「自責の念」の意味とは?「罪悪感」との違いや使い方の例文、類語も解説

「自責の念」とは?

「自責の念」の読み方は「じせきのねん」。「過去の出来事を後悔して自分で自分を責める心持ち」を意味する言葉です。

過去に犯した自分の過ちや失敗、自分の無力さによって起こった出来事で自分が許せないと感じたり、自分に責任があると考えたりし、自分を追い込んでいる気持ちを表しています。

「自責の念」の「自責」と「念」とは?

「自責の念」の「自責」と「念」は、それぞれ次の意味をもつ言葉です。

自責
物事がうまくいかないときに、それが自分の責任だと考え自ら責め苛むこと
①思い。気持ち
②心くばり。注意
③かねての望み。念願
④(仏語)物事をしっかりと記憶すること

「念」には複数の意味がありますが、「自責の念」の場合は①「思い。気持ち」の意味になります。

つまり、「自責の念」は何かうまくいかないことがあったときに、それが自分の責任だと自分を責める気持ちを意味しています。

「自責の念」とうつ

うつ病の人に多く現れる症状のひとつに、自責の念が強いことがあります。これは、責任感の強い人がうつ病にかかりやすいためといわれています。

うつ病になると働けなくなるなど、自分が思うように動くことができなくなってしまいます。そのことで周囲に迷惑をかけていると考えたり、働けない自分は生きる資格がないと考えたりして、もともと強く責任を感じがちなのに、さらに強く自分を責めてしまうのです。

何か失敗したときなどに、必要以上に「自責の念」を感じていないか、自分に責任のないことまで自分の責任だと抱え込んでしまっていないか、自分の感じ方を振り返ってみましょう。

「自責の念」と「罪悪感」の違い

「自責の念」と似た意味をもつ言葉に「罪悪感」があります。この2つの言葉のニュアンスは、少し違いもあるのでおさえておきましょう。

罪悪感
自分が罪をおかした、悪いことをしたと思う気持ち

「罪悪感」は、自分が悪いと感じていることを表す言葉です。「自責の念」と違い、自分に責任があるとまでは思っていません

例文
仕事を休むことに罪悪感がある。

「自責の念」のほうが、「罪悪感」よりも自分を強く追い詰める言葉です。

「自責の念」の使い方・例文

「自責の念」の意味がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・大事なプレゼンで失敗し、自責の念に駆られる。
・自分のことが原因で両親が離婚してしまい、自責の念に苛まれている。
・責任者でありながらトラブルを予見できなかったこと、自責の念に堪えない。
・どうしてあの日息子をひとりで遊びに行かせたのか、今でも自責の念が消えない。
・信頼できる相談相手に出会えて、ようやく自責の念から解放された。

例文で使われている「自責の念に駆られる(じせきのねんにかられる)」は、「自分の責任だと自分を責める思いに強く感情が動かされている」という意味を表しています。

「自責の念に苛まれる(じせきのねんにさいなまれる)」は、「自分の責任だと自分を責める思いを強く持つこと」を表す表現です。

「自責の念」の類語・言い換え表現

「自責の念」の類語は「罪責感(ざいせきかん)」です。

罪責感
【意味】
自分に罪過があると考え、自分を責めたくなる気持ち

【例文】
自分に責任のないことにまで罪責感を抱いてしまう。

「罪責感」は、自分に罪があると感じたときに抱く気持ちです。例文のように、自分に罪がないときにも感じてしまう場合があります。

「自責の念」は英語だと?

「自責の念」を英訳するときは、次のような表現を用いるとニュアンスを伝えられます。

「自責の念」の英語
feeling of guilt:罪悪感
a sense of self-blame:自責の念
feel remorse:自責の念を感じる。悔やむ

機会があったら使ってみてください。

「自責の念」は重めの言葉

「自責の念」の意味は、「過去の出来事を後悔して自分で自分を責める心持ち」です。何か悪いことがあったときにそれが自分の責任だと考え、自分で自分を追い込んでいるときに使います。

自分で自分を責める重たい言葉なので、ちょっと悪いと思っているというような軽い気持ちのときには向きません。

心理状態に合う表現をうまく選べるようになりましょう。