ジレンマとは簡単にいうとどんな意味?例えや使い方、類語をわかりやすく解説

ジレンマとはどんな言葉?

ジレンマの意味は、「板挟み」「八方ふさがり」「両刀論法」

カタカナ語でジレンマを言い換えられる言葉はありません。日本語では「板挟み」「窮地」「苦境」「葛藤」が類語になります。

ジレンマを英語で表すときは、「dilemma」を使ってください。

ジレンマとはどんな意味?

ジレンマは次の意味をもつカタカナ語です。

ジレンマ
①板挟み、八方ふさがり
②両刀論法

ジレンマはビジネスも含め、一般的には①の意味で使われることが多いです。選択肢が2つあってどちらかを選ばなければならないけれど、どちらを選択しても望ましくない結果をもたらす状態をいいます。

②の意味は、 論理学で使用されます。2つの仮定があるけれど、そのどちらもよくない結果につながるため、どちらにしろ悪い結果になってしまうという3段階で結論を導く論法です。

ビジネスでのジレンマの例

ビジネスでは、ジレンマがよく起こります。例えば、次のような状況や要望の板挟みになることがビジネスでのジレンマです。

例1
「画期的な新技術を開発してイノベーションを起こしたい」と「すでに利益を出せている既存の事業を発展させたい」

新技術の開発は必ずしもうまくいくとは限りません。また、イノベーションが起こると既存の事業が壊されてしまう可能性もあるため、大企業ほど新技術開発に及び腰になりやすいです。しかし、ライバル企業が新技術を開発してイノベーションが起こってしまうと、出遅れた企業は大きな損失を被ってしまいます。

例2
「社員教育をしっかり行いたい」と「社員教育に割く時間を節約したい」

社員教育に力を入れることは、ビジネスの質を高めるためには必要です。しかし、社員を教育するには指導役を準備する必要があり、たくさんの時間もかかります。教育のために割く時間がない企業は、このジレンマに陥りやすいです。

例3
「顧客が求める商品の品質を維持すると供給が間に合わない」と「需要を満たすため品質を落とすと顧客のニーズに反する」

高品質な製品を作るには手間も時間もかかります。当然供給量は多くないので、ニーズが大きくなると生産が追い付かなくなり、せっかくのビジネスチャンスをふいにしてしまいます。品質を落とせば生産スピードを上げることはできますが、消費者の求めている品質を満たしていなければ、作っても買ってもらえなくなってしまいます。

例4
「事業の黒字化のため経費を削減したい」と「経費を削減すると長期的な経営に悪影響がある」

経費削減は短期的には経営改善に役立ちますが、それが長期に及ぶと必要な部分にも資金が回らなくなってしまいます。

時代の変化によって、それまで企業の強みだったものがデメリットになってしまい、ジレンマに陥るケースもよくあります。そして、そのジレンマをうまく解消できるかどうかが、企業の生き残りを左右することも珍しくありません。

ジレンマは何語?英語だと?

ジレンマはラテン語の「dilemma」から英語になった言葉。英語でも「dilemma」と書きます。語源は「2つの問題」という意味のギリシャ語「δί-λημμα」です。

dilemma
好ましくない二者択一を迫られる板ばさみ
・解決が難しい難問、窮地、困難
・両刀論法

この「dilemma」を使って、「ジレンマに陥る」は「face with a dilemma」や、「be faced with a dilemma」と表すことができます。

ジレンマの使い方を例文で学ぼう

ジレンマの意味がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・観光地は、観光客に来てもらいたいが、大勢来すぎるのも困るというジレンマに苦しんでいる。
・育児に手を抜きたくない思いと、仕事に集中したい気持ちのジレンマに陥った。
・電気自動車の普及には航続距離を長くする必要があるが、電池搭載量を大きくすると設定価格が高くなり、充電時間も長くなってしまうというジレンマが生じてしまう。
・手洗い、消毒と手荒れ対策について、ジレンマを抱えている人が増えている。

ジレンマの類語・言い換え表現

カタカナ語で、ジレンマを言い換えられる言葉はありません。言い換えが必要なときは、日本語の「板挟み」「窮地」「苦境」「葛藤」を使用してください。

完全に同じ意味ではないですが、同じようなニュアンスで使えます。

板挟み

「板挟み」は、次の意味をもっています。

板挟み
対立する2者の間に挟まれてどちらにも付くことができず、思い悩むこと

「原料の値上げと消費者の節約志向の板挟みに苦慮する」のようにして使います。

窮地

「窮地」には、次の2つの意味があります。

窮地
追いつめられて困りはてた状態や立場。万策尽きた苦しい状態
②遠く離れた土地。中心から遠くへだたった不便な地。僻地(へきち)

ジレンマの言い換えに使うときは①の意味になり、「感染症対策によって飲食店は、窮地に立たされることになった」のように用います。

苦境

「苦境」は次の意味の言葉です。

苦境
・苦しい境遇
苦しい立場

「苦境が続いている航空業界で、生き残りをかけた新たな取り組みがはじまった」のように使用します。

葛藤

「葛藤」は、次の3つの意味をもつ言葉です。

葛藤
①人と人が互いに譲らず対立し、いがみ合うこと
②心の中に相反する2つ以上の動機や欲求、感情などが存在し、そのいずれをとるか迷うこと
③仏語。正道を妨げる煩悩のたとえ

「葛藤」は、論理的に考えればどうするべきか結論は出せるけれど、感情的に迷って決められずにいる状況を表す言葉です。

「安定した職業を取るか、夢の実現を目指すか、進路のことで葛藤している」のように使います。

ジレンマと矛盾の違い

「矛盾」は、2つの物事がくいちがっていて、つじつまが合わないことのたとえです。

ジレンマは、2つの選択肢のどちらを選んでも悪い結果につながるため葛藤すること。2つの選択肢につじつまが合わないところがあるわけではないので、矛盾とは意味が異なります。

「矛盾」の例文
対策に矛盾が生じている。

【おまけ】エンタメでのジレンマ

ビジネスだけでなく、プライベートでもジレンマはよく起こります。そのため、曲名や歌詞にジレンマが使われた楽曲が、たくさん作られています。一覧にして紹介するので、知っている曲や好きな歌手がいない探してみてください。

ジレンマが使われた楽曲
・ポルノグラフィティの「ジレンマ」
・speenaの「ジレンマ」
・ecosystemの「ジレンマ」
・Hawkの「恋のジレンマ」
・Foxtail-Grass Studioの「恋のジレンマ」
・富田美憂の「ジレンマ」
・眩暈SIRENの「囚人のジレンマ」

楽曲のほかにも、Netflixでは恋愛にまつわるジレンマをテーマにした、「ザ・ジレンマ: もうガマンできない?!」がシーズン2まで配信されており、シーズン3の制作も決定しています。恋愛リアリティーショーに興味がある人は見てみてください。

ジレンマをうまく乗り越えよう

ビジネスでも人生でも、ジレンマは付き物です。特に、今の時代はあらゆるものが急激に変化しているため、ジレンマに陥りやすい状況にあるともいえます。

ジレンマをうまく乗り越えられるかどうかが、ビジネスの明暗を分ける場合もあります。先を少しでも見通せるように情報収集し、少しでもいい選択肢を選べるようになりましょう。