以降の範囲って?その日は含む?意味や使い方、類語、対義語、英語もくわしく解説!

「以降」は「その時点を含む」ということ

以降は「その時点から後」という意味をもち、ビジネス会話でよく用いられる言葉です。

たとえば「9時以降」なら「9時ジャストからその後ずっと」。「入社以降」なら「入社したその日からその後ずっと」という意味になります。

以降の類語は「以後」「以来」「今後」「その後」「より後」。対義語なら「以前」が使用できます。

以降を英語で表現したいなら「after」や「from」を用いると、ニュアンスが伝わりますよ。

以降についてさらに具体的に紹介していきます。

以降の意味と読み方

以降は「いこう」と読みます。以降は特定の日時や数、出来事に関する文脈で使うケースが多い言葉です。次のような意味になります。

以降
①そのときから後
②その日から後
③その数から後
④その出来事から後

どの意味で用いる場合も、「そのとき」「その日」「その数」「その出来事」を含みます

以降は含む!と覚えよう

以降の「以」は次のような意味をもつ漢字です。

①~から。~より
②もって。~を。~によって
③もってする。もちいる。使う
④おもう。おもうに
⑤ゆえ。理由

「以」の「③もってする。もちいる。使う」のニュアンスから、以降という言葉は「そのとき」「その日」「その数」「その出来事」を言葉の意味として「使う」ことになります。そして、「使う」ためには「そのもの」を保有しておかなければなりません。

わかりにくい場合は、そこにないものは使えないので、使えるなら範囲の中にあるはずだと逆に考えるとイメージしやすいですよ。

また、「降」の字の意味は次のとおりです。

①おりる。おろす
②くだる。敵に負けてしたがう
③ふる。ふらす
④その時からあと。のち

このうち、「④その時からあと。のち」という意味から、以降は基準になる日時・数・出来事の後にも続いているというニュアンスになります。

以降は「基準になる日時・数・出来事」を含んでさらにその後も続いていくと覚えましょう。

以降の使い方・例文

ビジネス会話での以降も「日時」「数」「出来事」に関わる話で用いられます。どのような文脈で以降を使うか、例文でイメージしてみましょう。

日時の例文
①4月1日以降、営業時間をAM9時からPM6時までに変更させていただきます。
②午前11時以降の発注は翌日受付となり、発送が遅れてしまいます。お急ぎの場合は時間厳守でお願いします。
③来週以降ならいつでも御社におうかがいできます。ご都合のいい日時を指定してください。
数の例文
①次回以降、ミーティングは基本オンラインで行うことになります。対面で行う場合は事前申請が必要になりますので、注意してください。
②2回目以降にご来店のお客様は、身分証を提示していただかなくても大丈夫です。
③3店舗目以降の出店は、財務面でのリスクがそれまでよりも小さくなるといわれています。
出来事の例文
①会計処理の見直しをして以降、事務作業のスピードが格段にアップしたよ。
②あの会社は新社長が就任して以降、取り扱う商品のテイストが大きく変わったね。
③緊急事態宣言以降は、客足がぐっと減少してしまった。

以降の類語は「以後」「以来」「今後」「その後」「より後」

ビジネスでよく使う以降の類語には、「以後」「以来」「今後」「その後」「より後」があります。

それぞれの意味と使い方をみてみましょう。

以後は「今からのち」

以後は「これから先」や「今後」「その後」という意味をもつ言葉。以後も以降と同じで、基準となるものごとをその範囲内に含んでいます。

例文
父は中学卒業と同時に親元を離れ、以後仕事にまい進する人生を送った。

上記の例文のように、以後は以降と似たニュアンスで使えます。

しかし、ビジネスでよく用いられる「以後、気をつけます」は「以後」でしかできない言い回しです。「以降、気をつけます」とは言わないので注意しましょう。

以来は「そのときからずっと」

以来の意味は「そのときから今に至るまでずっと」です。

「入社以来、研究畑で過ごしてきた」のように、過去から現在の出来事を指す言葉です。未来の事柄には使えない点が以降と異なります。

今後は「今からのち」

今後は「今からのち」という意味

例えば「今後は3人体制で夜勤を回すことになった」などのように使用し、過去にさかのぼって使うことはできません。

基準が今にある点が以降との違いです。

その後は「そのあと」

その後は、何かの出来事の後の時間を意味する言葉です。「その後、いかがお過ごしですか?」のように使います。

「〇〇以降」と言いますが「〇〇その後」とは言えません。「〇〇のその後は~」などの言い回しに換えてください。

より後は「そのあと」

より後も「そのあと」という意味の言葉です。しかし、より後は以降やその後などほかの類語と違い、基準になる出来事が範囲に含まれません

「メンバー全員の時間が空く、14時より後の時間で会議室をおさえておいてくれ」のように使います。この場合、14時ジャストはNG。間違えないように注意しましょう。

以降の対義語は「以前」

以降の対義語は「その時よりも前」や「今より前」「ある状況に至る前の段階」を意味する「以前」という言葉です。

以前を年代や月日、時間で使う場合、その時を含んで「その時より前」という意味です。例えば「本日だと17時以前におうかがいするのは難しいです」と使う場合、17時も含みそれより前のことを指します。以降と同じように基準が含まれるのです。

しかし、「以前の職場環境には戻りたくない」みたいに「ある状況に至る前の段階」の意味で用いるときには、基準を含まないので気をつけてください。

以降の英語表現は「after」や「from」を使う

以降を英語で表したいときには「on and after 〇〇:〇〇以降」や「from 〇〇:〇〇から」が使えます。

on and after the 20th:20日以降
from April:4月から

「after 〇〇」でも似たようなニュアンスにはなりますが、〇〇を範囲に含まないため以降と完全にイコールにはなりません。

以降を使いこなせるようになろう!

以降はビジネス会話によく登場するのに、意味がややこしい厄介な言葉です。しかし、記事の中で説明したように言葉の成り立ちからみていけば意味をイメージしやすくなります

せっかく勉強した以降の意味や使い方を忘れないように、ビジネスや日常の会話やメールなどで実際に使用してみましょう。以降は、意味さえ正しく理解していればそれほど使い方が難しい言葉ではないので、気負わずに挑戦できますよ。