「くださいませ」とはどんな言葉?
「くださいませ」は、「~ください」をやわらかい印象に言い換えた言葉です。
「くださいませ」を言い換えできる類語には、「くださいまし」「していただけませんか」「していただいてもよろしいでしょうか」があります。
「くださいませ」を英語にするときには、「please」や「Could you please ~?」が使えます。
「くださいませ」とはどんな意味?
「くださいませ」は「~くださいませ」の形で使うことが多く、次の意味を表します。
「~ください」と同じ意味ですが、「~ください」よりもやわらかく丁寧な印象になります。
「くださいませ」とはどんな敬語?
「くださいませ」は、「ください」に「ませ」をくっつけた言葉。
「ませ」は、丁寧語の「ます」を命令形にしたものです。
「ください」は、「くれる」の尊敬語「くださる」の命令形。または、「くれる」の命令形「くれ」の尊敬語です。どちらにしろ尊敬語なので目上の相手にも使えますが、命令形でもあるため「ください」で言い切ると、そっけない物言いや上から目線な印象になってしまう場合があります。
そんなときに、「ください」に丁寧語の「ませ」を重ね、丁寧さをプラスした表現の「くださいませ」が使われます。
「くださいませ」は二重敬語?
「くださいませ」が二重敬語なのではと心配する人もいますが、「くださいませ」は尊敬語に丁寧語を重ねたもののため、二重敬語ではありません。
文法的に正しい敬語なので、安心して使ってください。
ただし、「くださいませ」を一連の会話の中で繰り返し用いていると、丁寧すぎて慇懃無礼な印象を相手に与えてしまいます。こちらも人が嫌いとする敬語の使い方なので、使いすぎには気をつけてください。
「くださいませ」は接客業でよく使われる敬語
「くださいませ」は飲食業、小売業、コールセンターなどの接客業で頻繁に用いられている敬語です。
「少々お待ちくださいませ」「ごゆっくりお召し上がりくださいませ」など、定番になっているフレーズがたくさんあり、男性、女性を問わず使われています。
「くださいませ」は男性が使うと違和感がある
「ませ」がつく言葉は、本来は女性が多く使う女性語のひとつといわれています。
接客業では、男女共に用いられている「くださいませ」ですが、ほかの業界では男性が「くださいませ」を使用すると相手に違和感を与えてしまう恐れがあります。
とくに、相手が現代よりも明確に男言葉と女言葉の使い分けを行っていた年配の世代であったり、言葉の使い方に厳しい人だったりする場合には、使用を避けることをおすすめします。
「くださいませ」は書き言葉でも使える
「くださいませ」は、ビジネスメールや手紙などの文章にも使えます。
親しい取引先へのメールなど、硬すぎる文章表現がふさわしくない場合に使用されるケースが多いです。しかし、話し言葉と同様に書き言葉でも、差出人が男性のときにはあまり用いられません。
また、「くださいませ」は表現をやわらかくする言葉なので、公文書のような硬い言葉遣いが必要となるケースにはNGです。
「くださいませ」の用法を例文で学ぼう!
「くださいませ」は、相手に何かをするようにすすめるときや、丁寧に何かをお願いするときに用います。
「くださいませ」の使い方を例文でイメージしてみましょう。
・シェフ渾身の新作をぜひご賞味くださいませ。
・メールまたはお電話にてお問い合わせくださいませ。
・来月創業祭があります。よろしければ遊びに来てくださいませんか。
丁寧に何かをお願いするときには、「くださいませ」を疑問形にした「くださいませんか」という言い方も使われます。
「くださいませんか」は「ください」を「ません」で否定し、「か」で疑問の形にした表現です。「してほしい」気持ちを否定することで、どうするかの判断を相手にゆだねています。自分の意志を押しつけない、とても丁寧なお願いの仕方です。
「くださいませ」の類語・言い換え表現
「くださいませ」は、「くださいまし」や「していただけませんか」「していただいてもよろしいでしょうか」に言い換えられます。
それぞれの意味や使い方をみていきましょう。
くださいまし
「くださいまし」は「くださいませ」と同じ意味です。
しかし、「くださいませ」よりも古めかしい言い方で、少し砕けたニュアンスなので、ビジネスではまず使われません。
また、「くださいまし」は女性語なので、男性は使用しません。
していただけませんか
「していただけませんか」は「〜てくれない?」を丁寧な言い方にした敬語です。遠回しな言い方で、相手に何かをしてほしいとお願いするときに使います。
していただいてもよろしいでしょうか
「していただいてもよろしいでしょうか」は、「~してもらってもいい?」を敬語にした表現です。
丁寧にお願いするときに使います。
「くださいませ」の英語表現
何かをすすめるニュアンスで「くださいませ」を用いているとき、英語では「please」を使います。
例えば、お客様に席をすすめるときには、「Please have a seat.(どうぞ座ってください)」 といえばニュアンスが伝わります。
お願いするニュアンスのときには、「Could you please ~?」を使用してください。「くださいませんか」を英語にするときも、「Could you please ~?」が使えます。
「くださいませ」を上手に使おう
「くださいませ」は何かをすすめたり、お願いしたりするときに、ニュアンスをやわらげて丁寧に表現できる便利な敬語です。
しかし、男性が使用するときには、シチュエーションや相手を見極めて用いる必要がある、ちょっと注意が必要な言葉でもあります。
女性の場合も「くださいませ」の使いすぎを避ける必要があるため、「くださいませ」を言い換えできる類語も併せて覚えておくことをおすすめします。
状況を見極めて、「くださいませ」をうまく使用できるようになりましょう。