スマートグリッドとはどんな意味?マイクログリッドとの違いも解説

スマートグリッドとはどんな言葉?

スマートグリッドの意味は、「次世代送電網」です。

類語は、「次世代送電網」「スマート電力網」「次世代電力網」。

英語で表すときは、「smart grid」を使ってください。

スマートグリッドとはどんな意味?

スマートグリッドは、次の意味をもつカタカナ語です。

スマートグリッド
次世代送電網

スマートは「賢い」、グリッドは「送電網」の意味で、「賢い送電網」というニュアンス。

スマートグリッドは、電気の供給側と需要側の両方から働きかけることで、送電する電力量やその流れを最適化できるまったく新しい電力網です。ただし、どのくらい賢くなったものをスマートグリッドとみなすのか、明確な定義はありません。

スマートグリッドの仕組み

スマートグリッドは、IT技術を用いて家庭や企業、工場などでのエネルギー需要をほぼリアルタイムで把握したうえで、その需要に応じた量の電気を送電します。

そのために必要なのが「スマートメーター」と呼ばれる専用の機械で、これは家庭や企業、工場などすべての電力消費地に個別に設置されます。

「スマートメーター」は、通信機能をもっている次世代の電力の検針メーターです。個々の電力消費地で今使われている電力量などの情報を自動的に収集し、その情報をネットワークを通じて電力会社のサーバーに一定間隔(日本では30分)で提供。

発電所は、「スマートメーター」から提供された情報をもとに、発電量と電力需要が同量になるよう即座に発電量を調整します。

スマートグリッドはなぜ必要?

今までの送電網は、火力発電や原子力発電などの大規模な発電所から家庭や企業、工場など電力消費地に向かって一方的に電力を送り出していました。しかしこの方法では使う側が必要としている電力量がわからず、需要のピーク時をもとに算出した容量で電力を送ることになるため、ムダな電力が多く出てしまいます

また、電力消費地にちゃんと電力が送られているのかの把握ができないため、自然災害による停電の発生などに電力供給側が気付くのが遅れ、復旧に時間がかかってしまう場合がありました。

スマートグリッドは再生可能エネルギーの導入にも必要

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、CO2を削減するために重要視されている発電方法。しかし、これらの再生可能エネルギーは、発電量が天候に左右されてしまうため、従来の電力網では安定的な電力の供給が難しいです。

また、電力消費地での電力消費が少ない時間帯に、発電量が多くなると供給が過剰になり配電線に負荷をかけてしまいます。

この問題を解決するため、太陽光発電や風力発電は、電力を一時的に蓄える蓄電池やスマートグリッドと組み合わせて導入されるようになりました。発電して余った電気は蓄電池に蓄えられ、スマートグリッドが送電を管理することで、発電された電力を効率よく安定的に電力消費地に届けられるようになります。

スマートグリッドとマイクログリッドの違い

スマートグリッドの話題で一緒に使われることが多いカタカナ語に、「マイクログリッド」があります。

「マイクログリッド」は、大規模な発電所からの電力供給に頼らず、小さなコミュニティのなかでエネルギーの需要と供給を完結させることを目指す、小規模なエネルギーネットワークのこと。

スマートグリッドは「次世代の賢い送電網」を表す言葉のため、「マイクログリッド」とは意味がまったく異なっていますね。

「マイクログリッド」での発電は太陽光発電、風力発電、バイオマス発電などが利用されます。しかし、これらは電力の需要に合わせて発電量を調整するのが難しい発電方法です。そのため、「マイクログリッド」では、スマートグリッドを活用した管理が行われます。

スマートグリッドの事例

スマートグリッドを導入するため、日本でもスマートメーターの導入が進んでいます。工場など高圧の電気を使っている電力消費地については、2016年度までにすべての消費地でスマートメーターの導入が完了。家庭などの低圧の電力消費地についても、2024年度末までに日本全体での導入を完了させる計画が立てられています。

さらに、日本型スマートグリッドや次世代エネルギーを活用した社会システムを実現させる試みも進行中です。神奈川県横浜市、愛知県豊田市、京都府けいはんな学研都市、福岡県北九州市で大掛かりな実証実験がスタートしています。これらは、国や地方自治体、電力会社、自動車メーカー、重工業企業などが協力して取り組む官民一体の実験です。

くわしいことに興味のある人は、こちらを確認してみてください。
参考 次世代スマートメーターの仕様の検討状況について資源エネルギー庁 参考 スマートコミュニティ実証について資源エネルギー庁

スマートグリッドの使い方を例文で学ぼう

スマートグリッドの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
スマートグリッドの導入を進める国が増えることで、スマートメーターの市場は世界的に急成長すると考えられている。
・再生可能エネルギーは、蓄電池とスマートグリッドによって成り立っている。
スマートグリッドの実証実験に参加する。
スマートグリッドの関連銘柄に投資する。

スマートグリッドは英語だと?

スマートグリッドは、英語だと「smart grid」と表します。

smart grid
・次世代送電網

※情報通信技術を活用して電力の流れを供給と需要の両側から制御し、発電と電力消費を最適化する次世代の送電網のこと

英語の「smart grid」とカタカナ語のスマートグリッドは、まったく同じ意味ですね。

スマートグリッドの類語・言い換え表現

スマートグリッドの類語は、「次世代送電網」「スマート電力網」「次世代電力網」です。意味は同じなので、スマートグリッドをそのまま言い換えることができます。

例文
・地震や厳冬などに備える災害対策の面でも、次世代送電網の導入は急務だ。
・スマート電力網をサイバー攻撃から守る、情報セキュリティ技術の開発が急がれる。
・次世代電力網を普及させるには、構築コストをどう抑えるかを考える必要がある。

【おまけ】スマートグリッドEXPO(エキスポ)とは?

スマートグリッドEXPO(エキスポ)は、スマートグリッドなど、次世代の電力システムに関するIT技術や設備を展示する日本最大の展示会です。

次世代の電力システムに関する最新の技術や製品、サービスを提供する国内外の出展企業と、来場してそれらの技術、製品、サービスに興味をもった企業が商談を行う場にもなっています。

スマートグリッドに注目しよう

スマートグリッドの導入の取り組みは、地球温暖化防止のためのCO2を削減や災害によって起こる大規模停電に備えるためなどの目的で、今後ますます活発になっていくことが予想されます。

ビジネスでも、プライベートの生活でも耳にする機会が増えそうですね。そんなときに困らないように、スマートグリッドについて正しく理解し、周囲の話についていけるように備えておきましょう。