ゼロサムやゼロサムゲームの意味は?対義語、類語、使い方も紹介

ゼロサムとは「合計するとゼロになる」という意味

ゼロサムとは、「損益を合計するとゼロになる」という意味です。簡単にいうと、「プラスマイナスゼロ」です

ゼロサムの対義語は「非ゼロサム」ですが、「ノンゼロサム」と呼ばれる場合もあるので、どちらも覚えておくと便利です。これは、ゼロサムの反対なので、「損益の合計がゼロにはならない」という意味になります。

ビジネスにおいて、「損益」の計算は必ず行われるので、関連する用語である「ゼロサム」の意味や使い方はきちんと覚えておきたいものです。本記事では、関連語や類語などについてもわかりやすく解説します。

「ゼロサム」の英語は「zero-sum」

ゼロサムを英語で表すと、数字の「ゼロ」の意味をもつ「zero」と、「合計、総和」の意味をもつ「sum」をあわせたものになります。

日本語においての「ゼロサム」の意味

「ゼロサム」を日本語で表すと「零和」、つまり、「和(=合計)」が「ゼロ(零)」になることを指しています。

また、お互いがゼロサム関係にあることを「ゼロサムゲーム」と呼びます。これは、もともとは応用数学におけるゲーム理論の考え方で、ゲームには「勝ち」と「負け」があり、特に二人で対戦するゲームでは、片方が勝てば、必ず片方が負けるという法則からきています。

ゼロサム例①金融業界

「ゼロサム」はお金の動きに密接に関わる分野、特に金融業界ではよく使われます。その中でも、Aという通貨が安いときはBの通貨が高くなるという構造で、外国為替の売買損益で利益を得ていく「FX取引」では頻繁に登場します。

また、株式、債権、信用取引などでも、利益がでた人がいれば、損をした人もおり、総合的にはゼロになっているので「ゼロサム」の関係にあるといえます

日常の中にも「ゼロサム」はある

日常生活の中で、私たちは食料品、日用品など、さまざまな買い物をしています。例えば、200円のトイレットペーパーが売っていたとします。売買が成立した場合、販売側は200円お金が増え、消費者側では200円減ります。つまり売買の合計はゼロで、「ゼロサム」の関係は成立することになるのです。

ゼロサムの例②競馬・競艇

競馬や競艇などの賭け事は、負けた人の掛け金は、主催者へ配分されるお金を差し引いた金額が、勝った人へ配分される仕組みです。

「負けた金額(マイナス)」+「勝った金額(プラス)」+「主催者配分金額(プラス)」=「ゼロ」で、勝者と敗者の1対1ではありませんが、これも一種の「ゼロサム」関係といえます。

賭け事は「マイナスサム」との説もある

競馬、競輪といった賭け事は、参加者全体としては、投資額よりもマイナスになるケースがあります。例えば、競馬で1着を当てた人が誰もいなければ、利益を得る人がいないので、参加者の合計はマイナスです。賭け事という認識が薄い宝くじも同じ原理です。

そのため、賭け事は「ゼロサム」ではなく「マイナスサム」と考える人もいます。

「ゼロサム」の関連語

日本で使われている用語の中には「ゼロサム〇〇」という関連語がいくつか存在します。その中でも比較的よく使われる「ゼロサム社会」「ゼロサム思考」もぜひ併せて覚えておいてください。

ゼロサム社会

「ゼロサム社会」とは、経済の成長が止まって、資源や富の量が一定になり、利益を得る者がいると、その分だけ損をする者がいるという、米国の経済学者であるサローの提唱する理論をいいます。

ゼロサム思考

白黒をはっきりさせる、勝つか負けかなど、二者択一に縛られた考え方をもっている人がいます。このような思考を「ゼロサム思考」もしくは「ゼロサムバイアス」といいます。そのほかにも「二分割思考」「白黒思考」といった表現をする場合もあるので、どのいい方をされても「ゼロサム思考のことだな」と結びつくようにしておきましょう。

「ゼロサム」の使い方・例文

「ゼロサム」は、「勝ちor負け」「損or得」の結果がついてくる事柄の中でよく登場します。では、「ゼロサム社会」「ゼロサム思考」も含め、どのような使い方をするのか、例文でチェックしてみましょう。

例文

ゼロサムではなく、利益をもっと増やせなければこの業界での生き残りは厳しいだろう。
・彼はゼロサム思考だから負ける可能性が1%でもある勝負はしない。
・投資というものは、ゼロサム以上が約束されているわけではないということを忘れてはいけない。

「非ゼロサム」にするには市場拡大が必要

ある商品の市場があるとします。消費者が100人と限られていて、市場にいる企業がA、B、C、Dとあった場合、たとえば、Aを使う消費者が10人増えればほかの企業の消費者は10人減る、これが「ゼロサム」です。

しかし、企業Aの消費者を10人増やしたいために、市場全体の人数を10人増やせば、B、C、Dを使う消費者が減ることはありません。このように誰かが得をしても損がでないようにする状態が「非ゼロサム」です。

つまり、「非ゼロサム」状態にするためには、市場の拡大が必要だというわけなのです。

「ゼロサム」の類語・言い換え

「ゼロサム」は、ほかの言葉で言い換えるのは難しく、次のような言葉での説明にするしかありません

・合計するとゼロ
・プラスマイナスゼロ

類語としては、「プラスサムゲーム」「マイナスサムゲーム」「ゲーム理論」があげられます。

プラスサムゲーム

一方が得をした場合、必ずしももう一方が損をするとはいえない状況を「プラスサムゲーム」といいます。例えば、企業間での契約の話があったとします。Aという企業の希望は、金額よりも複数年での契約、Bはできるだけ金額を金額を抑えたいと思っていた場合、双方で妥協点を見つけ出します。そして、お互いが満足する結果となるため、「プラスサムゲーム」となるわけです。

マイナスサムゲーム

ゲームをするプレイヤーの利得合計がマイナスになるゲームを「マイナスサムゲーム」といいます。わかりやすい例をあげると「宝くじ」です。たとえば、一人1万円ずつ出して5万円分の宝くじを購入し、トータル2000円の利益を得たとします。しかし、48000円の損失が出ているため「マイナスサムゲーム」となります。

ゲーム理論
ビジネスや経済などで発生するさまざまな事柄において、企業や政府をプレイヤーとみなし、どのように行動していくかを数学的に分析する理論を「ゲーム理論」といいます。

「ゼロサム」の敗者にならない努力をしよう

競争社会において、勝ち続けるのはとても大変です。しかし、負けが続けばビジネスでの成功は難しいです。ですので、なるべく「ゼロサム」の敗者にならない努力をしていきましょう。また、必ずプラスマイナスゼロにする必要はないので、可能であれば市場拡大を目指す「非ゼロサム」というのもぜひ考えてみてください。