「引き合いに出す」とは「参考として比較するものを出す」という意味
「引き合いに出す」を簡単にいうと「例に出す」、つまり、「参考にするためになにか比較できるものを出す」ことを意味します。しかし、「引き合い」だけでは違う意味になるので、間違った解釈をしないよう注意が必要です。
本記事では「引き合いに出す」の正しい意味や使い方のほか、使い方、類語、言い換え、英語についてもわかりやすく解説します。
「引き合いに出す」の意味
「引き合い」には次のように、複数の意味があります。
①互いに引っ張りあうこと
②証拠や参考として例にすること
③売買や貸借条件を紹介すること
④会社と会社の仲を取り持つこと
⑤事件などの証人や参考人になること
ビジネスシーンにおいては、③の意味である、「実際に注文が入る前の段階」を指す場合もよくあります。
【例】
商品Aについての引き合いがあった。
「引き合いに出す」の形になると、「引き合い」は②の意味になるので、どの意味で使われているのかは状況や文脈で判断しなければなりません。
「引き合いに出す」の使い方・例文
ビジネスにおいて、なにか新しいことを始める場合、過去の例を参考にしながら検討を進めていくことは多々あります。この、「過去の例を出す」という部分が「引き合いに出す」ことにあてはまります。では、実際の会話例でチェックしてみましょう。
・A社に見積依頼出すならB社からの見積を引き合いに出すのもいいんじゃない?
・あの件を引き合いに出すとは…彼は人間の心理ってものを理解しきっているね。
・新しい工場の建設計画だけど、規模や周辺環境が似ている九州工場を引き合いに出すとわかりやすいと思う。
「引き合いに出す」の類語・言い換え表現
「引き合いに出す」をほかの言葉で言い換える場合、次のような表現が可能です。
・例としてあげる
・例を示す
・具体的に示す
・具体事例をあげる
・例示する など
また、似た意味をもつ言葉に「比較」「引用」「参照」もあります。
比較
「比較」は、「二つ以上のものを互いに比べ合わせる」という意味があります。
・春の新商品を引き合いに出して冬の新商品の検討を行う。
・春の新商品と比較しながら冬の新商品の検討を行う。
引用
「引用(いんよう)」には、「自分の話をする際に、人の言葉や事例を引いて用いること」という意味があります。「比べる」といった要素はなく、どちらかといえば「参考にする」というニュアンスが強くなります。
・対象都市の人口の増減については総務省のデータを引用しています。
参照
「参照(さんしょう)」には、「ほかのものと照らし合わせて参考にする」という意味があります。「引き合いに出す」とほぼ同じ意味合いで使えますが、「照らし合わせるものを参考にする」という要素が強い場合は、「参照」のほうが適しているでしょう。
・作成する資料については、営業部が作ったものを参照してください。
「引き合いに出す」の英語表現
「引き合いに出す」を英語で表現する場合、「問い合わせ」「引き合い」「調査」などの意味をもつ「inquiry」を使います。
・Inquire about last year cases and reconsider.
(昨年の事例を引き合いに出して再検討してみてください。)
「引き合いに出す」の意味を理解し正しく使おう!
ビジネスシーンにおいて、過去のものや成功事例を参考にすることはよくあります。新しいことを発見するのも大切ですが、失敗しないために「引き合いに出す」ことも悪いことではありません。
また、何か問題が起こった際は、過去の同じような例を「引き合いに出す」と、スムーズに解決することも多いです。いろいろなものと比較するという方法も取り入れながら良い仕事ができるよう取り組んでいきましょう。