クリティカルとはどんな言葉?意味や使い方、クリティカルシンキングについても解説

クリティカルとはどんな言葉?

クリティカルの意味は、「重大なさま」「危機的であるさま」「批判的であるさま」「批評的なさま」「病気や症状が重いさま」です。

言い換えできる類語は、「ピンチ」と「クライシス」。

クリティカルを英語で表すときは、「critical」を使用してください。

クリティカルとはどんな意味?

クリティカルは次の意味をもつカタカナ語です。

クリティカル
・重大なさま
・危機的であるさま
・批判的であるさま
・批評的なさま
・病気や症状が重いさま

ビジネスでは、「極めて重大な」「極めて危機的な」「批判的な」「致命的な」の意味で使われることが多いです。

しかし、クリティカルはネガティブなニュアンスばかりではありません。

「批判」には、「良い所、悪い所をはっきり見分けて評価、判定する」という意味があります。クリティカルも、「健全な批評をすること」や「検討を重ねて正しく評価すること」を意味する言葉として、ポジティブなニュアンスで使用される場合があるので頭に入れておきましょう。

クリティカルは英語だと?

クリティカルを英訳するときは、「critical」という英単語を使います。

critical
・将来を左右するほどに非常に重要な、重大な
・批評家の、評論の、批評の、批評眼のある、批判的な
・酷評的な、非難の、厳しく批判する、酷評する、厳しく批判して、難くせをつけて
・生死を分けるような危機の、きわどい、危機的な、重大な
・負傷や病気の状態が重篤な、危篤の

「critical」は重大であること、物事の長所と短所を評価すること、厳しく批判すること、 命に関わる危機であることを表す単語として使用されます。

クリティカルの使い方を例文で学ぼう

クリティカルは、文脈によってネガティブな意味合いにもポジティブな意味合いにもなります。どのように使うか例文でイメージしてみましょう。

ネガティブな例文
・2021年度の完成を目指しているが、工程上クリティカルな現場がいくつかある。
・製造工程を見直し、クリティカルなボトルネックを解消した。
クリティカルな指摘が飛び出し、会議が振出しに戻ってしまった。
クリティカルな状況を打開する方法をみつけられずにいる。
ポジティブな例文
・深刻な人手不足に対処するため、クリティカルな対策を打つ必要がある。
・問題のあったシステムを見直し、クリティカルに再構築した。

クリティカルの関連語

クリティカルは、ほかの言葉とくっついて熟語として使われる場合も多いです。それぞれの言葉についてもおさえておきましょう。

クリティカルシンキング

クリティカルシンキングは、日本語に訳すと「批判的思考」。誰かを批判するためのネガティブな思考ではなく、最適な判断をするための思考法です。

さまざまな物事や自分の考え、ほかの人の意見などあらゆるものに対して、「なぜそうなるのか」「どうしてこうなのか」「本当にこれで正しいのか」、何らかの基準と照らし合わせて客観的に注意深く分析し、最適な解を導くことを目的としています。

与えられた情報以外の情報はないのか、前提条件に間違いはないのか、考え方が偏っていないか、根本的なところから疑って考え直すのがクリティカルシンキングの特徴です。

クリティカルシンキングには、次のようなメリットがあるといわれています。

メリット
・自分の考えに説得力をもたせられるため、説得や交渉をスムーズに進めやすくなる
・相手の発言の裏にある意図や、相手の思考のクセを理解することで、コミュニケーションが円滑に進むようになる
・過去の慣習や古い考え方、他人の意見に囚われず多角的に考えることで、見落とされがちな落とし穴やチャンスに気づきやすくなる

クリティカルシンキングを学べるおすすめの本

クリティカルシンキングを学びたい人には、「クリティカルシンキングの教科書」をおすすめします。

この本は、誰もまだ気づいていない課題を自分で見つけて、問題解決できるようになることを目的に書かれています。

具体例や図表も交えて説明が進められていくためわかりやすいです。基本的な内容がおさえられているため、若手社員にとって気づきが多く、ベテラン社員には自分の思考を見直すきっかけになります。

クリティカルパス

クリティカルパスは、プロジェクト全体のスケジュールに影響を与える作業の連なりのこと。

例えば、クレープ屋さんでスタッフがクレープを作るとき、生地を焼くのに30秒、具材を冷蔵庫から出すのに10秒、焼けた生地に具材を盛り付けクレープを巻くのに1分10秒、完成したクレープに紙を巻くのに10秒かかるとします。

生地を焼く片手間に具材を冷蔵庫から出すことができるので、この2つの作業は同時進行可能です。そのほかの作業は同時進行できないため、クレープ完成までには最短で1分50秒かかります。

この場合、クレープを1分50秒で完成させられるかどうかを左右する、「生地を焼く→具材を盛り付けクレープを巻く→クレープに紙を巻く」の3つの作業の連なりがクリティカルパスになります。

ビジネスではクリティカルパスの把握が重要

ビジネスでは、クリティカルパスを把握することが非常に重要です。

先ほどのクレープ屋さんの場合、具材を冷蔵庫から出す作業は生地が焼けるまでに終わればいいため、10秒を多少オーバーしても問題ありません。

しかし、クリティカルパスに絡む「生地を焼く→具材を盛り付けクレープを巻く→クレープに紙を巻く」の3つの作業は、そのどれかひとつでも時間をオーバーすると完成までに余計に時間がかかり、お客さんを長く待たせてしまいます。

1個あたりの作成時間が伸びると販売できる個数も減ってしまうため、1日のもうけが減ってしまう場合もあります。

飲食店に限らず無駄なく働くためには、クリティカルパスを把握し、その作業を最短で終えられるように工程を見直すなど、対策を取る必要があります。

クリティカルエラー

クリティカルエラーは、コンピュータが動作し続けられなくなるほどの深刻なダメージをシステムに与える故障など、致命的なエラーのこと。ソフトウェアなどが修復できない状態にあることも、クリティカルエラーといいます。

また、クリティカルエラーの原因を突き止めるための手段や、そのエラーを引き起こしている故障を修復する手段、そのために使われるソフトウェアはクリティカルエラーハンドラーと呼ばれます。

クリティカルマス

クリティカルマスは複数の意味をもつ言葉です。ビジネスではマーケティングの分野でよく使われます。

マーケティングでのクリティカルマス
・広告で特定の結果を得るために必要になる数量
・商品やサービスが市場に定着して、普及率が一気に跳ね上がる分岐点となる普及率のこと

ビジネスでは上記の意味で使用されるケースが大半ですが、念のためクリティカルマスのそのほかの意味も確認しておきましょう。

クリティカルマスのそのほかの意味
・集団の中で大多数でなかったとしても、その存在を無視することができないグループであると見なされる分岐点となる数量
・臨界質量。原子核分裂の連鎖反応を維持するために必要とされる、最小限度の核分裂性物質の質量のこと
・自転車利用の促進をめざす市民運動のひとつ

クリティカルケア看護

クリティカルケア看護は、生命が危機的な状態にある重症患者に対して施される、生命を維持し、回復をサポートするための看護のこと。

病院の中での看護だけでなく、交通事故や突然の急病など、病院の外で起こる生命の危機に対するケアも含まれます。

クリティカルポイント

クリティカルポイントの意味は「臨界点」。

気体を圧縮する方法で液体にできる、最も高い温度を臨界温度と呼びます。臨界点は、その臨界温度下で気体が液化する瞬間の圧力と体積を示す点のことです。

この意味から、クリティカルポイントは、物事が限界に達する段階や時点を比喩として表す言葉としても使われるようになりました。

クリティカルレース理論

クリティカルレース理論は、日本語では「批判的人種理論」と訳されます。

「人種と法と権力とのあいだの関係を改変することを目的とした根本的な法学運動」と定義されている言葉です。

クリティカルヒット

クリティカルヒットの意味は「必殺の一撃」です。

RPGゲームや、コンピュータゲームの戦闘で攻撃するときに低確率で発生する、通常よりも遥かに大きいダメージを与えられる攻撃のことを指して使われます。敵を一撃で即死させる、「即死攻撃」を意味する場合もあります。

tiktokのクリティカルヒット

tiktokではクリティカルヒットが、「ハートを撃ち抜く一撃」の意味で使われています。

tiktokのクリティカルヒットは、吉本興業の男女お笑いコンビ「Everybody(タクトOK!!、かわなみchoy?)」のネタが元ネタです。

若手芸人の登竜門といわれている元旦のテレビ番組「おもしろ荘2021新年SP」で、「Everybody」が披露したネタ「クリティカルヒット」がブレイクして、tiktokでもブームになりました。

「Everybody」の「クリティカルヒット」は、日清ヨークから発売されている乳酸菌飲料「ピルクル」のCMにも使用されています。

クリティカルの類語・言い換え表現

クリティカルの類語は、「ピンチ」と「クライシス」です。

クリティカルの言い換え語として使うときの「ピンチ」の意味は、「追いつめられて非常に苦しい事態」「危機」「窮地」「苦境」。

「クライシス」は、「危機」「重大な局面」「経済上の危機」「恐慌」という意味です。

例文
・機転を利かせてピンチを切り抜けた。
・人手不足と宅配荷物量の急増によって起こる、物流クライシスが問題になった。

【おまけ】ドラマの「クリティカル」

「クリティカル」は、ロンドンにある総合病院の救急外傷チームの活躍を描いた、イギリスの医療ドラマシリーズです。

重症患者の救命処置シーンがとても丁寧に描かれており、内臓や出血などの表現が非常にリアルなことでも話題になっています。医療ものドラマが好きな人におすすめです。

クリティカルの意味を正しく読み取ろう

ビジネスでのクリティカルは、「極めて重大な」「極めて危機的な」「批判的な」「致命的な」の意味で使われることが多いです。

しかし、ネガティブな意味ばかりでなく、「健全な批評をすること」や「検討を重ねて正しく評価すること」というポジティブな意味でも使用される場合があります。

クリティカルがどの意味になるかは、文脈から読み取るしかありません。クリティカルのそれぞれの意味をしっかりおさえて、正しく解釈できるようになりましょう。