「一翼を担う」とはどんな言葉?意味や使い方の例文、類語、英語も解説

「一翼を担う」とはどんな言葉?

「一翼を担う」の意味は「全体の中で、ひとつの果たすべき役割を引き受けること」

「一翼を担う」の類語は、「一役買う」や「一端を担う」「一端をなす」。「一役を担う」は、「一翼を担う」の誤字から生まれた間違った表現です。

英語では、「play a role in ~」「play a part in ~」「take part in ~」「be a part of ~」「become part of ~」「get involved in ~」「become involved in ~」といった表現を使います。

「一翼を担う」の読み方と意味

「一翼を担う」の読み方は「いちよくをになう」です。意味も確認しましょう。

一翼を担う
全体の中で、ひとつの果たすべき役割を引き受けること

「一翼」は鳥の翼の片方のこと。「担う」は、「ものを肩に載せて下から支えながら持って運ぶこと」という意味の言葉で、ここからニュアンスが広がり「ある物事を支えて推し進めること」や、「自分の責任として役割を引き受けること」の意味でも使われています。

翼は鳥が空を飛ぶために必要不可欠なものですよね。片方でも欠けてしまうと、鳥という生物にとって死活問題になる重要なパーツです。

「一翼」と「担う」を組み合わせた「一翼を担う」は、「鳥にとっての翼のような、なくてはならない役割を責任を持って引き受け、全体を支える」という意味になります。

ビジネスでの「一翼を担う」

「一翼を担う」は、プラスのイメージで使われる言葉です。

そのため、履歴書や面接の志望動機で、自分のやる気や決意をアピールする言葉として用いられる場合が多く、部下を褒めるときや、モチベーションを挙げるための声がけをするときにも使用されます。

「一翼を担う」の使い方を例文で学ぼう

「一翼を担う」は誰でもできるような簡単な役割ではなく、プロジェクトの責任者や、部署のリーダーなど、大きな責任を伴う重要な役割を念頭に置いて使われる場合が多いです。

また、人だけでなく、会社などのものを指して使用されることもあります。

例文
・御社で一翼を担う人材として貢献したいと思っております。
・株式会社bouteX第2創業期の一翼を担う皆さまの、新卒採用ご応募を心よりお待ちしております。
・彼は幹部候補生として、会社の一翼を担うことが期待されている。
・SDGsに積極的に取り組み、持続可能な社会づくりの一翼を担う必要があると考える企業が増えている。
・ビジネスデビットカードは、キャッシュレス化の一翼を担う存在になりつつある。
・水素社会の一翼を担うべく、新技術を搭載した新型車の開発に力を入れる。
・産業の一翼を担う覚悟で、会社の技術力を高める長期計画を立てた。

「一翼を担う」の類語・言い換え表現

「一翼を担う」を言い換えできる類語は、「一役買う」や「一端を担う」「一端をなす」です。完全に同じ意味ではありませんが、似たようなニュアンスで使えます。

一役買う

「一役買う(ひとやくかう)」は次の意味をもつ言葉です。

一役買う
・ひとつの仕事を進んで引き受ける
・全体のなかでひとつの役目をになう
・力をかす
・手助けする

「一翼を担う」はプラスの意味でしか使われませんが、「一役買う」はいいことだけでなく悪い事柄でも使用される言葉です。また、「一役買う」はその役割をするものがあることで、その事柄がいいことにしろ悪いことにしろ、スムーズに進むというニュアンスもあります。

例文
雪国の雪がイベント会場の猛暑対策に一役買うことになった。

一端を担う

「一端を担う(いったんをになう)」の意味は、「全体のなかの一部分に関与して、その部分に関する役割や責任を持っていること」。

「一翼を担う」はプラスのニュアンスをもっていますが、「一端を担う」はプラスでもマイナスでもない、ただ役割を担っているというだけの言葉です。

そのため、意味的には「一翼を担う」とほぼ同じなのですが、「一端を担う」を履歴書や面接の志望動機に使うと違和感がある表現になってしまいます。志望動機には「一翼を担う」を使用するようにしましょう。

例文
町工場の職人集団が宇宙開発の一端を担う。

一端をなす

「一端をなす(いったんをなす)」は、「全体を構成する一部となること」という意味です。「一端をなす」は「一端を担う」と同じ意味合いで使えます。

例文
bouteX社は物流の一端をなす企業だ。
MEMO
「一役を担う」は、「一翼を担う」の誤字から生まれた間違った表現なので、使わないように注意しましょう。そのほかにも、「一躍を担う」や「一助を担う」「一旦を担う」も間違いで、このような日本語はないため気をつけてください。

「一翼を担う」の英語表現

「一翼を担う」を英訳するときは、次のような表現が使えます。

play a role in ~:~で役割を果たす
play a part in ~:~で役割を果たす
take part in ~:~に参加して役割を果たす
be a part of ~:~の一部になる
become part of ~:~の一部になる
get involved in ~:~に手を貸す
become involved in ~:~に手を貸す

それぞれの言い方で、ややニュアンスに違いがありますよね。例えば、「play a role in ~」は、自分から積極的に役割を担いにいくというニュアンス、「be a part of ~」はやや控えめに自分の役割を表現するときに用います。

それぞれの表現のニュアンスを理解して使いこなせるようになれれば一番ですが、沢山の言い方があるので一度に全部覚えるのはちょっと大変ですよね。自分が使いそうな表現や、覚えやすい表現から少しずつ頭に入れていきましょう。

「一翼を担う」をうまく使おう

「一翼を担う」は就活のときに作成する履歴書や面接の自己PRなどで、自分を相手に売り込むときによく用いられる表現です。また、部下のやる気を引き出したり、ほかの人を誉めるときにも使用できます。

「一翼を担う」は、「一役買う」や「一端を担う」「一端をなす」に言い換えすることも可能ですが、これらの表現は「一翼を担う」と完全に同じ意味の言葉というわけではありません。使い分けが必要な場合もあるので、それぞれのニュアンスの違いを理解し、上手に使えるようになりましょう。