「お手配」とはどんな意味?「ご手配」との違い、ビジネスでの使い方、類語も解説

「お手配」とはどんな言葉?

「お手配」の意味は、「事前に段取りを決めたり、準備を進めたりすること」「必要な人員やものを用意すること」

「お手配」の類語は、「ご準備」「ご用意」「お膳立て」「ご配慮」です。

「お手配」を英語で表すときは、「arrange」や「arrangement」を使ってください。

「お手配」とはどんな意味?

「お手配」は「おてはい」と読みます。はじめに、「手配」の意味を確認しておきましょう。

手配
①物事に先だって役割や段取りを決め、手わけをして準備を進めること
②必要なものを用意すること
③人を要所に置くこと。特に、犯人や容疑者を逮捕するため必要な人員を要所に配置したり、指令を方々に出して手はずを整えること

「お手配」は「手配」を丁寧な言い方に直した敬語で、「事前に段取りを決めたり、準備を進めたりすること」「必要な人員やものを用意すること」という意味で使われます。

「お手配」と「ご手配」の違い

「お手配」と「ご手配」は、どちらも「手配」に接頭語の「御」をつけた言葉ですが、「御」を「お」と読むか「ご」と読むかで使い方やニュアンスが若干違ってきます。

接頭語の「お」と「ご」

接頭語の「御」は、ほかの言葉の頭にくっついて、その言葉に丁寧なニュアンスを付け加える役割をもっています。「御」を「お」と読むか「ご」と読むかには、ざっくりとした決まりがあるので、そのルールをおさえておきましょう。

・日本の本来の言葉である和語(訓読みの熟語)につくときは「お」
・昔、中国から伝わって日本語になった漢語(音読みの熟語)につくときは「ご」

「手配」は、訓読みの「手(て)」と音読みの「配(ハイ)」を組み合わせた熟語なので、「お」と「ご」のどちらも使用できる言葉です。ただし、「お手配」と「ご手配」は、使い分けするのが一般的なので、違いを覚えておく必要があります。

「お手配」とは

「お手配」と読む場合、「お」は美化語になります。美化語は言葉を美化し、上品に表現するための言葉です。敬語の一種であることは間違いありませんが、相手に敬意を払うニュアンスはないので、目上の相手へしっかりと敬意を表して話す必要があるときには向きません。

「お」は、言葉をやわらかくおっとりとしたニュアンスにする働きもあります。

そのため、「お手配」は相手に堅苦しさを感じさせたくないときなどに、表現を和らげる目的で使われます。

また、事柄に緊急性がなくて、「手配」を急ぐ必要がない場合にもよく使用されます。

「ご手配」とは

「ご手配」と読むときの「ご」は謙譲語、または尊敬語になります。どちらにしろ相手への敬意がしっかりと含まれているので、目上の相手との会話で問題なく使えます

事柄に緊急性があるときにも「ご手配」が向いています。

MEMO
「お手配」よりも「ご手配」のほうが丁寧度の高い敬語のため、どっちを用いるか迷った場合は「ご手配」を使ってください。

「お手配」の使い方を例文で学ぼう

「お手配」の意味がわかったら、次はビジネスでの使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・先ほど資料を受け取りました。早速のお手配ありがとうございます。
・お忙しいところお手数おかけいたしますが、参加者名簿のお手配のほどよろしくお願いいたします。
・ご無理申し上げたにも関わらず、お手配いただきありがとうございます。
・お申し込み時には、下記のものをお手配いただけますでしょうか?
・ご希望でしたらこちらで専用バスをお手配いたしますが、いかがいたしましょうか?

「お手配」は、比較的ラフな敬語なので、目上の相手に使用するときには注意が必要です。しかし、「いただく」など相手への敬意を表す敬語と組み合わせれば、ビジネスにも向く表現になります。

「お手配」の類語・言い換え表現

「お手配」の類語は、「ご準備」「ご用意」「お膳立て」「ご配慮」です。それぞれの意味や使い方をみてみましょう。

ご準備

「ご準備」は次の意味をもつ言葉です。

ご準備
物事にすぐに取り掛かれるように、あらかじめ必要なものをそろえたり態勢を整えたりして、用意をすること。したく

「ご準備」は、ものを用意するなど物理的な準備のほかに、心の準備のように精神面での準備にも使えます。

例文
申請するときには、下記の必要書類をあらかじめご準備ください。

ご用意

「ご用意」の意味も確認しましょう。

ご用意
・前もって必要なものをそろえ、ととのえておくこと。したく
・ある事に備えて気を配ること。用心

「ご用意」は、ものを準備するときに使うことが多いです。

例文
各種ドリンクもご用意しております。

お膳立て

「お膳立て」は、使うときに少し注意が必要な言葉です。

お膳立て
・食器や料理を取りそろえて、食事の用意を整えること。膳ごしらえ
・物事の準備をしっかりすること。すぐに着手できるように、十分に用意しておくこと

食事の準備は人から見えないところで済ませる事柄なので、「お膳立て」も、人が見えない場所で準備をするときに、その準備を指して使用します。また、自分が「お膳立てした」というと、自分の手柄を自慢するように聞こえてしまうため、自分のことには用いません。

例文
新人研修を終えて、いよいよ上司のお膳立てがない状態で営業回りをすることになった。

ご配慮

「ご配慮」もビジネスではよく使われる敬語です。

ご配慮
手落ちがないように、または、いい結果になるようにあれこれと心をくばること。心づかい。心配

「ご配慮」は尊敬語なので、自分のことには使用しません。相手が自分に配慮してくれたときや、相手に配慮をお願いするときなどに用いてください。

例文
寛容なご配慮を賜り、厚く御礼申し上げます。

「お手配」は英語だと?

「お手配」を英訳するときは、「arrange」や「arrangement」を使用します。

arrange
・整える、整頓する、配列する、配置する、
・前もって整える、用意しておく、手配する、準備する
・問題などを調停する、決着させる
・曲を編曲する
arrangement
・整頓、整理すること、配列すること、見た目が美しい配置、配列、並べ方
・配合、取り合わせ
・打ち合わせ、取り決め、協定、合意
・準備、手配、お膳立て、用意、手はず
・曲のアレンジ、編曲
・和議、和解、示談

「arrange」と「arrangement」を使って、「お手配ありがとうございます」を英語で表すと次のようになります。

お手配ありがとうございます
・Thank you very much for your arrangement.
・Thank you very much for arranging this.

「for ~ing」は理由を表すときに使う表現です。「for arranging this」で、「これを手配してくれて」のようなニュアンスになります。

「お手配」は状況や相手を見て使おう

「お手配」は相手に対する敬意が含まれていない敬語のため、上司や取引先の人など目上の相手には「ご手配」を使うほうが無難です。

しかし、相手をせかしたくないときや、かしこまった言い方が好まれない相手と話すときなどには、表現がやわらかい「お手配」のほうが向いています。

「お手配」は、相手との関係性や状況を見極めてうまく使用しましょう。