「おしなべて」とはどんな言葉?
「おしなべて」の意味は、「全体にわたって」「全部がそうであるとはいえないが、大体の傾向として」です。
類語は「概ね」「概して」「総じて」。
「おしなべて」を英語で表すときは、「generally」「overall」「on the whole」を使ってください。
「おしなべて」とはどんな意味?
現代語として「おしなべて」を使う場合、次の意味になります。
・全部がそうであるとはいえないが、大体の傾向として。おおむね。大略
全体をひとまとめにしてみたときに、ほとんどのものがそうであるという場合に「おしなべて」を使用します。
古語としての「おしなべて」の意味
古語としての「おしなべて」は次の意味で用いられます。
②普通に。人並みに
①の意味で「おしなべて」が使われている和歌を紹介します。
②の意味の「おしなべて」は、源氏物語「桐壺」で使用されています。
「普通に。人並みに」の意味の「おしなべて」は、古文ならではの使い方で、現代語の文章ではこの意味になることはありません。
「おしなべて」の語源
「おしなべて」は漢字で書くと「押し並べて」や「押靡て」となります。「靡ぶ(なぶ)」とは「同じ方向になびくようにする。なびかせる」という意味。
「押して全体が同じになるように並べる」や「押しならして同じ方向になびかせる」が、「おしなべて」の語源と考えられています。
「おしなべて」の使い方を例文で学ぼう
「おしなべて」を使った短文をご紹介します。「おしなべて」の意味を考えながら読んでみてください。
・新機種は、おしなべて高い評価を得られている。
・おしなべて考えれば、マイナス面よりもメリットの方が大きい。
・どのメーカーもおしなべて品質が高いため、性能では差をアピールしにくい。
・古文の授業で、「おしなべて峰も平になりななむ 山の端なくは月も入らじを」の意味を品詞分解して考えた。
「おしなべて」の類語・言い換え表現
「おしなべて」はビジネスシーンでは使われますが、プライベートの会話ではあまり耳にする機会がありません。とくに若い世代では馴染みがない人も多いため、相手に意味が通じない場合も考えられます。
そのようなときに言い換えできる類語もおさえておきましょう。
・物事のもっとも重要な部分。大体の主旨。主たること
・その状態が大部分を占めるさま。だいたい。おおよそ
【例文】
早朝より発生していたシステム障害は概ね復旧できた。
ひっくるめて。おおざっぱに。だいたいにおいて。一般に。おおむね。
【例文】
一流ホテルは概して高い料金だが、オフシーズンの日曜日や月曜日はお手頃価格で宿泊しやすい。
・全体的に、一般的に。だいたい
・全部で。すべて。合計して。なべて
【例文】
原料費の高騰により、各社は総じて値上げは避けられないとみている。
「おしなべて」の意味で誤用しやすい言葉
意味を勘違いしやすく、「おしなべて」の言い換え語として誤用されやすい言葉がいくつかあります。恥ずかしい間違いをしないように、それぞれの意味の違いを頭に入れておきましょう。
「おしなべて」と「すべからく」の違い
「すべからく」は「すべて」と字面が似ているため、「おしなべて」とも同じようなニュアンスだろうと勘違いしている人が多くいます。
しかし、「すべからく」は「当然なすべきこととして」や「ぜひともそうすべきこととして」という、まったく異なる意味をもつ言葉です。「すべて」や「おしなべて」の言い換え語にはできないため、使うときには注意してください。
「おしなべて」と「あまねく」の違い
「あまねく」は、「もれなくすべてに及んでいるさま」を意味する言葉です。
物事の「全体」をみているところは「おしなべて」と共通していますが、「あまねく」は「物事の全体全部がそうである」というときに使用します。「おしなべて」は「だいたいそうだが全部がそうであるとまではいえない」ときに用いるため、ニュアンスに違いがあります。
「おしなべて」は英語だと?
「おしなべて」を英訳するときは、「generally」「overall」「on the whole」を使用します。
overall:全部の、全体の、総体的な、全般的な
on the whole:全体的に見ると、全体として、概して
「おしなべて」をうまく使おう
「おしなべて」はビジネスでよく使われる言葉ですが、日常生活では滅多に使用されない表現でもあります。
とくに若い世代にはなじみが薄い言葉のため、相手に意味が通じないこともあるかもしれません。相手に合わせて言葉を選べるように、類語もいっしょに覚えておきましょう。