クリティカルシンキングとは?ロジカルシンキングとの違い、メリット、類語も紹介

「クリティカルシンキング」とは「批判的思考」のこと

「クリティカルシンキング」とは、何かを考える際、本当に誤りがないか、客観的・論理的に思考することをいいます。思い込みやこれまでの習慣などに影響されていると、本質を見失う場合もあるため、ビジネスではとても重要とされています。本記事では、「クリティカルシンキング」の意味だけでなく、基本的な考え方、メリット、デメリットなどについてもわかりやすく紹介します。

「クリティカルシンキング」の英語は「critical thinking」

「クリティカルシンキング」を英語で表すと「critical thinking」で、直訳すると「批判的思考」となります。「critical」が「批判的」の意味ではあるものの、ネイティブの間では、ネガティブなイメージではなく、多用な視点をもつ「construcive=建設的」のニュアンスが強いといわれています。

ですので、日本で使われている「クリティカルシンキング」を伝えたい場合は、「constructive skepticism=建設的な懐疑論*」を使うほうがわかりやすいでしょう。(懐疑論*:なにかを認識する際、その個人性と相対性を重要視し、人の知力では普遍的な知識を得るのが不可能とする態度のこと。)

日本語においての「クリティカルシンキング」とは

「クリティカルシンキング」をそのまま日本語で表すと「批判的思考」です。しかし、この場合の「批判」とは否定することではなく、「これは絶対に正しい」と思いこんでいないか疑ってみることを指しています。

たとえば、新しいシステムを開発する際、「このシステムは有効なのか?」「この機能は必要なのか?」「もっと効果的なやり方はないのか?」と疑いの目を向けながら考えていくと、結果、最初に思い描いたものよりも、さらい良いものが出来上がることがあります。一度出された案などを見つめ直す作業となるため、時間は要しますが、良い結果が得られれ無駄な時間ではないわけです。

「クリティカルシンキング」の基本3項目

クリティカルシンキングには、「曖昧さを無くし、具体的に話すようにする」「思考の目的が何であるかを常に念頭において考える」「思考の癖や偏りに左右されないように注意する」という、基本となる3つの考え方があります。

曖昧さを無くし、具体的に話すようにする

時期であれば「上半期」「第三四半期あたり」ではなく「〇〇年▲月」、誰が実行するかは「各チームで誰か適任を…」ではなく、「〇〇さんか▲▲さんをリーダーとして」といったように、話をする際は、固有名詞や名称を使うようにしましょう。そうすることで、曖昧さがなくなり、目的を明確にすることができます。

思考の目的が何であるかを常に念頭において考える

さまざまな方向から考えを巡らせ、多くの意見が出たり、発想が生まれたりしてきます。そうすると、ゴールが何かがわからなくなることがあります。ですので、話しの内容がどんなに広がっても、何について考えているのか、目的は常に念頭において進めていきましょう。

思考の癖や偏りに左右されないように注意する

人は、性格や生活環境などにより、考え方に癖をもっていることが多いです。そのため、自分自身がどんな傾向にあるのかを見極め、思考が偏らないよう注意することが大切です。

「クリティカルシンキング」のメリット

クリティカルシンキングは、活用することでさまざまなメリットが得られるため、企業でも広く用いられています。

メリット①コミュニケーションがうまくとれるようになる

クリティカルシンキングは、個人の私情を入れず、議論の参加者同士の感情に動かされないように話し合うため、全員が中立的な立場におかれます。ですので、意見の対立も起こらずスムーズにコミュニケーションがとれるようになるのが特徴です。

メリット②間違いや漏れが見つけやすくなる

さまざまなアイデアや情報を、「本当にこれでいいのか?」と疑いながら考えていくので、間違いや漏れが見つけやすくなります。

メリット③新しいアイデアが出やすくなる

いろんな目線で物事を考えていくので、これまでになかった発想が生まれやすくなります。

「クリティカルシンキング」のデメリット

クリティカルシンキングは、出された意見や情報が正しいのか議論をしていくわけですが、深く掘り下げすぎると、本来の目的を見失う場合がことがあります。場合によっては、当初の目的とは違う結果が導きだされる可能性もあるため、大きなズレが生じないよう注意が必要です。

「クリティカルシンキング」の使い方・例文

「クリティカルシンキング」は、内容が理解できれば使い方は難しくありませんが、参考までに会話ではどのように使われるのか、例文でチェックしてみましょう。

例文

クリティカルシンキングを取り入れたおかげで、これまで頻繁にあった情報の重複がなくなった。
クリティカルシンキングで掘り下げすぎて、出された結果が最初のテーマと大きく変わってしまった。
・今後、大きなプロジェクトが計画されているので、簡単なテーマでクリティカルシンキングを練習することにした。

「クリティカルシンキング」の類語・言い換え

「クリティカルシンキング」の類語には「ラテラルシンキング」「ロジカルシンキング」があり、これら3つは、物事を考えるときの3大思考といわれています。

ラテラルシンキング

「ラテラルシンキング」とは、物事をまったく別の角度から見て発想していく思考方法をいいます。一つの内容に対して深堀りしていくのではなく、水平方向に発想を広げていくので、これまでになかったような新しいものを生み出す議論に向いています。「クリティカルシンキング」のように、結論を疑うのではなく、「こんな発想もあるんじゃない?」というのを見つけ出すのが「ラテラルシンキング」です。

ロジカルシンキング

「ロジカルシンキング」とは、物事を矛盾がないよう筋道を立てながら考えていく思考方法です。論理的に人に何かを伝えるときや、物事を整理したい場合に向いています。「クリティカルシンキング」は、結論となったものが正しいかもう一度疑ってみる行為ですが、「ロジカルシンキング」は、順序だてて結論を導き出すという点で違いがあります。

「クリティカルシンキング」を鍛えて業務の効率化を図ろう

「クリティカルシンキング」は、実務の中で少しずつ練習を重ねていく方法もありますが、社内研修やeラーニングで例題を使って学べば効果的に鍛えることができます。この思考方法ができれば無駄や漏れがなくなるので、業務の効率化も図れるので、ぜひ取り入れてみてください。