「わざわざ」とはどんな言葉?
「わざわざ」は、「ついでではなくその事柄だけのためにとくに行うさま。特別に」と、「通常ならしなくてもいいことをわざと行うさま」の2つの意味をもつ言葉です。
類語は、「せっかく」「あえて」「格別に」。
「わざわざ」を英語で表すときは、「all the way」「take the trouble to do」「go out of one’s way to」「bother to/bother ~ing」を使ってください。
「わざわざ」とはどんな意味?
「わざわざ」は、次の2つの意味をもっています。
②通常ならしなくてもいいことをわざと行うさま
ただし、②の意味は「そこまでしなくていいのに、余計なことをした」という嫌味にも聞こえてしまうため、ビジネス会話としてはまず使われません。
コミュニケーションの中で使用される「わざわざ」は、相手が特別に何かをしてくれたときに、①の意味で感謝の言葉とセットで用いるのが一般的です。
「わざわざ」が嫌味に聞こえるNGな使い方
「わざわざ」は、自分の動作に対しては使用できません。「自分にそれをする義務はないのにしてやった」「面倒だがしてやった」のような、上から目線や不平不満を強く感じさせる物言いになってしまいます。
相手の動作に対しても、相手がしてくれることを断る否定の文脈で使うのはNGです。相手への配慮や遠慮からお断りする場合にも、「わざわざ」は用いないでください。相手の行為が「余計なお世話」や「迷惑」であるという、マイナスのニュアンスで受け取られてしまいます。
「わざわざ」は敬語?
「わざわざ」は敬語ではありません。しかし、相手への敬意や感謝を表す文脈で、ほかの敬語表現と組み合わせて使用すれば、上司など目上の相手にも使えます。
前後の文脈でも誤解が生じないように、注意して感謝の意思が伝わる表現を心がけてください。
「わざわざ」は漢字だと?
「わざわざ」は漢字だと、「態態」や「態々」と書きます。
「態」は次の意味をもつ漢字です。
②心がまえ。身がまえ
③わざと。わざわざ
③の意味の「態」を2つ重ねて意味を強めた言葉が、「態態」や「態々」です。
「わざわざ」の使い方を例文で学ぼう
「わざわざ」の意味や注意点がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・わざわざご連絡ありがとうございます。助かりました。
・本日はお忙しいところ、わざわざお越しいただきありがとうございます。
・わざわざ足を運んでくださりありがとうございます。
・わざわざ食べに行く価値があるお店を作りたい。
・わざわざ掃除をしなくても済む、全自動おそうじトイレが人気を集めている。
「わざわざ」は敬意や感謝を表す文脈のほかにも、例文の「わざわざ食べに行く価値がある」や、「わざわざ掃除をしなくても済む」のような形で、魅力をアピールする文句としても使用される場合があります。
「わざわざ」の類語・言い換え表現
「わざわざ」は嫌味に聞こえてしまう場合もあるため、使い方に注意が必要です。「わざわざ」が使用しにくいときに備えて、言い換えできる類語も頭に入れておきましょう。
せっかく
「せっかく」は、複数の意味をもつ言葉です。
・滅多に得られない、恵まれた状況
・全力を傾けて物事をするさま。つとめて
「せっかく」は何かをすることのついでに、別のことも一緒に行うというニュアンスをもっています。どちらかというと、やれたら嬉しいことをするというプラスの意味合いで用いられるケースが多く、否定の文脈でも使用できます。
あえて
「あえて」は次の意味をもつ言葉です。
・困難な状況を押して無理にするさま
「あえて」は自分の動作にも使えます。
格別に
「格別に」の「格別」は次のような意味で使われます。
・普通とは違う、別の扱いがなされるさま。例外として。ともかくとして
・それぞれ別であること。それぞれ別に行うこと。各別
「格別に」は、「特別に」や「例外的に」のようなニュアンスになります。
「わざわざ」は英語だと?
「わざわざ」を英語で表すときは、次の表現を使います。
take the trouble to do:わざわざ労を惜しまずに~する
go out of one’s way to:わざわざ無理してまで~する
bother to:わざわざ~する。否定的なニュアンスで使われることが多い表現
bother ~ing:わざわざ~する。否定的なニュアンスで使われることが多い表現
これらのフレーズを使用すると例えば、「わざわざご連絡ありがとうございます」といいたいときには、「Thank you for going out of your way to contact me.」。「わざわざ来てくれてありがとう」なら、「Thank you for taking the trouble to come here.」と英訳できます。
【おまけ】パンと日用品の店 わざわざ
「パンと日用品の店 わざわざ」は、フリーランスのWEBデザイナーだった平田 はる香さんが立ち上げたお店です。
長野県の山の上にお店があるため、「わざわざ来てくださってありがとうございます」の気持ちを込めて、「わざわざ」という店名がつけられています。
パンやお菓子などの食品関係のほかにも、キッチン用品、掃除道具、ファッション小物など様々なアイテムが取り扱われているのが特徴です。
平田さんは、「パンと日用品の店 わざわざ」の実店舗のほかに、オンラインストアや姉妹店の「問tou」も運営しています。
商品やお店の雰囲気は、Instagramでも紹介されているので、興味のある方はのぞいてみてください。
「わざわざ」は慎重に使おう
「わざわざ」は目上の相手にも使える言葉ですが、文脈によっては嫌味に聞こえてしまう場合があるため、用いるときは充分に気をつける必要があります。
誤解される可能性があると感じたときには、別の言葉に言い換える臨機応変さも必要です。ご紹介した類語とうまく使い分けしながら、「わざわざ」を使用してみましょう。