「相見積もり」とはどんな言葉?
「相見積もり」の意味は、「複数の取引先などに同じ条件で見積もりを提出してもらい、比較すること」です。
類語は「見積もり合わせ」。
英語で表すときは、「competitive bids」「competitive bidding」を使います。
「相見積もり」とはどんな意味?読み方は?
「相見積もり」の読み方は、「あいみつもり」。次の意味をもつ言葉です。
商品やサービスを購入する前に「相見積もり」を行うと、候補の会社のそれぞれの品質や価格、納期などの条件を比較できるため、自分(自社)にとって最適な条件の会社を選びやすくなります。
また、癒着や不正取引の予防になるので、コンプライアンス対策としても有効です。
「合見積り」と表記されたり、「あいみつ」と略していわれることもあります。
「相見積もり」のやり方
「相見積もり」を行う前に、自分がその商品やサービスを必要とする理由や、その商品やサービスで何をしたいのか、商品やサービスに求める機能、購入するときの条件などをまとめておきましょう。
まとめた情報をもとに「相見積もり」の選定条件を決めます。
同じ条件で「相見積もり」を依頼する
「相見積もり」を業者に頼むときは、ほかの企業にも見積もりを依頼していることを相手企業に伝えるのがマナーです。
「相見積もり」であることを知らせたうえで、どのような選定条件で選ぶのかを伝えます。条件は必ずすべての企業に同じものを伝えてください。条件を企業ごとに変えてしまうと、正確な比較ができなくなります。
・品質
・予算
・納期
・納入場所
・見積もりの提出期限 など
仕様書や設計図などの添付資料があればそれも、見積もりを求めるすべての企業に提供してください。
なるべく詳細な情報を伝えることで、自分が求める条件と、企業から出される見積もりのギャップを小さくできます。自分が出す条件では仕事を受けられないと判断した企業は、見積もりを出さずに依頼を断ってくれるので、お互いに無駄な時間を使わずに済みます。
見積もりを細部までしっかり比較する
見積もりを依頼した企業から見積書を受け取ったら、商品の金額だけでなく細かい部分まで内容をしっかり確認し、比較しましょう。
例えば、金額面では送料や手数料はかかるのか、内税か外税か、支払い方法や期日がどうなっているかの確認をしないと、支払い時に思っていたのと違ったという事態になってしまいます。
また、発注する側で行う作業があるのかや、商品の仕様・性能はどうなっているのか、アフターサービスの内容はどうかなどの比較も必要です。
候補を絞り交渉する
見積もりを比較し候補を絞ったら、必要に応じて金額や条件などの交渉に移ります。
ただし、「相見積もり」であることを伝えたうえで見積もりを出してもらっているため、各社ともかなり頑張ったいい条件を提示してくれているはずです。無理な交渉はしないでください。
また、他社の見積もりを交渉のネタにするのはあまり好まれません。口頭で金額を伝えたり、必要な部分のみを別の紙に書き写したものを使ったりするくらいはされることもありますが、見積書をそのまま見せるのはNGです。他社の名前を出すのもやめましょう。
決定しなかった企業には必ずお断わりの連絡をする
契約する企業が決まったら、そのほかの企業には必ずお断わりの連絡を入れてください。結果が出たら早急に連絡するのがマナーで、遅くとも「相見積もり」の依頼時に約束した返答期日までにはお断りしなければなりません。
お断りするときは、費用面や納期など、なぜ選ばなかったのかの理由を相手企業にしっかり伝えることが重要です。選ばれなかった企業は、その理由から自社の欠点を見直し次につなげようとするため、理由をいうことは失礼には当たりません。
また、相手企業は「相見積もり」のために、時間と人手を使って見積もりを作っています。選ばれないとそれが無駄になってしまうので、感謝と謝罪の気持ちはしっかり伝えるようにしましょう。
「相見積もり」の使い方を例文で学ぼう
「相見積もり」の意味ややり方がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・当て馬にされるだけの相見積もりはお断りだ。
・相見積もりで適正価格を割り出す。
・車買取の相見積もりをとる。
官公庁の契約では「見積もり合わせ」という
官公庁の契約では、入札にするまでもない少額の発注に対して、「複数の取引先などに同じ条件で見積もりを提出してもらい、比較すること」を「見積もり合わせ」といいます。
うっかり「相見積もり」というと、違法な談合になってしまう場合があるので注意してください。
違法な「相見積もり」とは?
官公庁の契約での「相見積もり」は、「特定の業者に見積書の取りまとめを依頼すること」を意味します。
これは、官公庁と契約したがっているひとつの企業に、他社の見積書もまとめて持ってきてもらうことです。官公庁の契約担当者が、複数の企業から見積書をもらえるように手配するのは大変なため、「相見積もり」ができれば楽なようにも思えますが、「相見積もり」には大きな問題があります。
「相見積もり」の問題点
見積書の取りまとめを依頼された企業が、自社の子会社などに自社の見積書よりも高い見積書を作らせて官公庁に提出すれば、取りまとめをする企業はその契約を確実にとることができます。
見積書は複数社分あるため、はた目には企業間の競争があったように見えますが、実態は正常な競争を妨害する不正行為です。
このようなずるができてしまうため、官公庁の契約で「相見積もり」は禁止されています。
「見積もり合わせ」の意味のつもりで、「相見積もり」を使っている人もいますが、2つはしっかり使い分けるようにしましょう。
民間企業同士では「見積もり合わせ」は「相見積もり」の類語
民間企業同士の契約や民間企業と消費者の契約の場合は、「相見積もり」と「見積もり合わせ」は区別なくどちらも「複数の取引先などに同じ条件で見積もりを提出してもらい、比較すること」の意味で使われています。
・不適正な見積もり合わせが発覚した。
「相見積もり」は英語だと?
「相見積もり」を英訳するときは、次の表現を使います。
competitive bidding:相見積もり、競争入札
「competitive」は「競争の、競争的な」という意味。「bids」は「bid(入札)」の複数形。「bidding」も「入札」という意味です。
「相見積もり」はマナーを守って行おう
「相見積もり」は、自分にとってよりいい契約を結ぶために有効な手段です。
しかし、「相見積もり」をされる側の企業の立場で考えると、手間をかけて見積もりを作っても契約が取れないくたびれもうけになってしまう可能性のある面倒なことでもあります。「相見積もり」を断る企業や、「相見積もり」の見積もりを有料にしている企業もあるくらいです。
「相見積もり」は相手側に負担をかけていることを忘れずに、マナーを守って行うようにしましょう。