「お伺いします」はどんな敬語?意味や例文「伺います」との違いも解説

「お伺いします」はこんな敬語

「お伺いします」は、「聞く」「質問する」「訪問する」「行く」を丁寧な言い方にした敬語表現です。

「聞く・質問する」の意味の場合の類語は、「お尋ねします」「お聞きします」「承ります」「拝聴します」。

「訪問する・行く」のときの類語は、「お訪ねします」「訪問いたします」「参上いたします」「参ります」「上がります」「お邪魔します」になります。

「お伺いします」を英語で表現するときは、言い表したい意味に近い単語を使い分ける必要があります。

「聞く」の意味は「hear」「listen」。「質問する」は「ask」。「訪問する・行く」のときは、「visit」「come to see」「be there」を使ってください。

「お伺いします」の 意味

「お伺いします」の読み方は「おうかがいします」。

「聞く」「質問する」「訪問する」「行く」の謙譲語の「伺う」を、さらに丁寧な言い方にした敬語です。

「お伺いします」は二重敬語

「お伺いします」は、謙譲語の「伺う」に丁寧なニュアンスを加える接頭語の「お」をつけて、さらに丁寧語の「ます」を加えた表現です。

接頭語の「お」は相手に関係する言葉につくときは尊敬語、自分に関する単語につけるときは謙譲語の働きをします。

「伺う」は自分の動作なので、接頭語の「お」は謙譲語になりますね。

つまり、「お伺いします」は謙譲語の「伺う」に謙譲語の「お」が重なることになり、二重敬語になってしまいます。

MEMO
二重敬語:ひとつの言葉に同じ種類の敬語を重ねた表現

許容される二重敬語もある

二重敬語は丁寧すぎて慇懃無礼な印象になる恐れがあるため、とくにビジネスでは避けるべきといわれています。

しかし、習慣的に使われていることで許容されている二重敬語もあり、「お伺いします」もそのひとつ

ただ、厳密には間違いなので、大勢の人の前で話すときやメール・手紙など文章を書く場合には、「お伺いします」を使用するのは避けるほうが無難です。

避けたほうがいい二重敬語

「お伺いします」に似た表現で、「お伺いいたします」や「お伺いさせていただきます」という言い方が使われる場合もありますが、この2つも二重敬語です。

「お伺いします」と同じ二重敬語ですが、こちらは慣習的にも認められていないため、なるべく使用しないようにしましょう。

お伺いいたします:謙譲語が二重にかかっている「お伺い」に、さらに「する」の謙譲語の「いたす」と丁寧語の「ます」をつけたもの。謙譲語が3つも重なった二重敬語
お伺いさせていただきます:謙譲語が二重の「お伺い」に、「する」の使役形の「させて」と「もらう」の謙譲語の「いただく」をつけたもの。謙譲語が3つの二重敬語

さらに、「お伺いさせていただきます」の「させていただく」は、いつでも使える表現ではありません。

「させていただく」は、「それをすることで自分に何かしらのいいことがある」「相手にそれをする許可を得ている」という2つの条件を満たさないと使用できません。

二重敬語の間違いにさらに間違いを上塗りしてしまう可能性があるので、うっかり用いないように気をつけてください。

「伺います」が正しい敬語

「お伺いします」の正しい敬語は「伺います」です。

「伺います」は、謙譲語の「伺う」に丁寧語の「ます」をつけた表現。こちらは二重敬語ではないため、スッキリとした印象を受けますね。

「お伺いします」の使い方を例文で学ぼう

「聞く」「質問する」「訪問する」「行く」を丁寧に表現している、「お伺いします」の使い方を例文でイメージしてみましょう。

「聞く・質問する」の例文
・お待たせしました。ご注文をお伺いします
・あらためてお伺いしますが、〇〇時のご予約で間違いございませんか?
「訪問する・行く」の例文
・面接日程のご連絡をいただきありがとうございます。ご指定いただいた〇月△日の15時までに御社にお伺いします。よろしくお願いします。
・もしよろしければ、こちらからご説明にお伺いします。来週あたりのご都合はいかがでしょうか?

「お伺いします」の類語

「お伺いします」は複数の意味があるため、言い換えするときにはその意味ごとに類語を選ぶ必要があります。

それぞれの意味での類語と、その使い方も頭に入れておきましょう。

「お伺いします」の類語:「聞く・質問する」の意味
お尋ねします:立ち入ったことをお尋ねしますが、ご自身の年収に満足されていますか?
お聞きします:お客様のご要望をお聞きします。
承ります:メールにて皆様からのご意見、ご質問を承ります。
拝聴します:〇〇社長から、大変興味深い経験談を拝聴しました。
「お伺いします」の類語:「訪問する・行く」の意味
お訪ねします:明日の10時に、〇〇様のご自宅をお訪ねします。
訪問いたします:お留守のようでしたので、後日改めて訪問いたします。
参上いたします:お声をかけていただければいつでも参上いたしますので、何かありましたらよろしくお願いします。
参ります:次回は弊社の〇〇がメンテナンスに参ります。
上がります:明日は8時にお迎えに上がります。
お邪魔します:出張販売のキッチンカーは、毎週木曜日にこの地域にお邪魔しています。

「お伺いします」の英語表現

「お伺いします」は英語に訳すときにも、伝えたいニュアンスに近い単語を選ばなければなりません。

「聞く」の意味では「hear」「listen」。「質問する」は「ask」。「訪問する・行く」のときは、「visit」「come to see」「be there」を使ってください。

それぞれの英語は次のような意味になります。

hear:聞く、聞いている
listen:聞く、聞こうとする、傾聴する
ask:尋ねる、質問する
visit:訪問する、訪れる
come to see:会いに来る、参上する
be there:来る、行く

「お伺いします」を上手に使おう

「お伺いします」は、完全に正しい敬語ではありません。

しかし、慣習的に使われていて日本語に定着しているため、敬語として使用することを許容されている表現です。

「お伺いします」は、少人数を相手に話し言葉で使う分には問題ありません。

ただ、書き言葉や大勢を相手に話すときにはやはり正しい敬語の「伺います」や、同じニュアンスの類語を用いるほうが無難です。

シチュエーションを見極めて、「お伺いします」を使ってみましょう。