「お察し」の意味とは?「お察しの通り」「お察しします」の使い方、英語、類語も紹介

「お察し」とは「明示されるまでもなく、推測して了解する」という意味

「お察し」は、「詳しく話してくれなくても理解できますよ」という意味合いの言葉で、フォーマルな場面で使うことが多いです。また、前後に使う言葉によっては「わかってください」と、自分の気持ちを伝えることもできるため、使い方も含めてぜひ知っておきたいものです。

本記事では、意味や例文だけでなく、言い換え表現や英語についてもわかりやすく解説します。

「お察し」の読み方・意味

「お察し」は「察する」の名詞系「察し」の丁寧な表現で、「おさっし」と読みます。

「察する」には、「おしはかる・推測する」のほか、「おもいやる・同情する」の意味があり、名詞系の「察し」になると「推測すること・おしはかること」を指します

それに丁寧語の「お」をつけることで、相手への気持ちを表現する言葉になります。

「お察し」の意味
・明示されるまでもなく、推測して了解すること。
・その場の雰囲気を推測し、了解すること。

「お察し」と「ご察し」どちらが正しい?

「お察し」は、漢字では「御察し」と書きます。「御」は、音読みをする言葉の前につく場合は「ご」、訓読みの場合は「お」と読む決まりです。

そして、「察し」は音読みとなるため、本来であれば「ごさっし」が正しいといえます。しかし、現代では「おさっし」と読むのが一般的なので、「お察し」を使うほうがいいでしょう。

「お察し」の使い方・例文

「お察し」は、「お察し〇〇」といったように、あとにいろいろな言葉を続けて使うことがほとんどです。ここでは、比較的多い使い方を例文を使って紹介します。

お察しします/お察しいたします

例文
心中お察しします
何も言わなくてもあなたの思いは理解していますよ」というニュアンスの文章です。身内の不幸、務めていた会社の倒産など、辛い出来事にあった相手に対して、ねぎらいの気持ちをもって伝えます。

また、「~します」よりも謙譲語である「~いたします」のほうがより丁寧な表現なので、状況に応じて使い分けてください。

お察しの通り

例文
部長「Aくんのチーム、なんか雰囲気よくなったよな?しっかり話し合いでもしたか?」
部下「お察しの通りです。今週の月曜、火曜に時間かけて話し合いしていましたよ。」
この例文では、「部長が感じているとおりです」「そのとおりです」といったニュアンスになります。

お察し申し上げます

例文
ご心労のほどお察し申し上げます
「申し上げる」は、「言う」の謙譲語です。しかし、この場合の「申し上げます」は、相手に対する自分の行動に敬意を表現するための言葉として使われています。

「お察し申し上げます」のほかによく使われるのは、「よろしくお願い申し上げます」や「お待ち申し上げます」でしょう。

お察しください

「お察しください」は、「状況をわかってください」「状況を推測してください」という意味です。しかし、冷たく突き放した印象をうける言い方と捉えられがちなので、敬語を使った表現としては次のようになります

例文
誠に勝手とは存じますが、当社の諸事情もお察しいただきたくよろしくお願い申し上げます。

お察しいただければ

「~いただければ」は、「~もらえれば」の謙譲語で、「お察しいただければ」は、「察してもらえれば」という意味になります。もっともよく使われるパターンを例文で紹介しておきます。

例文
お察しいただければ幸いです。
この言葉を発するとき、実際には「わかってください!」と言いたい気持ちであることが多いです。しかし、「察してください」では強い印象を受けてしまいます。

そこで、「わかってもらえると嬉しいです」の意味の「お察しいただければ幸いです」を使えば、柔らかくお願いすることができます。

「お察しします」は目上の人にも使える?

「お察しいたします」にすると、謙譲語になるため、厳密には目上の人にも使える言葉といえます。

しかし、「あなたの心の中はわかっていますよ」ということを言っているので、人によっては「お前に何が分かるんだ!」と気分を害す人もいます。

そのため、目上の人に使う場合は注意が必要です。もし、親しくしている人であれば、「心労が絶えませんね」という言葉を選ぶのもいいでしょう。

「お察し」の類語・言い換え表現

「お察し」をほかの言葉で言い換えて表現したい場合、「拝察」「賢察」が使えます。それでは、それぞれの言葉について少し解説しておきます。

拝察(はいさつ)

「拝察」は、「人の心情や状況などを推測することをへりくだった言葉」で、「お察しいたします」よりも丁寧な表現ですが、口語ではなく、メールや手紙などで使われることが多いです。

例文
御社におかれましてはますますご隆盛のことと拝察申し上げます。

賢察(けんさつ)

「賢察」は、「相手が推察することをうやまって述べる言葉」で、「察してください」と同じニュアンスになります。自分の気持ちや状況を察してほしいときに使います。

例文
状況をご賢察いただきたくよろしくお願い申し上げます。

「お察し」の英語表現

「お察しします」を英語でいう場合は次の表現がシンプルでおすすめです。

I understand how you are feeling.

そのほか、「その辛い気持ちわかりますよ」ということを伝えたい場合はこんな表現があります。

・I know how terrible you feel.
(あなたがどれくらい辛いのかお気持ち察します。)

「お察し」の意味を理解し正しく使おう!

「お察し」は、「相手の気持ちがわかっていることを伝えたいとき」だけでなく、「自分の気持ちをわかってほしいとき」にも使える言葉です。

相手に対して言う場合、状況や相手の心情によっては「わかったつもりでいるな!」と思われるかもしれないという難しさがあります。しかし、相手を思いやる言葉は良好な関係を築くためには必要なので、その場の空気を読み、上手に使っていけるようにしましょう。