「ベストプラクティス」とは?分野別の意味、英語、類語、言い換えも紹介

ベストプラクティスとは「最善の方法」という意味

「ベストプラクティス」は、「最善の方法」や「一番いいやり方」を意味するカタカナ用語で、ビジネスシーンにおいてはよく登場する言葉です。

しかし、分野によっては異なるニュアンスで使われるため、それぞれの意味を正しく理解する必要があります

本記事では会話の中での使い方、言い換え表現、似た言葉との違い、英語表現などについて併せて紹介します。

「ベストプラクティス」の英語は「best practice」

「ベストプラクティス」は、英語の「best」と「practice」の2つの単語で成り立っている熟語です。「best(ベスト)」は、日常でも「最高の」「最も良い」「絶好の」といった意味であたりまえに使われています。

そして、「practice(プラクティス)」は、多くの場合は「練習」の意味で使われますが、「行為」「活動」「仕事」「実践」の意味もあります。

そのため、「best practice」は「最良の実践」「一番良い仕事」を意味する場合がある一方で、「最も良い練習」を指すこともあるので、どちらの意味で言っているのかは、状況に応じて判断しなければなりません。

例文
・We have to figure out thebest practice.
(私たちは最善の方法を見つけ出さなくてはならない。)
・I came up with the best practice.
(私は最高の練習方法を思いついた。)

日本語においての「ベストプラクティス」とは

日本語においての「ベストプラクティス」は、広い意味では「最善の方法」ですが、分野によってニュアンスが異なります。

「ビジネス」でのベストプラクティス

一般的なビジネスシーンにおいての「ベストプラクティス」は、なんらかの結果や成果を得るために「一番いいやり方」を指すことが多いです。

初めて手掛ける仕事に限らず、ルーティーン化している仕事も「もっといいやり方はないか?」と模索することは多いはずです。その中で「ベストプラクティス」にたどり着いた場合は、そのやり方が成功事例として定着していくわけです。

例文
・最近部内全体の残業が増えているようだ。どの業務が一番問題になっているのかを調査し、ベストプラクティスを全員で共有しようと思う。

「医療・看護」でのベストプラクティス

医療や看護の分野においての「ベストプラクティス」とは、「医師や専門家が適切と認め、広く使われている治療法」や「最善の看護方法」を指します。

医療の現場では、スキンテアと呼ばれる皮膚の裂傷のケアが必要です。特に皮膚が弱い高齢者の治療にはスキンテアがつきものになってきます。

長期間寝ていることで起こる床ずれ(褥瘡)、車いすによる摩擦、絆創膏を剥す際の裂傷など、要因や症状はさまざまです。それぞれの症状にあった治療やスキンテアを予防するためのベストプラクティスを常に考え、実行しなければなりません。

例文
・スキンテアの予防についてのベストプラクティスを学びたいと思う。

「感染管理」でのベストプラクティス

「感染症」の管理に対する「ベストプラクティス」とは、感染経路の調査、手洗い・うがいなどの予防法の確立といった、「感染しないようにするための最善方法」を指します。

例文
・新型コロナに対するベストプラクティスを早急に考える必要がある。

「アマゾンウェブサービス(AWS)」でのベストプラクティス

AWS*(Amazon Web Services)では、「AWS Well-Architected フレームワーク」という資料ベストプラクティスに関する資料を提供しており、これには「運用上の優秀性」「セキュリティ」「信頼性」「パフォーマンス効率」「コスト最適化」の観点から作成されています。
(AWS*:Amazon.comが提供しているクラウドコンピューティングサービスの名称)
(情報元:Amazon aws

例文
会社の会議システムを構築することになったため、awsのベストプラクティスについての講習会が実施された。

「ベストプラクティス」の類語・言い換え

「ベストプラクティス」を日本語で言い換える場合、次の言葉が使えます。

「ベストプラクティス」の言い換え表現
・最善の方法
・一番いいやり方
・勝利の秘策 など

また、カタカナ用語でも、似た意味をもつ言葉や混同されやすい言葉があるので、「ベストプラクティス」をより理解するためにもぜひセットで覚えてください。

「ベストプラクティス」と「ベタープラクティス」の違い

一番いい方法でなくても「今よりはいい」という方法を選択する場合があると思います。これを「ベタープラクティス」といいます。現時点で「ベストプラクティス」を見いだせないときは、まずは「ベタープラクティス」から始めるのも一つの方法だということを覚えておきましょう。

「ベストプラクティス」と「ベンチマーキング」の違い

「ベンチマーキング」とは、「手本とするものを定め、継続的に定めた手本と比較しながら改善していくやり方」を指します。

手本とするものが最善であれば、それは「ベストプラクティス」になるため言い換え表現として使えます。最善でない場合もあるため、「ベンチマーキング」と「ベストプラクティス」は同義とは言いきれません。

「ベストプラクティス」と「レプリケーション」の違い

「レプリケーション」とは、「複製品を作る」という意味で、「データの複製」など、IT用語として使われるのが一般的です。複製の対象のなるものは、「一番いいデータ」や「完成品」なので「一番よい方法」を意味する「ベストプラクティス」と同じ意味合いで使うことがあります。しかし、厳密には意味は異なるので、区別して覚えておきましょう。

「ベストプラクティス」と「クエリ」の違い

「クエリ」とは、「問い合わせ」「照会」「尋ねる」の意味をもつカタカナ用語です。IT業界では、「クエリ」を実行する際の最善の方法を選択する際に「ベストプラクティス」という言葉がよく使われることで、関係性が深い言葉と認識されがちですが、意味は異なります。

デメリットも理解したうえで「ベストプラクティス」を使おう

事業を確実に成功に導いたり、効率よく仕事を進める手段として「ベストプラクティス」は有効です。しかし、ひらめきや新しい発見を見つけにくいといったデメリットがあるということも忘れてはいけません。

「ベストプラクティス」で進めているときに何か別の方法を思いついたときは、さらに上の「ベスト」にたどりつけるかもしれないので、可能な限り試してみましょう。