バイアスとは?ビジネス、心理学での意味の違いは?例文、言い換え表現、英語も紹介

「バイアス」とは「偏見」「先入観」のこと

「バイアス」は、ビジネスシーンにおいては主に「偏見」や「先入観」の意味で使われますが、違う物事を指す分野もあるため、それぞれの意味を正しく理解しておかなくてはなりません。それにともない文中での使い方も変わってきます。

本記事では、一緒に覚えておきたい類語・言い換え表現、英語表現、「バイアス」を使った言葉などについてもわかりやすく解説します。

「バイアス」の英語は「bias」

「バイアス」は英語で「bias」と表記し、次のような意味をもつ、名詞と他動詞として使われています。

【名詞】
・布目に対する斜めの線
・統計処理の結果のゆがみ
・回路の電圧
・(金融対策などの)方向性
・偏見
・先入観
・不公平な判断
【他動詞】
・(~に)偏見を抱かせる
・(~を)偏らせる
・バイアスをかける
・(~を)付勢する

「bias」をどのように使うのか、例文もチェックしておきましょう。

・He has a political bias.
(彼は政治的な偏見をもっている。)
・My boss had a bias against the women.
(私の上司は女性に偏見をもっていました。)
・I cut cloth bias.
(私は布を斜めに裁ちます。)
・I look at him without bias.
(私は偏見なしで彼を見ています。)

日本のビジネスシーンにおける「バイアス」とは

日本でカタカナ用語として使われている「バイアス」の多くは、「偏見がある」「先入観がある」の意味で使われています。人は、意識をしなくても、先入観をもった見方をすることがありますよね?このような状態を「バイアスがかかる」「バイアスをかける」と表現します

例文

・女性に対してのバイアスがかかっているうちの上司は、責任ある仕事を女性社員に任せない。
・彼はとても優秀です。なので、社長の息子だから何もできないというバイアスをかけるのはやめてください。

そのほか分野別の「バイアス」の意味

「バイアス」は、一般的なビジネスシーン以外では、ほかの意味でも使われています。ここでは各分野別のバイアスについて解説します。

統計学の「バイアス」

統計学においての「バイアス」の意味は「偏り(かたより)」です。統計をとる際、大量の情報から一部を抜き出してその性質を調べるといった手法がよくとられます。たとえば、なんらかのアンケートをとる際、国民の趣向を知りたいのに男性のデータのみ、20代の人のデータのみを使うと、偏った結果が出てしまいます。これが統計学における「バイアス」になります。

また、このアイアスの中でも「選択バイアス」と「情報バイアス」にわけることができます。

選択バイアス
たとえば、新しくショッピングモールを作るための場所を検討していたとします。日常的に車移動が中心の地域でアンケートとると、混雑する駅の近くではなく、郊外でも広い駐車場の確保がほしいと思います。しかし、電車移動が中心の地域であれば、駐車場がなくても駅の近くを望みます。このように元のデータに偏りがあることを「選択バイアス」といいます。
情報バイアス
情報の集めすぎや、計算方法の偏りにより、大きな差がでることがあります。このような状況を「情報バイアス」がかかっているといいます。たとえば、AとBの平均を出せばいいときに、Cの情報まで足しているとその数字の差は大きくなってしまいます。統計学において、正しい数字を出すためには、この差は少ないほうが望ましいとされています。
例文
・こんなバイアスがかかっているデータでは実行に移すことはできない。

心理学の「バイアス」

心理学においての「バイアス」は、「偏見」を意味していることが多いです。たとえば、太った見て「大食漢」と思っても、実際はあまり食べない人もいますよね。「太った人=よく食べる」、この考え方が「バイアス」になるわけです。

例文
・服装が派手でも活発な性格ではありません。バイアスのかかった見方をしないでください。

電子工学の「バイアス」

家電などを動かすために、最低限必要となる電流や電圧があり、これが「バイアス」になります。必要な電流のことを「バイアス電流」、必要な電圧を「バイアス電圧」といいます。場合によってはバイアスを後ろにつけ「電流バイアス」「電圧バイアス」ということがありますが、意味は同じです。

例文
・この冷蔵庫を起動させるための電流バイアスはいくつですか?

タイヤの「バイアス」

タイヤの構造的分類として「バイアスタイヤ」と「ラジアルタイヤ」があります。それぞれのタイヤの違いは次のとおりです。

バイアスタイヤ
タイヤの内部にあるワイヤーを左右から斜めに配置している構造のタイヤのことをいいます。柔軟性があり抵抗力が大きいのが特徴で、重量があり、衝撃に対する耐性を必要とする大型トラックや航空機のタイヤに多く使われています。
ラジアルタイヤ
タイヤの内部にあるワイヤーを、進行方向に対して90度になるような角度で配置した構造のタイヤのことをいいます。抵抗が小さく、回転率が高いため、燃費がいいのが特徴です。現在は、乗用車の多くに採用されています。
例文
・抵抗力の大きいバイアスタイヤは燃費が悪くなるため、低燃費を重視する車には不向きである。

裁縫の「バイアス」

裁縫の分野においては、糸や布目を斜めに使うことを「バイアス」といいます。通常は、折り目や網目は縦と横の平行に糸を通していますが、「バイアス編み」「バイアス折り」では糸が斜めに通っています。

そのほか、洋服や小物の縁取りや見返しに使う「バイアステープ」があります。これは、布目に対して斜めに切り、伸縮性に優れているのが特徴です。

例文
・この布はバイアス編みです。

バイアステープの作り方

バイアステープは市販されていますが、気に入った色や柄がない場合は自作することが可能です。

まず、使いたい生地を対角に折り、対角で同じ長さになるようにします。これで45度の角度がつけられているので欲しい幅で生地を切ります。

1cm幅のバイアステープを作りたい場合は、約3.6cm幅でカットし、半分に折り目をつけ、約0.8cmの折り返しができるようにします。なお、バイアステープや折り返しの幅は好みで変更して問題ありません。

バイアステープの作り方はいろいろと公開されているので、「バイアステープ 作り方」で一度検索してみてください

「バイアス」の類語・言い換え

「バイアス」を日本語で言い換える場合、次の言葉が使えます。

バイアスの言い換え表現
・偏見
・先入観
・思い込み
・早まった認識意
・狭い見方 など

文章によって、適切な言い換え表現が変わってくるので、その場に応じたものを選んで使ってください。

例文

バイアスがかかると新しい発想は思い浮かばないんじゃない?
先入観があると新しい発想は思い浮かばないんじゃない?
狭い見方をしていると新しい発想は思い浮かばないんじゃない?

「バイアス」が含まれる言葉

日本には「バイアス〇〇」といった言葉がいくつか存在します。これらは、カタカナ用語の「バイアス」の意味が含まれているのでしょうか。ここでは、「バイアスロン」「バイアスピリン錠」について解説します。

バイアスロン

スキーのクロスカントリーと、ライフル射撃の二種を組み合わせた競技を「バイアスロン」といいます。スキーの速さと、射撃の命中率を競います

バイアスピリン錠

抗血小板薬の一つで、血液が凝固して血管をつまらせるのを防ぐ作用があります。狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの手術後に、血栓(けっせん)・塞栓(そくせん)の形成を予防します。

「バイアス」のいろいろな意味を理解し、正しく使おう

「バイアス」は、各分野でさまざまな意味で使われています。しかし、広い意味では「偏見」「先入観」「斜めの線」なので、関連付けて覚えると簡単でしょう。それぞれの分野での「バイアス」を正しく解釈できるようになってください。