「取り急ぎお礼まで」とはどんな意味?使うときの注意点や言い換え表現も解説

「取り急ぎお礼まで」とはどんな言葉?

「取り急ぎお礼まで」の意味は、「今は急いでいるので形式的な作法は省略し、とりあえずお礼の気持ちだけ伝えます」です。

類語は、「まずはお礼申し上げます」「略儀ではありますが、まずはメールにてお礼申し上げます」など。

英語で表すときは、「It’s a quick note to thank you for~」などの表現を使います。

「取り急ぎお礼まで」とはどんな意味?読み方は?

「取り急ぎお礼まで」の読み方は、「とりいそぎおれいまで」。次の意味で使われる言葉です。

取り急ぎお礼まで
今は急いでいるので形式的な作法は省略し、とりあえずお礼の気持ちだけ伝えます

「取り急ぎお礼まで」はメールやチャット、ハガキなどでの文末に使われる締め言葉です。

ビジネスでも使用される場合があります。しかし、この表現は敬語ではないため、上司や取引先の人など目上の相手に用いるのには向かないと考える人も多いです。

「取り急ぎお礼まで」が目上に向かない理由

「取り急ぎお礼まで」を目上の相手に使うと、失礼だといわれてしまうことがあります。「取り急ぎお礼まで」が、目上に向かない理由をおさえておきましょう。

向かない理由①「取り急ぎ」がNG

「取り急ぎお礼まで」の「取り急ぎ」は、「とりあえず急いで」の意味があり、急ぎの要件で緊急に伝えなければならないときに使う言葉です。

「今は十分な準備ができていませんが、現在のところでお知らせできる範囲でお伝えいたします」というニュアンスや、「急いで伝えることを優先しているので、内容に不備があるかもしれませんが大目に見てください」という意味が含まれています。

お礼は、本来心を込めてするべきものです。そのため、仮に急いで感謝の気持ちを伝えたかったのだとしても、準備不足のままお礼を伝えるのは失礼だと感じる人もいます。

また、「取り急ぎ」は「自分が忙しいのだ」というニュアンスにも見えてしまいます。「取り急ぎお礼まで」は、「自分が忙しいからお礼の準備にも時間をかけられない」という、自分勝手な印象を相手に与えてしまう恐れもあります。

向かない理由②「お礼まで」がNG

「取り急ぎお礼まで」が、「お礼まで」と文末を省略しているところも、目上の相手に使うのに向かない理由です。

文末を省略すると丁寧さが感じられなくなり、カジュアルな印象の表現になってしまいます。

「取り急ぎお礼まで」を使うときの注意点

「取り急ぎお礼まで」は、目下の相手に使わない以外にも、使用するときに注意しなければならない点があります。

時間を置かない

「取り急ぎお礼まで」を、お礼する事柄が起こった時点から数日経って使うのはダメです。

時間を置くことで、「取り急ぎ」というだけの緊急性が感じられなくなり、違和感のある表現になってしまいます。

長文の本文には使わない

「取り急ぎお礼まで」は、長文の本文と合わせては使えません。長い文章を書くだけの時間があるのに「取り急ぎ」で緊急というのは矛盾がありますね。

「とりあえずお礼の気持ちだけ伝えます」という意味の言葉なので、お礼以外の用件は書かないようにしましょう。

後日お礼をし直す

「取り急ぎお礼まで」といわれたら、相手は「これはとりあえずの連絡で、後から詳細な連絡が来るのだろう」と解釈します。

そのため、「取り急ぎお礼まで」を使ったら、後日改めてしっかりとお礼を伝える機会を設ける必要があります。再度のお礼は、メールや手紙でも構いません。

しかし、相手が社内ですぐ会える人物であったり、会う予定が直近にある人であったりするときは、直接対面して口頭でのお礼をすることをおすすめします。メールや手紙での間接的なお礼より、直接対面してのお礼のほうが誠意が伝わりやすく、相手にいい印象を与えられます。

「取り急ぎお礼まで」の返信は?

「取り急ぎお礼まで」と書かれたメールをもらったら、基本的には返信不要です。

しかし上司など、目上の相手から「取り急ぎお礼まで」のメールをもらったときは、返信しないと気がひけるかもしれません。そのような場合は、「お気づかいありがとうございます」のように、簡潔な表現で返信しましょう。

「取り急ぎお礼まで」の使い方を例文で学ぼう

「取り急ぎお礼まで」は敬語になっていないので、このままの形でビジネスに使うのはおすすめできません。次の例文のように語尾を整えて用いるようにしましょう。

例文
取り急ぎお礼申し上げます。
取り急ぎお礼のみにて失礼します。
取り急ぎ書中にて御礼申し上げます。

「お礼まで」と言い切りの形にしないことで丁寧さを少しアップできます。親しい相手や部下などの目下の人には使えますが、「取り急ぎ」を用いていることには変わりないので、目上の相手に使用するのには向きません。

また、「まで」は言い切りの形なので、後ろに言葉を続けると違和感のある表現になってしまいます。「取り急ぎお礼まで申し上げます」や「取り急ぎお礼までにて失礼いたします」などの表現は、使わないことをおすすめします。

「取り急ぎお礼まで」の類語・言い換え表現

「取り急ぎお礼まで」は敬語ではないため、ビジネスで使える言い換え表現もおさえておきましょう。

取り急ぎお礼までの類語
・まずはお礼申し上げます。
・まずはお礼かたがたご挨拶申し上げます。
・まずはお礼申し上げますとともに、貴社の一層のご発展を心よりお祈りいたします。
・略儀ではありますが、まずはメールにてお礼申し上げます。
・一刻も早くお礼申し上げたくご連絡いたしました。

「取り急ぎ」を使わず、語尾も省略した形になっていないので、これらの表現は上司や取引先の人など目上の相手にも使用できます。

このうちの「まずは」は、「最初に」の意味を表す言葉。「何よりも早く感謝の気持ちを伝えたい」という想いを伝えられます。

「略儀ではありますが」は、「本来ならば伺ってお礼申し上げるべきところ、簡単なやり方に省略させていただく」という意味です。正式な方法をとらず申し訳ないというニュアンスが含まれています。

「取り急ぎお礼まで」は英語だと?

「取り急ぎお礼まで」を英語で表すときは、次の表現を使うとニュアンスを伝えられます。

「取り急ぎお礼まで」の英語
It’s a quick note to thank you for~:取り急ぎお礼です
This is a quick note to thank you.:取り急ぎお礼まで、まずはお礼まで
I just wanted to thank you.:一言お礼を申し上げたくて

また、簡単に「Thank you」や「Thanks」で手紙を締めて、「取り急ぎお礼まで」の訳とすることもあります。

「取り急ぎお礼まで」は慎重に使おう

「取り急ぎお礼まで」は、ビジネスでよく用いられている言葉ですが、正しい敬語ではありません。

お礼の言葉としては失礼だと思っている人も少なくないため、使用するのならば使い方をよく考える必要があります。

「取り急ぎお礼まで」を使用した後のお礼も含め、失礼のない対応をとるようにしましょう。