フォロワーシップとはどんな言葉?
フォロワーシップの意味は、「部下が組織に貢献するために、自ら考えてリーダーやほかのメンバーを支援し補佐すること」です。
類語は「リーダーシップ」。ただし、意味が違うため言い換え語としては使えません。
英語で表すときは、「followership」を使用します。
フォロワーシップとはどんな意味?
フォロワーシップは、次の意味をもつカタカナ語です。
部下が、自主的にリーダーを補佐する役割を務め、積極的にチームのためになる行動をとるのがフォロワーシップです。
フォロワーシップを発揮する部下に期待される役割
近年は、人手不足の企業が多く、消費者のニーズは多様化し、状況の変化も速くなっています。リーダーひとりではあらゆる事柄を完璧に把握するのは困難で、ひとりのリーダーがすべての意思決定を下してビジネスを行う方式では、ビジネスを進めるのが難しいです。
そのため、フォロワーシップを発揮しリーダーを補佐する部下は、完璧なリーダーはおらずその力には限界があることを念頭に置き、次のような観点からリーダーをサポートすることが求められています。
仕事を積極的に引き受ける
職場の人手不足をリーダーが穴埋めし、リーダーでなくてもできる仕事も、リーダーが担当していることはよくありますよね。
このような職場では、フォロワーシップを発揮する部下は、可能な範囲で自分の業務のほかにリーダーでなくてもできる仕事を引き受け、リーダーの負担を軽減することが求められます。
フォロワーシップを発揮する部下が、リーダーの余計な仕事を減らすことで、リーダーはリーダーでなければできない仕事に集中できるようになり、リーダーとしてより適切な指示を出せるようになります。
リーダーとメンバーのつなぎ役になる
リーダーが、チームのメンバー一人ひとりと完璧に意思疎通させることは難しいです。そのため、フォロワーシップを発揮する部下は、リーダーとメンバー一人ひとりの間を取り持ち、お互いの考えや情報が相手にしっかりと伝わるように情報伝達することが求められます。
この役割を果たすため、フォロワーシップを発揮する部下は、リーダーともメンバーとも積極的にコミュニケーションを取らなければなりません。
リーダーがメンバーに対して出した指示の意図をリーダーに確認し、それをメンバーにしっかり伝えて、メンバー一人ひとりが指示に納得したうえで仕事ができるようにします。また、メンバーが持つ考えや情報を聞き取り、リーダーにそれらをしっかりと報告・連絡・相談もします。
自分の意見をリーダーに積極的に伝えよく話し合う
フォロワーシップを発揮する部下は、リーダーに新たな気づきを与え、間違いを正すことも求められています。
リーダーの考えが間違っていると感じた場合や、いいアイデアを思いついた場合は、積極的に意見しリーダーとしっかり話し合うようにしましょう。反対意見のときは、ただの批判ではなく建設的な提言になるように注意してください。
ただし、決定権者はリーダーです。話し合いのうえでリーダーが最終的に決めた事柄は受け入れ、メンバーにそれを説明するときはリーダーの決定を支持する立場をとらなければなりません。
フォロワーシップはチーム全員に必要
フォロワーシップを発揮する部下の人数が多ければ多いほど、その部署のリーダーは仕事がしやすくなります。また、部下がプロジェクトリーダーなどを務めている場合は、上司がその部下のサポートに回ることもあります。さらに、部署でリーダーを務める上司も、組織全体で見ると企業上層部の部下にあたります。
そのため、フォロワーシップは、一部の部下だけが発揮すればいいわけではありません。リーダーも含め、チームのすべてのメンバーがフォロワーシップを発揮できるようになることが求められています。
フォロワーシップを発揮するために必要な能力
フォロワーシップを発揮するには、リーダーをサポートができるだけの業務スキルと、メンバーにリーダーの指示をしっかり伝えられるだけの業務知識、わかりやすく説明する力が必要です。
ビジネスは、トラブルや失敗も付き物。何かあったとき、フォロワーシップを発揮する部下はリーダーとともにメンバーを鼓舞し、チームとして前向きに事態に対処できるよう導いていかなければなりません。そのため、ポジティブな視点でものを考える力も大切。
リーダーの決定にただ従うのではなく、客観的に考えて正しい判断なのか見極められるように、批判的な視点から考えるクリティカルシンキングを習得することも重要です。
フォロワーシップと部下のタイプ分け
フォロワーシップは、カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授が提唱した力です。教授のフォロワーシップ理論では、積極的関与(貢献度)と批判的思考の2つの観点から部下を評価しています。この2点の程度からその部下がフォロワーシップを発揮できるようになるためには、どのように教育し、どの面を伸ばしていったらいいかを見極められます。
積極的関与(貢献度)はリーダーのサポートを積極的に行う姿勢、批判的思考は必要な場合にはリーダーを批判し建設的な提言を行う姿勢のことです。
模範的フォロワー
模範的フォロワーは、積極的関与(貢献度)、批判的思考ともに高い部下のことです。
フォロワーシップを遺憾なく発揮し、組織に高い貢献ができる理想的な部下であり、リーダーの右腕と称されることもあります。
孤立型フォロワー
孤立型フォロワーは、積極的関与(貢献度)は低く、批判的思考だけが高い部下。批判的な発言ばかりで、自分から積極的に仕事に関与しリーダーをサポートしていこうとする意志は弱いです。チームワークに欠ける問題児と周囲から評価されることもあります。
孤立型フォロワーは、積極的関与(貢献度)を高めることで模範的フォロワーに近づけられます。
チームとしての目標や方針、チームとして請け負う業務にどんな意味があるのか理解を深められるように教育することで、前向きにチームに貢献しようという意識をわきやすくできます。
順応型フォロワー
順応型フォロワーは、積極的関与(貢献度)は高いけれど、批判的思考は低い部下です。リーダーには従順に従いますが、自分の意見はありません。リーダーに反論すると自分の評価が下がると思っており、間違った指示であったとしてもそのまま従ってしまう危険性があります。
このタイプの部下は、意見を述べる機会を多く設け、自分の考えを発表することに慣れさせることで、批判的思考を高められます。
消極的フォロワー
消極的フォロワーは、積極的関与(貢献度)、批判的思考ともに低い部下です。このタイプは仕事に対するやる気がなく存在感も薄いため、模範的フォロワーから最も遠い状態にあります。
チームの目標や方針、業務の意味を伝え当事者意識を持たせるとともに、本人の目標や希望を聞き出し、小さな課題で成功体験を積み上げていくことでやる気を育むのがおすすめです。
実務型フォロワー
実務型フォロワーは、積極的関与(貢献度)、批判的思考ともに中程度の部下。リーダーから与えられた業務については手堅くこなしますが、失敗やリスクを避けようとする意識が強く、確実にできることしかしない安全策をとりやすいです。
少し高めの目標を与え、徐々に挑戦することに慣れさせるように教育します。
フォロワーシップの類語・言い換え表現
フォロワーシップの類語は「リーダーシップ」です。ただし、この2つは意味が違うため、言い換え語としては使えません。
フォロワーシップは、リーダーがリーダーシップを発揮して方針を決め指示を出すことで、発揮できるようになります。
フォロワーシップは、リーダーのリーダーシップなしにはあまり意味のない力ですが、リーダーのリーダーシップだけでも、ビジネスは上手く回りません。リーダーシップだけでは、メンバーにリーダーの意図が十分に伝わらず、すぐに動き出すことができないためです。
フォロワーシップとリーダーシップは、車の両輪のように互いを支え合う力といえます。
また、リーダーをサポートするために自分で考えて行動する、フォロワーシップを身につけることは、部下のリーダーシップを育む土台になるといわれています。
フォロワーシップの使い方を例文で学ぼう
フォロワーシップの意味についてわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・研修でフォロワーシップのタイプ分け診断を受けた。
・事例を通してフォロワーシップの育て方を学ぶ。
・フォロワーシップに関する論文を読む。
・チームで看護にあたる病棟看護師は、フォロワーシップを身につけることが求められる。
フォロワーシップは英語だと?
フォロワーシップは英語だと、「followership」と表記されます。
・従者、部下
「followership」は、「部下」そのものを意味する言葉として使われることもあります。和訳するときは気をつけてください。
フォロワーシップを意識して働こう
フォロワーシップの意味は、「部下が組織に貢献するために、自ら考えてリーダーやほかのメンバーを支援し補佐すること」です。部下だけでなく、チームとして働くすべての人に必要なものとされています。
フォロワーシップを発揮するために必要な力を意識しながら、日々の仕事に取り組んでみましょう。