ディベートとはどんな意味?やり方やコツ、類語についても解説

ディベートとはどんな言葉?

ディベートの意味は、特定のテーマについて、肯定派と否定派に分かれて議論をすること。討論や討論会という意味でも使われます。

類語は、「ディスカッション」「ミーティング」「カンファレンス」「ブレインストーミング」「シンポジウム」「ダイアローグ」。これらの言葉は似ていて混同されやすいのですが、意味は違うため言い換えには使用できません。

ディベートを英語で訳したいときには「debate」を用いてください。

ディベートとはどんな意味?

ディベートは、次の意味で使われるカタカナ語です。

ディベート
・特定のテーマについて、肯定派と否定派に分かれて議論をすること
・討論
・討論会

ディベートは、社会問題など公的な話題をテーマ(論題)にして討論するのが本来の形。

日本の議会や、選挙期間中にテレビなどで行われる党首討論、アメリカの大統領候補討論会は典型的なディベートです。

ディベートは英語だと?

ディベートは英語だと「debate」と表現します。

debate
賛成、反対に分かれて行う公開の討論会
・公式の場で相手を打ち負かすために討論する、討論に参加する
・長い熟慮、熟考
・熟慮する、熟考する、じっくり考える

「討論会」や「討論する」の意味の「debate」は、カタカナ語の「ディベート」と同じニュアンスです。

しかし、「じっくり考える」の意味の「debate」は、「I’m debating whether I should eat it.(私はそれを食べるべきか迷っている)」のようにも使用します。

カタカナ語の「ディベート」は、「迷う」というニュアンスで使うことはないので、この点はカタカナ語と英語で違っています。

ディベートの勝者は第三者が決める

ディベートの勝者は、中立な立場で両者の議論を聴く第三者が判断します。

根拠のある主張をして第三者を納得させ、自分の賛同者にできてはじめて勝者になれます。

根拠のない意見は説得力に欠けるため、自分の感覚や経験則だけで主張していたら勝てません。ディベートでは、自分の意見を裏付ける事実やデータを用意しておく必要があります。

ディベートは教育にも取り入れられている。

ディベートにより、社会人に必要な力を身に着けられるため、小学生から大学生まで、学校教育の現場で授業にディベートが取り入れられるようになってきています。

教育を目的に行われるディベートは教育ディベートと呼ばれます。中学生、高校生を対象にしたディベート甲子園という大会も開催されています。

ディベートで身につく力

ディベートで次のような力を鍛えられます。

・相手の発言内容や考えを正確に読み解く理解力
・話の内容を客観的に分析し、論理的に考える思考力
・客観的、多角的にものをみる力
・情報を収集、整理し、処理する能力
・瞬時に判断する瞬発的な思考力
・自分の考えをわかりやすく筋道立てて説明する文章構成力
・自分の意見を他者にしっかり伝えるプレゼンテーション能力

これらの力はビジネスでのプレゼンテーションや企画、交渉で役立ちます。

ディベートのテーマ

ディベートでは、公的な話題からテーマを選びます。参加者に関係がある話題や、社会的に注目度の高い話題を選ぶと盛り上がりやすいです。

・日本政府はテレワークを推進するべきか?
・日本政府は消費税率をさらに上げるべきか?
・企業は年功序列と成果主義のどちらを採用するべきか?
・企業は副業を許可するべきか?
・コロナ対策でオンライン授業が続く場合、大学は学費を減額すべきか?

ディベートのやり方

ディベートのやり方を簡単に紹介します。

①テーマを決める
②ルールを決める。例えば、意見を述べる順番や1回のスピーチに使える時間、相手の話をさえぎっての反論や質疑応答時の仲間からのアドバイスはありかなしかなど
③テーマに関する調査の時間を設ける
④くじなどで肯定派、否定派、審判役を決める。ディベート初心者は審判から始めるのもおすすめ
⑤片方がスピーチする
⑥質疑応答
⑦もう片方がスピーチする
⑧質疑応答
⑨スピーチと質疑応答を繰り返し、十分に討論したら審判役がジャッジする

ディベートに引き分けはありません。仮に審判役のジャッジが半々だった場合は、その政策はあってもなくてもどちらでもいいとみなされ、否定派の勝利となります。

ジャッジした後、審判役はなぜそう判断したか、議論のどこを評価したのか説明しなければなりません。討論参加者から判断に関する質問があれば、それにも答える必要があります。

ディベートのコツ

ディベートには勝利するためのコツがあります。事前の準備と意見の主張の仕方、質疑応答の攻め方、答え方それぞれのポイントをみていきましょう。

事前準備のコツ
・テーマの調査をするときには賛成派、反対派両方の調査を行い、どちらかの意見に偏らないようにまんべんなく資料を集める
・集めた資料をもとに賛成派、反対派それぞれについてなぜその意見になるのか、核になる主張を考えておく。核が明確でわかりやすいものであるほど、自分の主張が他者に伝わりやすくなる
意見の主張の仕方のコツ
自分と反対に立つ側の考え方や根拠をしっかり聞き、それをふまえて自分の意見や根拠を主張する。相手の意見を無視して自分の意見を一方的に主張するのはダメ
質疑応答のコツ
・相手のスピーチにあいまいな部分や矛盾などがあったら質疑応答でそこを攻撃し、審判役にも相手の意見にあいまいな点や矛盾があることがはっきり伝わるようにする
・ディベートは誘導尋問OK。質疑応答では自分側の意見に少しでも有利な回答を相手から引き出せるように、前の質問の答えにさらに畳みかけるように質問する。YES、NOで答えられる聞き方で解答側の意見を誘導していくのが理想
質疑応答の答え方のコツ
自分たちの説に矛盾があった場合は潔く間違いを認めることが重要。

後の流れに悪影響がなるべく及ばないように返答できればそれでいいし、無理なら誠実な回答で質疑応答を乗り切り、次にスピーチの順番が回ってきたときに弱められた説を立て直せるように軌道修正する

ディベートの使い方を例文で学ぼう

ディベートの意味がわかったら、次は言葉の使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
ディベートを通して考える力を身に着ける
ディベートで注目の論題が討論された
ディベート形式の討論が行われた
・両党首がディベートで激突した

ディベートの類語

ディベートの類語は、「ディスカッション」「ミーティング」「カンファレンス」「ブレインストーミング」「シンポジウム」「ダイアローグ」です。

これらのカタカナ語は、話し合い方法の一種であるという点で同じ仲間になる言葉です。しかし、意味は違うため言い換えには使えません

ディスカッション

ディスカッションの意味は「問題の解決を目指して複数の人が、そのテーマに対する自由な意見を述べ合うこと」。

賛成派、反対派に分かれて意見を戦わせるわけではありません。ディベートとは違い、3つ以上の考え方が出されることもあります。

例文
会社の課題についてディスカッションする。

ミーティング

ミーティングの意味は、「連絡事項の伝達や打ち合わせなどのために開かれる少人数の会議」。

議論がないものもミーティングと呼ばれます。

例文
定例のミーティングに参加した。

カンファレンス

カンファレンスの意味は「学術的な会議や研究会」。

ビジネスの場合は「大人数が参加する会議」の意味で使われます。医療現場では「打ち合わせや話し合い」の意味で用いられることもあります。

例文
開発者向けのカンファレンスを開催する。

ブレインストーミング

ブレインストーミングの意味は「集団発想法」。

いろいろなアイディアを得るために、特定のテーマについて参加者が自由に意見を出し合うことをブレインストーミングと呼びます。

ブレインストーミングは意見の質より量で勝負し、ほかの人の意見の批判は禁止されます。

例文
ブレインストーミングで出されたアイデアを吟味する。

シンポジウム

シンポジウムは、2人以上の専門家がテーマに沿った講演を行った後、専門家同士や講演を聴いていた聴衆、司会者がテーマに関する質問や意見を出し合う形式の討論会のこと。

例文
シンポジウムの様子をオンラインで配信した。

ダイアローグ

ダイアローグの意味は「対話、対談、問答、会話」。

自由な雰囲気の中、相互理解を深めるための誠実な話し合いがダイアローグです。無理に結論を出す必要はなく、お互いの意見を聞き、話す中で新たな意見が生まれることもあります。

例文
組織内のコミュニケーションにダイアローグの考え方を取り入れて改革する。
MEMO
ディベートは、日本語だと「論争」に言い換えることができます。

ディベートを使ってみよう

賛成派、反対派に分かれて討論するディベートを通して、プレゼンテーション力や交渉力など社会人が必要とする力を鍛えることができます。ディベートに参加する機会があったら、挑戦してみるのがおすすめです。

また、ディベートには、「ディスカッション」「ミーティング」などいくつもの似た意味をもつ類語があります。

でも、それらの類語とディベートは別のものなので言い換えに使うのには向きません。それぞれの言葉の正しい意味を理解して、使い分けできるようになりましょう。