ヘッドハンティングとはどんな意味?引き抜きとの違いや注意点も解説

ヘッドハンティングとはどんな言葉?

ヘッドハンティングは、「別の企業で活躍している優秀な人材を自社にスカウトする人材採用方法」です。

類語は、「引き抜き」「スカウト」。

英語で表すときは、「headhunting」を使います。

ヘッドハンティングとはどんな意味?

ヘッドハンティングは、次の意味をもつカタカナ語です。

ヘッドハンティング
別の企業で活躍している優秀な人材を自社にスカウトする人材採用方法

ヘッドハンティングの「ヘッド」は、英語では「head」と表記します。「head」の意味は、「頭、頭部、首」や「頭脳」です。つまり、企業のトップや上層部に位置する人材を指しています。

単語のニュアンス通りの意味の場合、ヘッドハンティングは経営者、経営幹部、管理職のような、役職付きの人材を自社にスカウトするときに用いる言葉になります。

しかし、現在では役職付きかどうかに関わらず、「優秀な人材を自社にスカウトすること」をヘッドハンティングという場合も多いです。

ヘッドハンティングと引き抜きの違い

役職なしの優秀な人材を自社にスカウトするときは、「引き抜き」という言葉を使用する場合があります。

「引き抜き」は、単に「優秀な人材を自社にスカウトすること」を意味する言葉なので、相手が役職に付いているかどうかは関係なく使えます。取引先の企業や協力企業にいる優秀な人材に直接声をかけたり、自社の従業員や知人に優秀な人材に声をかけてもらったりすることが多いです。

またヘッドハンティングは、専門会社や転職エージェントにサポートしてもらえますが、引き抜きは仲介に入ってくれるサービスはありません。

ヘッドハンティングは英語だと?

ヘッドハンティングは、英語では「headhunting」と表記します。

headhunting
・首狩り
・会社の幹部級人材スカウト
・引き抜き

「headhunting」の「head」の意味は、先ほども紹介しましたが「頭、頭部、首」や「頭脳」。「hunting」の意味は、「狩り」です。

「首」と「狩り」をつなげた「headhunting」は、もともと「首狩り」を意味する単語でした。そこからニュアンスが広がり、ビジネスで人材のスカウトを意味する言葉として、「headhunting」が使われるようになりました。

ヘッドハンティングで転職するメリット

ヘッドハンティングで転職するメリットをおさえておきましょう。

管理職のポストを用意してもらえる可能性が高い

ヘッドハンティングは、企業の経営を支えられるだけの優れた能力を持つ役職付きの人材や、業界全体でみても少人数しかいないような高度な専門スキルを身につけている優秀な人材に対して行われます。

そのため、ヘッドハンティングを受けて転職した場合、管理職のポストを用意してもらえる場合が多いです。今よりも上のポストを狙えるケースもあります。

キャリアアップしたい人は、ヘッドハンティングを受けることが目標への近道になるかもしれません。

好条件で転職できる可能性が高い

ヘッドハンティングは通常の人材採用方法と違い、企業のほうがどうしてもその人にうちの会社にきてほしいという気持ちで声をかけてきます。

また、ヘッドハンティングされるということは、打診してきた企業が自分をほかにも欲しがる企業が多い市場価値の高い人材であると考えていることの表れです。欲しい人が多ければ、当然そのものの値段は高くなりますよね。つまり、自分の価値が高いのです。

そのため、ヘッドハンティングでは給与や雇用形態、出勤日数など、高待遇・好条件が用意されているケースが多いです。条件面で交渉が必要な場合も、自分が有利な条件で話を進めやすくなります

注意
やりがいを重視したヘッドハンティングの場合は、報酬が下がる場合もあります。また、試用期間中は報酬が下がることも多いです。

スキルアップできる可能性が高い

ヘッドハンティングで転職すると、重要なポジションや難易度の高い仕事を任されるケースが多いです。高いレベルでの仕事を求められる環境に身を置くことで、今の職場で働き続けるよりも速いペースでスキルアップできる可能性があります。

また、新しい職場で出会う優秀な同僚から刺激を受け、自分の成長につなげられる場合もあります。

ヘッドハンティングで転職するデメリット

ヘッドハンティングは、メリットだけではありません。転職して後悔することがないように、デメリットもしっかり知っておきましょう

やりたい仕事でのオファーとは限らない

ヘッドハンティングで用意されている職種が、自分が今まで経験してきた仕事や、やりたい仕事であるとは限りません。

まったく異なる分野での転職となる場合もあります。

プレッシャーを感じやすい

ヘッドハンティングで転職すると、企業からは好待遇に見合うハイレベルな仕事を当然のように要求される可能性が高いです。

大きな期待が寄せられていることを常に感じながら、仕事をしなければなりません。プレッシャーに強く、期待を力に変えられる人ならば問題ないですが、プレッシャーに弱い人には大きなデメリットになります。

人間関係でつまづく可能性がある

ヘッドハンティングで転職した場合、会社からは歓迎される可能性が高いですが、ともに働くことになる従業員からも好意的に受け入れてもらえるかはわかりません。

よそ者が突然上の立場に立つことで反発され、社内の人間関係に問題が起こる場合もあります。

今の会社ともめる可能性がある

今勤めている企業の立場に立ってみると、ヘッドハンティングは自社の貴重な人材を他社に奪われる不愉快なことです。

そのため、ヘッドハンティングに応じて退職しようとすると、強く引き留められるケースがよくあります。

また、今の会社との間で退職後一定期間同業者・同業種への転職を禁止する競業避止義務契約などが交わされている場合は、今の会社とトラブルになる可能性が高いので注意してください。

ヘッドハンティングは違法ではない

憲法によって職業選択の自由が保証されているため、ヘッドハンティングは違法ではありません。しかし、退職後の競業避止義務などの契約が今の会社と交わされている場合は、退職金の支給制限や損害賠償請求、競業行為の差止め請求などの処罰を受けるケースもあります。

また、次のような行為を行った場合は、不正競争防止法に違反するとみなされる可能性があるので注意しましょう。

・転職とともに勤めていた会社の営業秘密やノウハウを転職先の企業に流出させる
・しつこい転職勧誘を行う

ヘッドハンティングされたら

ヘッドハンティングされたら、チャンスと飛びつきたくなるかもしれませんが、すぐに話に乗るのは危険です。

なかには、ライバル企業の優秀な人材を辞めさせ打撃を与える目的で声をかけてくるものや、転職者を詐欺に引っ掛けるつもりで勧誘してくる怪しいヘッドハンティングもあります。

注意すべきポイントをおさえて、後々後悔しないように備えておきましょう。

相手の素性を確かめる

ヘッドハンティングの電話やメールをもらったら、すぐに返事はせず、信頼できる相手からの勧誘なのかをしっかり確かめましょう

声をかけてきたヘッドハンターやヘットハンティング会社、転職先の企業について、会社四季報やネットなどで確認してください。調べてもろくに情報が出てこないような会社の場合は要注意です。

MEMO
ヘッドハンター:特定の職業に就いている有能な人材を引き抜くスカウトマン

メールや相手の話におかしな点がないかを確かめる

明らかに多数の人間に一斉送信しているとわかる文面のメールや、自分のどのような部分に魅力を感じて声をかけてきたのか具体的に説明できない相手の話は要警戒です。

ヘッドハンティングと称するメールの大半が実はこのようなメールで、これらは転職サービスが集客目当てに送ってくるスカウトメール。ヘッドハンティングと勘違いして返信すると、思っていたものと話が違うということになります。

文面が長く文章がまとまっていないメールや、日本語がおかしいもの、専門用語連発のものは怪しいと思ったほうがいいです。急ぎで退職し、転職するように要求してくる相手の話も、警戒する必要があります。

ヘッドハンティングはどこから情報を得ているの?

しっかりとしたヘッドハンティングの場合、ヘッドハンターは次のような情報源から声をかける対象のデータを得たうえで、スカウトに動きます。

ヘッドハンターの情報源
・会社の組織図、人事情報、資格情報、IR情報、新製品のプレスリリース、社内報など、今勤めている会社が外部に公開している情報
・新聞、ビジネス雑誌、業界誌、専門誌、TVなどのメディア
・公的に公開されている特許の発明者氏名や技術の詳細情報
・社外勉強会やセミナー、異業種交流会など、イベントやセミナーの参加情報や登壇情報
・ビジネス系のSNS、書籍、論文など、本人が発信している情報
・ヘッドハンターが持っている業界内の人脈からの情報

今までにどこかに提出した履歴書や職務経歴書に書いた程度の情報しか、相手がいってこない場合は要警戒。きちんと下調べもしていない会社ということなので、いい話ではない可能性が高いです。

信用できそうな相手だった場合は1週間以内に返信

信用できそうな相手だった場合は、一度くわしい話を聞いてみるにしろ、お断りするにしろ1週間以内に返事をする必要があります。

最初の返事に時間をかけすぎると、「レスポンスが遅い人だ」と相手に思われてしまいます。

ヘッドハンティングを断る場合の返信の例文

ヘッドハンティングは転職しようと考えていない人にも声をかけるため、ヘッドハンターは声をかけた相手から断られても気を悪くすることはありません。気が乗らないときは、遠慮なく断ってください。

しかし、今は転職を考えていなくても後に転職したいと考え、お世話になるかもしれません。今後のために、断る場合も丁寧な断り方をしましょう。

断る理由は必要ですが、「今の企業のほうが待遇がいい」や「今の会社のほうが将来性があると思う」のように、あまりに正直すぎる理由をいってしまうと相手の出す条件が悪いなど、相手を批判しているように聞こえてしまいます。相手に悪い印象を与えないように、無難な文面を考えてください。

例文
大変魅力的なご提案ありがとうございます。私の力量を高くご評価いただき、本当にうれしく思っております。
しかしながら種々の状況を考慮すると、今回はお断りせざるを得ません。
今後ご縁がございましたら、そのときはよろしくお願いいたします。

ヘッドハンティングの使い方を例文で学ぼう

ヘッドハンティングの意味や注意点などがわかったら、つぎはカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
ヘッドハンティング会社を一覧で紹介する。
・彼はハイクラスな人材を多数ヘッドハンティングしてきた、凄腕ヘッドハンターだ。
・外資系企業に好条件でヘッドハンティングされた。

ヘッドハンティングの類語・言い換え表現

ヘッドハンティングの類語は、「引き抜き」と「スカウト」です。「スカウト」の意味は、「有望な人材を探し出したり引き抜いたりすること。また、その役目の人」。次のように使います。

例文
・自社の社員が、ライバル企業から引き抜きをかけられた。
・大手企業からスカウトのメールをもらった。

ヘッドハンティングされたら冷静に

ヘッドハンティングは、スキルアップのチャンスかもしれません。でも、安易に飛びついてしまうと後々後悔することになるかも。

ある日突然ヘッドハンティングされても慌てずに、話に乗っても大丈夫なものなのかよく見極めましょう