リクープとはどんな意味?ビジネスでの使い方、リクープラインも解説

リクープとはどんな言葉?

リクープの意味は、「損失などを取り戻すこと」「費用を回収すること」です。

類語は、「ペイする」「元が取れる」「採算が取れる」。

リクープを英語で表すときは、「recoup」を使ってください。

リクープとはどんな意味?

リクープは次の意味をもつカタカナ語です。

リクープ
・損失などを取り戻すこと
・費用を回収すること

新しい製品やサービスを開発するときには、製品やサービスを開発するコストがかかります。また、完成した製品やサービスを商品として売り出すときには、量産する費用や広告宣伝費などの費用が発生します。

新しいビジネスをはじめるときには、設備を整えたり必要な人材を集めたりする必要があり、まとまった額の初期投資をしなければなりません。立ち上げた後には、運営費も発生します。子会社やベンチャー企業などに出資して新規事業の育成をする場合も、それなりの費用がかかります。

仕事でミスをして損失を出してしまうこともありますよね。

リクープは、このようにいろいろな理由で発生した費用や損失を、売り上げや別の方法で穴埋めし、プラスマイナスゼロの状態にすることを意味します。

映画業界でのリクープ

映画業界でのリクープの意味も「費用を回収すること」です。

全国公開される映画の場合、1本の映画に対して制作費と上映する映画館の数の分だけの映画フィルムのプリント代、広告宣伝費などがかかります。

一方映画で得られる収入は、劇場公開時の興行収入と、DVDレンタルやテレビ放送などの二次利用による売上の合計です。しかし、劇場公開時の興行収入の50%は映画館の収入になるため、映画の製作会社が得られる収入は、興行収入の50%と二次利用による売上の合計になります。

二次利用による売上は、映画の公開が終わってから何年もかけて回収される場合も多いので、映画業界ではリクープできたか結果を出す時期は決められていません。目安として、興行収入の50%分で映画費用合計の70~80%を回収できていれば、その映画はビジネスとして成り立ち、次の作品も検討できるようになるといわれています。

ゲーム業界でのリクープ

ゲーム業界でのリクープは「開発費を回収すること」

近年のゲームは開発費が高くなっているので、リクープできるかどうかは非常に大切なポイントです。

なかでもオンラインゲームは、定期的にイベントが開催されるなど、ゲームを運営するためにも費用が発生し続けるので、どのくらいの期間でリクープできるかが重要視されています。一定期間でのリクープが不可能と判断された場合は、即サービス終了の決定が下される場合もあります。

リクープは英語だと?

リクープを英訳するときは「recoup」を使います。

recoup
・損失や費用などを取り戻す、回収する
・人に損害などを弁償する、償う、埋め合わせる
・差し引く
・控除する

「recoup」は、「控除する」など複数の意味をもっており、カタカナ語のリクープよりも広いシチュエーションで使用されます。

リクープの使い方を例文で学ぼう

リクープの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
リクープの目途が立たず、ゲームの配信終了が決まった。
・この方法ならリスクが少ないのでリクープはしやすいだろう。
・工場建設への投資はリクープまでの期間が長いため、慎重に判断する必要がある。
・新規事業への投資のリクープに成功した。
・開業当初は苦心していたが、ようやくリクープがみえてきた。

リクープラインとは?

リクープラインの意味は、「損益分岐点」

「損益分岐点」は家賃や人件費、原料費など、商品やサービスを販売するためにかかるすべての費用を売上でリクープ(回収)でき、その数を超えて販売できれば利益を出せる境界になる売上高のことです。

リクープの類語・言い換え表現

リクープの類語は、「ペイする」「元が取れる」「採算が取れる」です。

「ペイする」は、英語の「pay(支払う)」に日本語の「する」をくっつけた言葉で、「費用を取り戻すこと」という意味。収入が支出よりも多いときや、金額的にはリクープされていなくてもかけた費用に見合う成果や結果が得られたときに使います。

リクープはお金の回収に重きを置いているため完全に同じ意味ではないですが、同じようなニュアンスでも使用できます。

例文
将来性が見込めるため、追加で投資してもペイするだろう。

「元が取れる」も「ペイする」と同じような意味合い。「出費した金を回収すること」「払った金に見合う利益や満足感を十分に得ること」という意味です。

例文
好きなケーキと交換できるクーポン券だけでも元が取れる、お得な福袋が発売される。

「採算が取れる」の意味は、「収支がつりあう」「収入が支出を下回らず利益が出る」です。

例文
採算が取れると判断し、出店を決めた。

【おまけ】リクープの雑学

ビジネスとは関係ないですが、私たちの身近にはリクープがつくものがあります。頭に入れておくと、どこかで役に立つかもしれませんよ。

ピジョンのリクープ

ベビー用品メーカーのピジョンは、2007年に介護予防ブランド「リクープ」を立ち上げ、高齢者や要支援、軽度の要介護者の健康的な暮らしを支える商品を提案しています。健康で前向きな生活を「recoup(取り戻す、回復する)」がブランド名の由来です。

次のような商品を販売しています。

ピジョンのリクープ
リクープ かるる:給水機能つきの女性用ショーツ、男性用トランクス
リクープ 快適パッド:肌への刺激が少なく、下着感覚で着用できるつけ心地がいい尿もれパッド
入れ歯ポット:折りたたみできて携帯しやすいコンパクトな入れ歯ケース

「浦島坂田船」志麻さんの楽曲「recoup」

日本の男性音楽ユニット「浦島坂田船」の志麻さんが歌うソロ曲「recoup」は、自分のことを忘れてしまった恋人を想う男性の気持ちを歌詞にした曲です。

彼女は男性のことを覚えていなくて、男性に他人にするような愛想笑いを向けてきます。まだ彼女のことが好きな男性は、記憶をなくす前の彼女を思い出してしまい、彼女を取り戻すことはできないとわかっていても彼女から離れることもできず葛藤します。

興味のある人はどのような楽曲か聞いてみてください。

リクープの意味を理解しよう

リクープは、プライベートではほとんど使うことがないカタカナ語です。しかし、ビジネスではよく使用される言葉で、とくに経営に関わる分野では必須のビジネス用語といわれています。

ビジネスマンの知識として頭に入れておき、耳にしたときに困らないようにしましょう。