを提供するコンテキストアウェアネス機能
・センサーで周囲の環境を理解し、採光や空調などを最適な状況に整えてくれるシステム
マーケティング分野でのコンテクストの意味
マーケティング分野では、コンテクスト・マーケティングという言葉がよく使われます。
コンテクスト・マーケティングは、消費者のコンテクスト(背景や心情)を理解したうえで消費者のニーズを考え、そのニーズを満たせるふさわしい商品やサービスを提供するマーケティング手法です。
まずは、日時や消費者がいる場所、消費者の行動などの情報を把握し、それをもとに消費者の心情を考えます。つぎに、その状況にマッチする商品やサービスを、欲しいと思わせる最適なタイミングで提供します。こうすることで消費者の購買意欲を高められます。
コンテクスト・マーケティングでは、個々の顧客の興味やニーズに合わせたアプローチを行うために、「IT分野でのコンテクストの意味」で紹介したコンテキストアウェアネス機能も用いられています。
建築分野でのコンテクストの意味
建築分野でのコンテクストは、次の意味になります。
・景観の保存
「コンテクストを意識する」や、「町のコンテクストを理解する」のように使います。
人事分野でのコンテクストの意味
人事分野でのコンテクストは、「コミュニケーションの土台になる文化の共有度合い」という意味です。
文化を共有できていないと、会話などの文脈に含まれるコンテクストを読み取ることが難しくなります。そのため、いろいろな人材が集まって機能するビジネスでは、互いの文化を理解する必要があります。
心理学でのコンテクストとは
心理学では、文脈(コンテクスト)効果という言葉が使われています。
文脈(コンテクスト)効果は、知覚・認知・言語・記憶に関係する効果で、コンテクスト(前後の状況)によって与えられた刺激をどう認識するかが、臨機応変に変化することを意味します。
例えば、「のりを取って」と食事中にいわれたならば「海苔を取って」と解釈し、工作をしているときなら「糊を取って」と認識します。
「かいとうしてください」も状況によって聞き手の解釈は柔軟に変わります。冷凍ご飯を手渡されたら「解凍してください」だと思うし、アンケート用紙を目の前にしていたら「回答してください」といわれたことがすぐにわかりますね。
文脈(コンテクスト)効果のビジネスでの活用例
同じ商品でも、見せ方によってお客様が商品に対して抱くイメージは大きく変わりますよね。これも文脈(コンテクスト)効果です。
例えば、和菓子のCMを作るとしましょう。漆塗りの高級感がある皿に乗せたものと、スーパーで使われているような使い捨て食品トレーに入れたものとでは、どちらが美味しそうにみえると思いますか?
漆塗りの皿の和菓子のほうが、美味しそうにみえるのではないでしょうか。
このように、周辺情報を整えてあげるだけでも消費者が感じる商品価値を高めることができるので、マーケティング分野などで文脈(コンテクスト)効果は重視されています。
コンテクストの使い方を例文で学ぼう
コンテクストの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・コンテクストに沿った方法でユーザーにアプローチする。
・コンテクストのずれがこの問題の原因だ。
・コンテクストの意味を国語辞典で調べる。
コンテクストの類語・言い換え表現
コンテクストの類語は「コンテキスト」。
英語の「context」をカタカナにしたときの表記が異なるだけで、意味はコンテクストと同じです。コンテキストは、IT分野でよく使われます。
覚えておきたいコンテクストの関連語
私たちの身の回りにはコンテクストの関連語もたくさんあります。ビジネスに関係する言葉もあるので、しっかりおさえておきましょう。
コンテクストデザイン
コンテクストデザインは、「正しい使い方」や「正しい価値」をあえて定めず、使い手が自由にアレンジして「別の価値」を創造できる余地を残す「ものづくり」の考え方です。
コンテクストデザインは、商品に限らずブランディングやマーケティングにも使えます。コンテクストデザインでは、企業の意図している文脈を、すべての社員や消費者に完璧に理解してもらうことを目指してはいません。逆に、社員や消費者が自分なりの解釈をして積極的にブランドに関わることを歓迎し、新たな価値が生まれることを期待します。
コンテキストメニュー
コンテキストメニューは、ウィンドウズのパソコンでマウスを右クリックしたときに表示されるメニュー一覧のことで、「右クリックメニュー」と呼ばれる場合が多いです。
選択していたものや作業状態に応じて、利用できるメニューが異なるため、右クリックする場所によって出てくる一覧の項目が変わります。
コンテクスト文化
コンテクスト文化は、国や民族のコミュニケーションスタイルの実際の有り様を区わけする考え方です。ハイコンテクスト文化と、ローコンテクスト文化の2つに分けられます。
ハイコンテクスト文化に属する国や民族でのコミュニケーションは、言語外の情報のやり取りが盛んに行われていて、「空気を読む」ことが求められます。日本は典型的なハイコンテクスト文化です。
ローコンテクスト文化では、言語を重視したコミュニケーションが行われます。あらゆる事柄を具体的で端的に、実際の言葉として述べることが好まれます。北米や西欧の国々は、ローコンテクスト文化に属します。
コンテクストスタジオ
コンテクストスタジオは、東京都にある日本の著名な建築家 富永譲氏が設計した、おしゃれな集合住宅の最上階を改装したスタジオです。
クリエイティブを求める人を、「新たなコンテクスト」へいざなうというところから、名前が付けられています。
コンテクストの意味を頭に入れておこう
コンテクストは、「文脈」という意味をもつカタカナ語です。そこから派生して、さまざまな分野で専門用語としても使われています。ビジネスに関わるものが多いため、専門用語としての意味も頭に入れておくのがおすすめです。
耳にしたときに困らないように、しっかり覚えておきましょう。