モックアップの意味とは?建築・IT分野での意味やプロトタイプとの違いも解説

モックアップとはどんな言葉?

モックアップの意味は、「実物大の模型」です。

類語は、「木型」「デザインカンプ」。

英語で表すときは、「mock-up」を使います。

モックアップとはどんな意味?

モックアップは、次の意味をもつカタカナ語です。

モックアップ
実物大の模型

モックアップは、試作品の段階で設計上の課題や修正点を見つけるために製作されるものと、展示品として本物の商品の代わりに販売する店舗などに並べるために作られるものがあります。

試作品の段階のモックアップとは

試作品の段階のモックアップは、製品の外観や内部の構造、部品同士がぶつかり合って邪魔になっているところがないかなどを確認するために作られます。この場合は、本物の製品と同じ素材にこだわらず、木やプラスチック、板紙など加工がしやすく材料費が安く済むものが使われることが多いです。

また、電子機器では、外側の構造は省いて内部の装置の部分だけを実物と同じように再現したモックアップを作り、動作テストが行われることもあります。

試作品の段階のモックアップを作るメリット

モックアップを作ることで、設計者の頭のなかの完成イメージをクライアントや、作業に関わるチームメンバーと共有しやすくなります。クライアントの頭のなかの完成イメージとモックアップが違っていた場合、早めに差異に気づけるので、完成時にイメージの違いが発覚して作り直しになる場合よりも、作り直しにかかるコストを節約できます。

図面では把握しきれない細かな部分の確認ができるのもメリット。製品の想定外の課題や改善点に、早めに気づいて修正することができるので、リコールを減らせます。

展示品のモックアップとは

展示品として使うモックアップは、外観は本物そっくりに作られますが、中身は省略されます。家電量販店などに置かれているスマホの模型などが、展示品としてのモックアップです。展示品のモックアップを用意することで、サイズ感やデザインなど、商品を具体的にイメージしやすくなります。

展示品に本物の商品ではなくモックアップを使うことで経費を削減でき、盗難などセキュリティ面での備えにもなっています。

建築分野でのモックアップとは

建築分野のモックアップは、実物大の家やビルの模型を作るのが難しいため、ミニチュアサイズで作られることが多いです。

実際に施工する前に骨組みや外装、内装の仕上がりのイメージや機能を確認するために、一部分を実物と同じように作ったモックアップで確認することもあります。

ホテルを建設する場合は、「モックアップルーム」と呼ばれる実際のホテルの部屋を再現した部屋が作られ、内装やベッド、家具の雰囲気や使い勝手の確認、調整などが行われます。

IT分野でのモックアップとは

IT分野でのモックアップは 、Webサイトやアプリの開発のデザイン段階で作られるページデザインのこと。可能な限り完成品の見た目に近づけた画面デザインがモックアップです。見た目は完成品と同じですが、デザイン画でしかないためシステムとして動かすことはできません。

本格的なシステム開発に取り掛かる前に、完成品のイメージをクライアントと共有し、クライアントの希望に沿ったデザインにイメージを修正するために使います。

モックアップとプロトタイプの違い

プロトタイプの意味は、システムの操作性や機能を確認するために作る、部分的な「試作品」や「テスト用製品」。

クライアントの希望をもとに十分にデザインが練られた後のモックアップに、最小限の規模でプログラミングした動作や機能を追加したものがプロトタイプです。

プロトタイプを使用して不具合がないかや、考えていた通りの操作ができるか、使い心地はどうかなどを確認をします。また、クライアントや製作メンバーとの完成品に対する意見のすり合わせや、ターゲットユーザーの意見の聞き取りも行います。

問題点や改善点を洗い出したら、それをもとに修正したプロトタイプを作成。後継のプロトタイプでもテストや修正を繰り返しながら、徐々に完成度を高めていきます。

モックアップの作り方

モックアップは、モックアップ作成ツールを使って作ります。

モックアップ作成ツールは、次の二つに分けられます。

モックアップ作成ツール
・デザイン作成時に用いるデザイン作成ツール
・作成したデザインをPCやスマホの画面にはめ込んでシステム利用時のイメージをつかめるようにする、画像はめ込みツール

このうちのデザイン作成ツールには、インターネットから切り離した状態で作業するオフラインツールと、インターネット上で作業するオンラインツールがあります。

オフラインツールは、セキュリティ面を重視する場合に向きます。パワーポイントやフォトショップなどで代用も可能です。

オンラインツールは、変更履歴を残しながら、リアルタイムで複数人が共同作業することができます。

おすすめのモックアップ作成ツール

モックアップ作成時に役立つ、おすすめのツールを紹介します。機会があったら使ってみてください。

figma
「figma」は、デザイナーではない人でも使いやすいツール。

インターネットが使用できれば作業場所やPCを選ばずに作業でき、チームでの作業も可能。フリープランが用意されていて無料でも使用できる。

Adobe Illustrator
「Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター)」は、拡大しても粗くならない画像を作れるデザインツール。略して「イラレ」とも呼ばれている。

イラストやロゴの作成に強いツール。7日間の無料体験ができる。

モックアップは英語だと?

モックアップは英語だと、「mock-up」を使って表します。

mock-up
・原寸模型
・実物大模型
・モデル

本物の商品の機能を再現し動作できる場合は、「prototype(原型、試作品)」も使えます。

モックアップの使い方を例文で学ぼう

モックアップについてわかったら、次はカタカナ語としての使い方をイメージしてみましょう。

例文
・開発中の新型車のモックアップを発表する。
モックアップ素材を利用してデザインを作成する。
・製品のプロモーションとして、モックアップ写真を公開した。

モックアップの類語・言い換え表現

モックアップの類語は、「木型」「デザインカンプ」です。それぞれの意味と使い方もおさえておきましょう。

木型
【意味】
・製品の外観の検討や機能の確認のためにつくられる原型
・木製の原型。鋳物や陶器、靴、料理、菓子を作るときなど、いろいろな用途のものがある

【例文】
木型を手に取ってサイズ感を確かめる。

デザインカンプ
【意味】
デザインの完成見本

【例文】
完成品と合わせて初期のデザインカンプなど、製作の過程をたどれる資料も公開された。

モックアップの意味をおさえておこう

モックアップは、製造業界や建築業界、IT業界などさまざまな業界で広く使われている言葉です。

業界によって意味合いが少し変わる場合もあるので、それぞれの分野での意味もしっかりとおさえておきましょう。