インスパイアとはどんな意味?ビジネスでの使い方、インスピレーション、オマージュなども解説

インスパイアとはどんな言葉?

インスパイアの意味は周囲を感化したり、奮い立たせたり、ひらめきを与えたりすること

似た意味の言葉に「インスピレーション」「オマージュ」「パロディ」「パクリ」があります。しかし、これらは完全に同じニュアンスではなく、使い分けが必要なものもあります。

インスパイアの英語は「inspire」です。

インスパイアについて、くわしく解説していきます。

インスパイアの意味とは

インスパイアは、次のような意味をもつカタカナ語です。

インスパイア
・ほかの人やものに思想や生命力などを吹き込む
・ほかの人を感化、啓発する
・ほかの人を鼓舞したり、感情を奮い立たせたりする
・ほかの人にひらめきや刺激を与える

インスパイアは、「インスパイアする」のように動詞として使います。「インスパイアする」の主語は、影響を与える人やものです。与えられる側が主語になるときは、あまり「インスパイアする」とはいわないので注意しましょう。

「インスパイアする」側は、ほかのものに影響を与えようなどと考えてもいないことがほとんどです。全然違う分野で、見ず知らずの人にまったく知らないうちに影響を与えていることもあります。

「インスパイアされる」とは

「インスパイアされる」とは、ある人物の行動や考え方に、自分の行動や考え方が変わってしまうほどの強烈な影響を受けること

「本人が気づかないうちに影響されていて、無意識のうちに似た部分のあるものを生み出していた」という意味になります。

または、「影響されていることは自分でも認識できているが、完全に同じようにするのではなく、独自の行動や考え方も加えてオリジナリティのあるものを生み出す」という意味で使われます。

インスパイアの英語

インスパイアを英訳するときには「inspire」を使います。

inspire
・鼓舞する
・激励する
・発奮させる
・元気づける
・人を明るくさせる
・吹き込む
・呼び起こす
・~を引き起こす
・霊感を与える
・示唆する
・~を動機づける
・~に刺激を与える

「インスパイアされる」は、「A was inspired by B」や「B inspired me」のように表現します。

インスパイアの使い方を例文で学ぼう!

インスパイアの意味がわかったら、次は言葉の使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・海岸線の美しさにインスパイアされたシルエットが特徴。
・部長からインスパイアされて仕事の姿勢を変えたら、成果を出せるようになった。
・伊万里焼にインスパイアを受けた洋食器。
・オフィスの休憩スペースは、社員がインスパイアされる空間を目指し設計した。
・伝説の名車にインスパイアされながらも、最新技術や現代風なデザインを加えたオリジナリティのある車。
・上司の仕事は部下をインスパイアすることだ。

最後の「上司の仕事は部下をインスパイアすることだ。」の例文だけ、インスパイアの主語がほかのものに影響を与える側になっています。

そのほかはすべて、主語が影響を受けた人やものの例文ですよね。主語と「インスパイアする」「インスパイアされる」の言い回しの組み合わせに気をつけてください。

ビジネスでのインスパイアの例

インスパイアは、企業のコンセプトなどに使われることがあります。具体例でビジネスでのインスパイアをみてみましょう。

日立グループのスローガン「Inspire the Next」

日立グループは、会社としてのスローガンに「Inspire the Next」を掲げています。

「Inspire the Next」は、「Next(次の時代)」に「Inspire(息吹を与えていく)」という意味です。

「Inspire the Next」では英文が終わっていないので、本来ならばおかしな文なのですが、「Next」の次に何も書かれていないのには理由があります。

「Next」の後ろをあえていわないことで、時代のほかにも次の「社会」、次の「アイディア」、次の「製品」、次の「システム」、次の「ソリューション」のように「次の〇〇」を自由に考えることができます。

日立は、企業として関わる多くの人と「次の〇〇」を共有することを狙っているのです。

また、日立グループの「Inspire the Next」の「Next」には、右上に赤く伸びる斜め線がついています。この赤線は、「Next」に突き進む意志の強さを表しているといわれています。

ホンダの「インスパイア」

自動車メーカーのホンダには、「インスパイア」という名前の車があります。

「インスパイア」は、同じくホンダから出ているミドルクラスのセダン「アコード」の上級車種として開発された車です。

「人にひらめきや感動を与えたい」という願いから「インスパイア」と名付けられました。

残念ながら、日本での「インスパイア」の新型モデル販売は終了していますが、中古車ならばまだ市場に出回っているので購入できます。

インスパイアの類語

インスパイアの類語は「インスピレーション」「オマージュ」「パロディ」「パクリ」です。これらの言葉は意味が似ているのですが、すべてが同じニュアンスというわけではありません。

それぞれの意味とインスパイアとの関係を頭に入れておきましょう。

インスピレーションとインスパイアの意味の関係

インスピレーションは、「直感的なひらめき」や「瞬間的に舞い降りた思いつき」のこと。

インスパイアは、インスピレーションを動詞にしたものです。「インスピレーションを与える」ことがインスパイアになります。

オマージュとインスパイアの意味の関係

オマージュの意味は「尊敬や敬意の気持ちを表したもの」や「賛辞」。フランス語の「hommage」が語源です。

インスパイアとほぼ同じ意味で同じように使えますが、インスパイアは英語の「inspire」からカタカナ語になった単語なので、もとの言葉が違います。

パロディとインスパイアの意味の関係

パロディは他者の作った作品を意図的にまねし、それをユニークにもじってオリジナリティのある表現にし、自分の作品に加えること。

オリジナルの作品を知っている人に気づいてもらって、笑ってもらうことを目的とすることが多いです。

インスパイアには、茶化して面白くしようという意図はない点が違います。

パクリとインスパイアの意味の関係

パクリは盗作という意味。他人の作品やアイディアを意図的にまねして、自分の作品に取り入れることをいいます。

インスパイアとパクリには、明確に「このときはインスパイア」「こうなったらパクリ」という定義がされていないため、両者の区別は難しいです。

みる人の判断によるため、自分ではインスパイアのつもりだったとしても、オリジナリティが足りない場合はパクリと判断されてしまいます。

こんなところにもインスパイア

ビジネスだけでなく、身近なこんなところにもインスパイアはあります。気になるインスパイアがないか探してみてください。

ラーメンのインスパイア系とは

「ラーメン二郎」は、食欲旺盛な男子学生などに熱烈なファンがいる人気ラーメン店です。

そして、その人気のあまり、「ラーメン二郎」のインスパイア系と呼ばれるラーメン店が各地で発生しています。

「ラーメン二郎」では、本店で修業した弟子がのれん分けでオープンしたラーメン店は直系と呼びます。

本店ではなく、直系店で修業した孫弟子にあたる人物がオープンしたラーメン店は亜流。本店で修業した弟子の店でも、自己流にアレンジしたラーメンを出しているなどの理由で「二郎」の名前を継がなかった店も亜流とされます。

インスパイア系のラーメン店とは、直系でも亜流でもなく、「ラーメン二郎」とはまったく関係のない人が「ラーメン二郎」に似せたラーメンを出しているラーメン店のこと。

「ラーメン二郎」にインスパイアされて出店しているからインスパイア系といいますが、「ラーメン二郎」で修業したわけではないため、味まで再現できている保証はありません。

インスパイアソングとは

インスパイアソングとは、何かからインスパイアされて作られた歌のこと。

例えば、映画を観た作曲家が、そのときに感じた気持ちを表現して作った歌はインスパイアソングになります。

インスパイアとパクリを区別してビジネスに活かしていこう!

何かからインスパイアされることは、芸術分野、飲食店業界、音楽業界などさまざまな分野・業界で自然に起こる現象です。

ビジネスでも同じで、インスパイアされていいものが出来上がることはよくあります。

ただ、自分独自の要素がないパクリは絶対ダメ!パクリは、社会的に非難を受ける悪いことです。社会人として、企業としての信用を失いかねない危険な行為になります。

パクリにならないように、しっかりオリジナリティを出したインスパイアを心がけてください。