「殊勝」とはどんな言葉?
「殊勝」の意味は、「健気であるさま」「もっともらしい様子で、神妙にしているさま」です。
類語は「健気」「神妙」「奇特」。対義語は「傲岸」「横柄」です。
英語で表すときは、「admirable」「applaudable」「brave」「commendable」「creditable」「laudable」「praiseworthy」などの単語を使います。
「殊勝」とはどんな意味?読み方は?
「殊勝」の読み方は「しゅしょう」。次の意味をもつ言葉です。
②神々しいさま。心打たれるさま
③心がけや行動などが感心なさま。健気であるさま
④もっともらしい様子で、神妙にしているさま。とってつけたような様子
「殊勝」には複数の意味がありますが、現代では③と④のニュアンスで使われることがほとんどです。
「殊勝」の語源は?
「殊勝」のニュアンスは、「殊勝」という言葉を構成する漢字の意味を考えると、より理解しやすくなります。
②ことなる。ことにする。ちがう
②まさる。すぐれている
③たえる。もちこたえる
「殊」と「勝」を組み合わせた「殊勝」は、「とりわけ優れている」という意味を表します。
「殊勝」は仏教に由来する言葉
「とりわけ優れている」を意味の根幹にもつ「殊勝」が、「健気であるさま」や「神妙にしているさま」のニュアンスで使われるようになったのは、「殊勝」が仏教に由来する言葉であるためといわれています。
仏教では、謙虚な心がけや行いが重要視されます。謙虚さが感じられる「健気な振る舞い」や「神妙な態度」が「殊勝」と評価されたことから、「殊勝」に「健気であるさま」や「神妙にしているさま」の意味が加わりました。
古語での「殊勝」の意味
古語として「殊勝」が用いられたときは、次の意味になります。
②神々しいさま。ありがたく思い、感じ入るさま
③健気なこと。感心なこと。神妙なこと
現代語と違い、古語では①の「とりわけすぐれているさま」や②の「神々しいさま」の意味でも「殊勝」を使います。
覚える余裕のある人は、教養のひとつとして頭に入れておくと、どこかで役に立つかもしれませんよ。
「殊勝」の使い方を例文で学ぼう
「殊勝」の意味がわかったら、次は言葉の使い方を例文でイメージしてみましょう。
・彼は、スタッフとの顔合わせで「チームのなかでは一番の若輩者なので、先輩方の足を引っ張らないように精一杯努力します」と殊勝な心がけを述べた。
・自信家の彼が、珍しく殊勝なことをいっていたので驚いた。
・新入社員が、殊勝な面持ちではじめての会議に参加している。
・古くからの伝統を大事にしているのは殊勝なことだと思う。
・殊勝気な顔つきをしているところをみると、説教が流石に応えたようだ。
・彼女はおとなしくいうことを聞くような殊勝な女ではない。
・上司の前では殊勝ぶるが、裏では相変わらずの傍若無人な態度をとっている。
「殊勝」は誉め言葉として用いられることが多いですが、言い回しによっては皮肉な物言いになる場合もあります。
また、「殊勝」は謙遜が根底にある「健気であるさま」や「神妙にしているさま」を褒める言葉のため、目上の人に対して使うと失礼にあたります。使用するときには気をつけてください。
「殊勝」の類語・言い換え表現
「殊勝」の類語は、「健気」「神妙」「奇特」です。それぞれの言葉の意味と使い方をおさえておきましょう。
・殊勝なさま。心がけがよく、しっかりしているさま
・勇ましく気丈なさま
・健康であるさま
【例文】
飼い主を待つ子犬の健気な姿が多くの人の心を打った。
・霊妙不可思議なこと。人知を超えた不思議なこと。霊妙。そのさま
・健気なこと。感心なこと。そのさま
・態度がおとなしく、すなおなこと。そのさま
【例文】
神妙な面持ちで式典の開始を待つ。
・非常に珍しく、不思議なさま。また、すぐれているさま
・心がけや行ないが普通よりもすぐれていて、褒めるに値するさま
【例文】
この施設は、奇特な方からの援助で運営されている。
「殊勝」の対義語
「殊勝」の対義語は、「傲岸(ごうがん)」「横柄(おうへい)」です。
おごりたかぶっていて、人に屈しないこと。そのさま
【例文】
最近の彼の傲岸さは目に余る。
おごりたかぶって、人を見下げたり無視したりする態度をとること。いばって無礼であること。そのさま
【例文】
横柄な態度を取るお客に悩まされる。
「殊勝」は英語だと?
「殊勝」を英語で表すときは、次のような単語が使えます。
applaudable:高い賞賛に値する、見事な
brave:勇敢な、勇ましい、勇敢で、派手な、着飾った、華やかな、りっぱな、すばらしい
commendable:ほめるに足る、立派な、感心な
creditable:名誉となる、ほめるべき、称賛に値する
laudable:称賛するに足る、見上げた、あっぱれな
praiseworthy:称賛すべき、見事な、あっぱれな
単語によってニュアンスが異なるため、伝えたい意味合いに近い用語を選んで使用してください。
「殊勝」をうまく使おう
「殊勝」は、誉め言葉として使うことが多いですが、言い回しによっては皮肉をいっているようにも聞こえてしまいます。
また、目上の相手に使うと上から目線で失礼な物言いになってしまいます。
相手を選んで、上手に「殊勝」を使ってください。