億劫とはどんな意味?億劫な気持ちって?言葉の由来、類語、対義語、英語も紹介

「億劫」とは「めんどうで気が進まない」という意味

「億劫」は、どこかの方言のように思われがちですが、実は「めんどうで気が進まない」という意味を持つ言葉です。

そのため、対義語としては、「めんどうではない」「力をつくす」といったニュアンスの「熱心」「ひたむき」「専念」「懸命」「精進」などの言葉があてはまります。

また、「きわめて長い時間」を意味する言葉が「億劫」の語源であるため、「きわめて短い時間」を意味する「刹那(せつな)」も対義語になります。

本記事では、「億劫」の正しい意味や使い方のほか、英語表現、類語などについてもわかりやすく紹介します。

「億劫」の読み方・由来・意味

「億劫」の「劫」は、古代インドでは最長時間の単位を指し、「一劫」は、100年に一度、天女が岩山に舞い降り、羽衣で頂上を撫で、その摩擦で岩山が消滅するまでの時間を指すとされています。

そして、「億劫」は「一劫」の一億倍の長さです。「一劫」でも想像を絶する長い時間であるのに、その一億倍ともなると、計り知れないほどの時間を要するため、実行するには容易いものではなく、とても面倒に思ってしまいます。こういったことから「億劫」は「面倒で気が進まない」「めんどくさい」を意味する言葉として使われるようになりました。

億劫の意味

・めんどうで気が進まない
・めんどくさい
・気分がのらない

なお、「一劫」は「いちこう」と読むため、当初は「億劫」は「おくこう」と読まれていました。しかし、時代が進むにつれ変化していき、「おっくう」と読まれるようになったとされています。

「億劫」の使い方・例文

「億劫」は、「億劫になる」「億劫な気持ち」という形で会話の中に取り入れられることが多いです。

億劫になる

「億劫になる」は、「めんどうくさくなる」「気分が乗らない」と感じたときに使います。

例文

・年末年始でゆっくりしすぎると会社に行くのが億劫になるなぁ。
・この仕事は放置すると億劫になるので、少しでもやる気のあるうちに済ませてしまおう。

億劫な気持ち

「億劫な気持ち」は、「気が晴れない」「やる気が起こらない」といった感情になったときに使います。

例文

・朝からこんなに億劫な気持ちになるのは、きっと嫌いな先輩と一緒に仕事をすることになったからだろう。
億劫な気持ちのままパソコンに向かってもまったく仕事がはかどらない。

「億劫」の類語・言い換え表現

「億劫」をほかの言葉に言い換える場合は、次のような言葉が使えます。

「億劫」の言い換え表現

・気が重い
・するのが苦である
・する気が起こらない
・気力が失せる など

そのほか、類語となる熟語には「大儀(たいぎ)」「倦怠(けんたい)」「面倒(めんどう)」があります。

「億劫」と「大儀」の違い

「大儀(たいぎ)」には、「骨が折れること」「疲れて何もできないさま」「面倒」のほか、「おっくう」という意味ももつ言葉です。しかし、「億劫」にはない、「他人の苦労を労う」際にも使われるという点で違いがあります。

例文

・こんな時間から料理をするのはとても億劫だ。
・こんな時間から料理をするのはとても大儀だ。

「億劫」と「倦怠」の違い

「倦怠(けんたい)」には、「いやになって怠ること」「あきあきすること」「動くのもいやになるほど心身が疲れていること」という意味があります。

「いやになって怠る」を指す点においては「億劫」と類語といえますが、「飽きる」「心身の疲れ」の意味は「億劫」にはありません。

例文

・今日もパソコンに数字を打ち込み続けるのかと思うととても億劫である。
・パソコンに向かって数字を打ち込むだけの仕事に倦怠を感じている。
・風邪をひいて前身に倦怠感がある。

「億劫」と「面倒」の違い

「面倒(めんどう)」には、「手数がかかって不快なこと」「わずらわしいこと」「やっかい」という意味があります。

「面倒」には、「億劫」のように「やる気がおきない」という気持ちは含まれておらず、「やるには手間がかかる」というように、「行動を起こすことに関して手数がかかる」の意味合いが強くなります

例文

・家の掃除をするのは億劫だ。
・家の掃除をするのが面倒だ。

「億劫」の英語表現

「億劫」を英語で表現したい場合、「troublesome=わずらわしい、面倒な」や「unwilling=気乗りしない」が使えます。

・The cold weather makes it troublesome to go to work.
・The cold weather makes it unwilling to go to work.
(寒いと仕事に行くのが億劫になります。)

「億劫」の意味を理解し正しく使おう!

生活していると、気分が乗らないときというのは誰にでもあります。しかし、心理的に気が乗らない場合は「億劫」、手間がかかるから気分が乗らない場合は「面倒」と、シーンによって適している言葉は異なります。本記事で紹介した類語も明確に理解し、状況に応じた使い分けができるようにしておきましょう。